復興の歩みを間近で 熊本城、10月5日から特別公開 熊本地震から3年半 原則日曜と祝日

復興の歩みを間近で 熊本城、10月5日から特別公開 熊本地震から3年半 原則日曜と祝日

熊本地震で被災し、復旧工事が進む熊本城の特別公開が、2019年10月5日に始まります。「復興のシンボル」として天守閣の工事が最優先で進められ、大天守は被災前の威容をほぼ取り戻しています。2016年4月の地震直後から立ち入りが規制されてきた城内に、3年半ぶりに市民や観光客の姿が戻ってきます。

熊本日日新聞は熊本地震の発生後から、熊本城の被害状況や復旧への動きを丹念に取材し、報じてきました。「クロスくまもと」では特別公開のポイントを紹介するとともに、これまで紙面に掲載した記事や写真で、熊本城の被害や大天守の復旧の経過を振り返ります。

※情報は2019年10月2日時点、紙面の情報は掲載時点です。

熊本城

10月5日から特別公開される熊本城。大天守は外観の復旧工事がほぼ完了した。右の小天守は上層部から復旧工事を進めている=2019年9月10日撮影

工事用スロープで天守閣前広場へ 大天守は外観ほぼ復旧

特別公開は、熊本城の復旧工事が段階的に進む中、「今しか見ることができないお城の姿」を目に焼き付ける貴重な機会です。特別公開エリアは、二の丸広場から西大手門、頬当御門を通り、天守閣前広場まで片道約450メートルを歩くルートです。途中、工事用スロープを利用します。

特別公開では、大天守のほか、1~2階部分を解体して上層から復旧を進めている小天守、被災したままの宇土櫓(やぐら)、鉄骨で補強された南大手門なども間近に見ることができます。大天守の内部などは復旧工事のため入ることができません。

スロープ

天守閣へと続く、特別公開の見学ルートのスロープ。左は宇土櫓

大天守の石垣

見学ルートから間近に見える大天守の石垣

南大手門

鉄骨で補強されている南大手門

入場料は高校生以上500円、小中学生200円、未就学児は無料。入場券は、二の丸広場または城彩苑の「熊本城ミュージアムわくわく座」の券売所で販売しています。

10月14日までは連日公開 世界女子ハンド期間の土曜も

「熊本県民のシンボル」の見学を心待ちにしている人も多いと思いますが、注意したいのは、特別公開は、原則、復旧工事をしていない日曜と祝日の9~17時に限られていることです。ただし、県内で開催されるラグビーW杯日本大会や女子ハンドボール世界選手権の期間などは、下記の日程で公開します。初日の10月5日から同14日までは、10日間連続の公開となります。

日曜・祝日以外で公開するのは

  • 【ラグビーW杯期間中】10月5日(土)、7日(月)~11日(金)は各13~17時、12日(土)は9~17時
  • 【女子ハンドボール世界選手権の期間】11月30日(土)、12月7日(土)、14日(土)は各9~17時
  • 【年末年始】12月30日(月)、31日(火)、1月2日(木)~4日(土)は各9~17時

特別公開の日程などは、熊本城総合事務所のサイトで確認してください。
https://kumamoto-guide.jp/kumamoto-castle/grand-unveiling/

熊本城の特別公開

住所 熊本市中央区本丸1-1

アクセス
  • 熊本市電「熊本城・市役所前」「花畑町」の各電停から徒歩約10分
  • 桜町バスターミナル(旧熊本交通センター)から徒歩約10分
  • JR熊本駅から熊本市電で約17分、路線バスで約10分
  • 熊本空港からリムジンバスで約50分
  • 九州自動車道・熊本ICから車で約30分、益城・熊本空港ICから同約25分
特別公開の日 原則、日曜・祝日の9~17時
入場料 高校生以上500円、小・中学生200円 未就学児は無料
電話 熊本城総合事務所096-352-5900
サイト https://kumamoto-guide.jp/kumamoto-castle/grand-unveiling/

石垣崩落、櫓倒壊、地割れ…史上最大級の被害

それでは、熊本地震での熊本城の被災状況を振り返ってみましょう。

2016年4月14日の「前震」、同16日の「本震」と2度の大きな揺れで、熊本城は大きな打撃を受け、築城から400年を超える歴史の中で「最大級の被害」(熊本城総合事務所)となりました。

大天守は屋根瓦が数多く落下し、柱が壊れ床も傾きました。高くなるほど急勾配になる「武者返し」で知られる美しい石垣は、全体の1割に当たる約8200平方メートルが崩落し、2割で緩みや膨らみが生じて積み直しが必要となりました。

2016年4月15日付の号外

熊本地震の前震で、熊本城などに大きい被害が出たことを報じた2016年4月15日付の号外

加藤清正が築城した当時から残る櫓(やぐら)などの国重要文化財の13建造物全てが損傷し、中でも北十八間櫓(きたじゅうはちけんやぐら)と東十八間櫓(ひがしじゅうはちけんやぐら)などは倒壊しました。長さ100メートルの長塀は半分が倒壊し、半分が傾きました。危険防止のため、熊本城域のかなりの部分が立ち入り禁止となりました。

東十八間檜

熊本大神宮の上に崩落した熊本城の東十八間檜=2016年4月16日撮影

地震前は多くの観光客であふれていた、頬当御門通路は両面の石垣が崩落。天守前広場などあちこちで地割れも発生しました。

2016年5月12日付掲載の記事

熊本地震後に初めて報道陣に公開された熊本城内に立ち入り、いたるところで大きな被害が出ていることを報じた2016年5月12日付掲載の記事

「復興のシンボルに」 大天守を最優先で復旧

お城全体の被害の全容が分かると、全面復旧には20年くらいかかることが明らかになりました。熊本市は、「震災復興の象徴に」(大西一史市長)と、大天守を優先して工事し、ラグビーW杯の試合が熊本市で開催される2019年に再生させる方針を決めました。

大天守の復旧では、2017年5月から、柱が損傷した展望フロアの6階部分を解体。高さ約30メートルだった大天守は、一時7メートルほど低くなりました。

熊本城大天守

6階の撤去が完了した熊本城大天守=2017年7月1日撮影

そして同年8月8日、6階の再建工事に取り掛かりました。同年11月2日には、新たにできた6階の屋根に、テント形の巨大な白い防水シートがかぶせられました。翌3日付の熊日の紙面では、「大天守に〝白かぶと〟」の見出しで報じました。

2016年11月3日掲載の記事

再建中の大天守6階にテント形の防水シートがかぶせられたことを報じた2016年11月3日付掲載の記事

大小天守の屋根にあった「しゃちほこ」は、熊本地震で落ちたり、割れたりしましたが、2018年4月、大天守の屋根に、新調したしゃちほこ2体が据え付けられました。

しゃちほこ

大天守の屋根にしゃちほこを据え付ける作業をする作業員ら=2018年4月6日

同年7月23日には、大天守の石垣の積み直しを開始。地震で崩落したり、膨らんだりした791個を積み直しました。これに伴い、石垣や1階の外側を覆い隠していた鉄骨の一部が撤去され、足場も順次解体されました。

石垣の石材

積み直すため、大天守の前に並べられた石垣の石材=2018年7月23日撮影

2018年12月28日付掲載の記事

大天守の石垣の積み直しが完了し、震災前の威容を取り戻しつつあることを報じた2018年12月28日付掲載の記事

完全復旧は18年後 来春は特別見学通路が完成

熊本市は、今回の特別公開を復興の第1弾と位置付けています。特別見学通路が完成する2020年春の第2弾、天守閣の完全復旧に併せて内部を公開する21年春の第3弾と続きます。

もっとも、熊本地震で、いたるところで被災したお城全体が震災前の姿を取り戻すのには、長い道のりがあります。熊本城総合事務所は、「専門家の意見を聞きながら文化財としての価値を保ちつつ、着実に復旧させていく」と話しています。熊本市の熊本城復旧基本計画によると、完全な復旧は2037年度の予定です。

熊本城

完全に復旧するのは2037年度になる予定の熊本城=2019年9月10日撮影

「心のシンボル」として私たちの記憶の中にある熊本城の姿を取り戻すまで、長い目で見守っていきたいですね。

動画で振り返る熊本城の復興

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