潜伏キリシタンゆかり「祈りの集落」 世界遺産登録で人気の天草市・崎津 見どころまとめ  

潜伏キリシタンゆかり「祈りの集落」 世界遺産登録で人気の天草市・崎津 見どころまとめ  

2018年7月に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。構成資産の一つ「崎津集落」(熊本県天草市河浦町)を同年度に訪れた観光客は前年度の約2倍に上り、今年の夏も多くの人でにぎわいました。さわやかな秋空の下、「祈りの集落」を訪ねてはいかがでしょうか。

熊本日日新聞朝刊掲載の記事をもとに構成しました。情報は2019年10月7日時点です。

羊角湾の入り江にたたずむ崎津集落。中央は崎津教会=2018年4月、天草市河浦町(小型無人機で撮影)

崎津教会 重厚なゴシック建築 内部は畳敷き

のどかな漁村の崎津集落でひときわ存在感を放つ崎津教会は1934年、フランス人宣教師ハルブ神父の時代に建てられました。

崎津集落で存在感を放つ崎津教会=2018年4月

長崎の建築家・鉄川与助(1879~1976年)の設計で、尖塔(せんとう)の上に十字架を掲げた重厚なゴシック様式。内部は国内でも珍しい畳敷きです。

禁教令が解かれた19世紀後半、潜伏キリシタンの多くはカトリックに復帰し、各地で教会が建造されました。崎津集落では1888年、崎津諏訪神社の隣に木造教会が建てられ、その後、キリスト教弾圧の象徴である「絵踏み」が行われた吉田庄屋役宅跡に現在の教会が建て替えられました。祭壇の位置が、かつて信者らが絵踏みをさせられた場所です。

メモ】駐車場のある「崎津集落ガイダンスセンター」から徒歩10分。教会内部の拝観は事前予約が必要。予約受け付けは九州産交ツーリズム旅行センターTEL096(300)5535。

予約サイト https://www.kyusanko.co.jp/ryoko/pickup/sakitsu-church/

教会敷地内への車両乗り入れ、土足やペット同伴での教会内立ち入り、教会内部の撮影はできません。ミサ、結婚式、お葬式などの儀式中は入館をご遠慮ください。

崎津諏訪神社 禁教時代しのぶ

崎津諏訪神社は1647年に創建。崎津集落の鎮守として、今日まで豊漁や海上安全を祈願する場となってきました。境内の鳥居は1685年の銘があり、天草地域最古とされています。

禁教期の信仰の歴史とも深く関わり、集落住民の7割が潜伏キリシタンであることが発覚した「天草崩れ」(1805年)では、この神社の境内で、信者らが所有する信心具を差し出すよう指示されました。

崎津諏訪神社の境内から見える光景。天草最古とされる鳥居の奥に崎津教会が見える

当時の取り調べ調書には、神社に参る際にも「あんめんりゆす(アーメン デウス)」と唱えたことが記されています。崎津の信者が表向きは神社の氏子となりながら、ひそかにキリスト教を信仰し続けた貴重な証拠です。

メモ】崎津教会から徒歩3分。

海上マリア像 漁の安全見守る

崎津集落の南の岬にそびえる「海上マリア像」は航海の安全と豊漁を願って建立され、行き来する船舶の道しるべになっています。

潜伏キリシタンの子孫の呼び掛けで建立された海上マリア像

1974年、潜伏キリシタンの子孫の漁師の呼び掛けで建立されました。像の高さは1.8メートルで、台座も含めて3メートル。信者が年に数回清掃し、花を供えています。

マリア像は天草漁協崎津支所から西側の入り江を挟んだ対岸にあり、天草市内8カ所からなる「天草夕陽(ゆうひ)八景」の一つ。2月と10月下旬~11月上旬、マリア像と夕日が重なる神秘的な光景が現れます。

夕日に浮かぶマリア像=2018年10月20日午後5時40分ごろ

【メモ】岩場にあり、一般観光客が近くに行くのは難しい。天草漁協崎津支所の敷地内にある水産直売所「きんつ市場」から眺めることができる。

資料館「みなと屋」 集落の歴史や文化、禁教期の信仰紹介

崎津集落の歴史と文化、禁教期の漁村特有のキリスト教信仰を紹介する資料館「みなと屋」は木造2階建て、広さ191平方メートル。1階には、交易で栄え昭和初期に隆盛を極めた崎津集落の様子をパネルやジオラマで案内する展示室と、弾圧と潜伏時代に焦点を当てて崎津のキリシタン史を解説する展示室があります。2階の展示室は、明治のカトリック復活以降から現在の崎津・今富地域を映像などで紹介しています。休憩スペースもあります。

2016年8月に開館したばかりの「みなと屋」の様子

天草市が、1936年に建てられた旅館の寄贈を受けて改築し、2016年8月に開館。建具や床の間は建築当時のままになっています。

【メモ】崎津教会入り口の斜め前。開館午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)。12月30日~元日休館。入館無料。同館TEL 0969(75)9911。

漁労の営み紹介も 休憩所「旧網元岩下家よらんかな」

資料館「みなと屋」の付属施設として2019年8月にオープンした休憩所「旧網元岩下家よらんかな」では、集落の生業である「漁労の営み」を紹介するパネル展示などがあります。

「旧網元岩下家 よらんかな」の表札を掲げる関係者=2019年8月9日

1892年に建てられた旧網元岩下家を市が解体、はりや柱などの一部を再利用し、木造2階建て(床面積174平方メートル)を復元しました。

1階に6部屋、2階に3部屋の和室があり、2階からは集落の風景が望めます。国の重要文化的景観に選定されている「カケ」(護岸の家屋から海にせり出した、竹やシュロ製の漁師の作業場)も併設。かつての漁具や家財道具の展示もあり、漁労の営みを知ることができます。

メモ】資料館「みなと屋」から徒歩5分。午前9時~午後5時。12月30日~元日休館。入館無料。資料館「みなと屋」TEL0969(75)9911。

きんつ市場 新鮮な魚介 ヒオウギ貝でバーベキュー

水産直売所「きんつ市場」は、底引き網でよく取れるホウボウの崎津特有の呼び名「きんつ」から命名。調理室と土産品コーナーがあり、南側と東側には屋根付きのウッドデッキもあります。

崎津など天草の新鮮な魚介類や特産品が並ぶ「きんつ市場」

地元を中心に天草の新鮮な魚介類や特産品を販売するほか、10月半ばから翌年5月ごろまで、ウッドデッキでヒオウギ貝のバーベキューも楽しめます。

メモ】崎津教会から徒歩5分。営業時間は午前10時~午後4時。水曜定休。きんつ市場TEL0969(79)0333。

杉ようかん ルーツは琉球 伝承の味

崎津集落の名物の一つ「杉ようかん」は、うるち米の薄皮でこしあんを包んだ和菓子。しっとりとした食感が特徴です。

しっとりした食感が特徴の「杉ようかん」

ルーツは1790年、琉球の使節団が徳川家斉の第11代将軍就任を祝うため鹿児島に向かう途中、台風で崎津に漂着。駆けつけた住民が食料や飲み物を持ち寄ったことに感謝し、製法を伝えたといいます。

後継者不足で製造は一時途絶えましたが、2007年に地元住民らが復活させました。紅色のラインで彩り、杉の葉で乾燥と腐敗を防ぎ香りを付けています。集落内の南風屋(はいや)と宮下商店の2店舗で販売しています。

【メモ】南風屋 TEL 0969(79)0858、宮下商店 TEL 0969(79)0007。

その他のスポット・体験など

崎津集落ガイダンスセンター

崎津集落の歴史、文化への理解を深める観光案内所。集落内での観光マナーや教会での拝観マナーなども案内しています。駐車場、トイレ、レンタサイクル(有料)、車いす貸し出し(無料)、展望所あり。同センターTEL0969(78)6000。

http://sakituguidance.amakusa-web.jp/MyHp/Pub/Free.aspx?CNo=21

崎津教会周遊クルージング

崎津教会や国の重要文化的景観に選定されているカケ、海上マリア像などを漁船の上から見るツアー。きんつ市場(天草漁協崎津支所)発着です。

【30分コース】高校生以上1500円、小、中学生700円【60分コース】高校生以上2500円、小、中学生1500円(いずれも幼児無料、中学生以下は保護者同伴)。

2人以上で出港、前日までに要予約。きんつ市場TEL0969(79)0333、天草漁協崎津支所0969(79)0012。

https://www.t-island.jp/p/spot/detail/2793

観光ガイド

「天草宝島案内人の会」のガイドが崎津教会などを案内します。崎津集落ガイダンスセンター~崎津諏訪神社~崎津教会~同センター(所要時間60分)でガイド料3000円から。バスツアー向けコースも。申し込みは希望日の7日前までに郵送かファクスで。

〒863-0023 天草市中央新町15-7 天草宝島観光協会内 天草宝島案内人の会事務局

ファクス 0969(22)2390 TEL 0969(22)2243

https://www.t-island.jp/p/guide/detail/435/

アクセスなど

マイカー

崎津集落まで 熊本市から約170分、九州自動車道松橋インターから約130分。天草空港から約50分。

駐車場 崎津集落ガイダンスセンター(普通車21台=障害者用2台含む。大型車6台。混雑時は隣接の多目的広場を開放)

天草ぐるっと周遊バス(2020年3月31日まで)

ガイド付きの観光バスが毎日運行しています。乗車料金1000円(入館料、体験料、昼食など別途)。定員21人。最少催行人数1人。2日前の午後3時までに要予約(運行決定時は当日申し込み可)。

https://www.t-island.jp/bus#outline

1.「世界文化遺産『天草の崎津集落』とキリシタン物語コース」(12時50分発)

【ルート】本渡バスセンター~天草コレジヨ館~崎津集落散策(崎津教会など)~天草ロザリオ館・大江教会~下田温泉ふれあい館ぷらっと~天草空港~本渡バスセンター~ホテルアレグリアガーデンズ天草(所要約5時間)

予約・問い合わせ 九州産交ツーリズム旅行センター TEL096(300)5535

2.「南あまくさと世界文化遺産をめぐるコース」(9時20分発)

【ルート】牛深港・うしぶか海彩館前~(ハイヤ踊り体験など)~遠見山~牛深港・うしぶか海彩館前(昼食)~崎津集落ガイダンスセンター(崎津集落散策)~きんつ市場~天草ロザリオ館・大江教会~小森海岸・牛深海底炭鉱烏帽子(えぼし)坑跡~牛深港・うしぶか海彩館前(所要約8時間)

予約・問い合わせ 天草宝島観光協会 TEL0969(22)2243

崎津集落散策マップ

散策マップのダウンロードはこちらから

https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/sakitsu-sekai/kiji00317/3_17_9968_up_7xv7ades.pdf

お断り】熊日では世界遺産登録に向けた動きが始まった後、2008年頃から新聞紙面の地名表記を正式な「﨑津」に統一していますが、デジタル機器での文字表示に配慮して「クロスくまもと」「熊日ホームページ」等では「崎津」を使用しています。

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