竹の箸「食卓の定番に」 創業50年で初の自社ブランド開発 メーカー専務・山﨑彰悟さん

竹の箸「食卓の定番に」 創業50年で初の自社ブランド開発 メーカー専務・山﨑彰悟さん

【令和に咲く】新時代担う若者に同世代の記者がインタビュー

山崎彰悟さん

笑顔で取材に応じる山﨑彰悟さん=熊本県南関町

熊本日日新聞社の「平成生まれ」の記者たちが、IT業界やアート、音楽など、さまざまな分野で挑戦を続ける、熊本県出身や在住の同世代の若者を取り上げる連載「令和に咲く」。

今回は、熊本県南関町の竹箸メーカー専務の山﨑彰悟さん(30)を取材しました。記事は南関支局の長濱星悟記者(30)、写真は宇土支局の西國祥太記者(29)が担当しました。

国産竹箸でトップシェアもOEM中心、歯がゆささも

素材を生かした肌色。先に行くほど四角く削られ、物がつかみやすく、かつ転がらない-。南関町の竹箸メーカー「ヤマチク」は今春、初めての自社ブランド「okaeri(おかえり)」を発売した。「もう一度、竹の箸を食卓の定番にしたい」。2代目の現社長の長男で、専務の山﨑彰悟さんが2年間かけて、開発にこぎつけた。

okaeri

南関町の竹箸メーカー「ヤマチク」が自社ブランドとして初めて商品化した「okaeri(おかえり)」の箸

同社は1963年創業。大手量販店や雑貨店などの相手先ブランド(OEM)として、年間約500万膳を生産、国産竹箸の国内トップシェアを誇る。

大阪のIT企業で2年間働いて帰郷した山﨑さんは、社員の高い技術に驚く一方で課題も見つけた。

社員の多くが、自社製品が有名店で売られていることを知らなかった。また地元にふんだんにある竹を材料にしながら、切り出す人が不足し、取引先の増産依頼を断ることもあった。歯がゆかった。

青竹

山積みされた加工前の青竹

「OEMだと、良い商品でも材料を確保する人たちの十分な収入にはつながらない」「社員にもっと自信を持ってほしい」。経営の本を読みあさり、社員たちと打ち合わせを重ねて、たどり着いたのが「おかえり」の販売だった。

目指すは自然のぬくもり感じる普段使いの箸

「竹箸は軽くてしなやかですよ」。10月下旬、熊本市の花畑広場であったイベント会場に山﨑さんの声が響いた。「おかえり」の頭を赤くしたのは、かつて食堂で見掛けたデザインを参考にした懐かしさの演出。客の反応は上々だ。「“箸”の字の竹冠が物語るように箸の原点は竹。誰も損をしない正しいモノづくりに励めば、循環型社会にもつながる」

イベント

花畑広場で開かれたイベントで、竹箸の魅力を来場者にPRする山﨑彰悟さん(左)=熊本市中央区

放置竹林が社会問題になる一方、竹は持続可能な素材として注目されている。祖父が創業した会社は、50余年を経て、循環型社会実現の鍵を握る最前線に立っていた。

「おかえり」が目指すのは、自然のぬくもりを感じる普段使いの箸だ。全国の百貨店から出店依頼が来たり、工芸品のコンテストで1位になったりと手応えはある。一膳の箸の力を信じて、山﨑さんの売り込みの日々は続く。

(2019年11月1日付熊本日日新聞朝刊掲載)

山﨑彰悟(やまさき・しょうご) 略歴

山崎彰悟さん

工場内で自社製品の箸を持つ山﨑彰悟さん

1989(平成元)年生まれ。熊本マリスト学園高、立命館大法学部卒。大学では学生自治組織の代表を務め、大学との交渉や行事運営に携わった。趣味はプロレス観戦で棚橋弘至選手の大ファン。

〈取材を終えて〉 箸の違いに驚き

長濱星悟記者

山﨑さん(右)に話を聞く長濱星悟記者

SNS(会員制交流サイト)などで“箸おじさん”と名乗る山﨑彰悟さん。竹の箸の広告塔を自認する。「職人や経営者だとお堅いので、おじさんくらいがちょうどいい」。私自身は、箸は毎日何げなく使うもので、これまで素材を意識したことはなかった。山﨑さんお薦めの竹の箸を使ってみると、その違いに驚いた。箸が変わると、食事もおいしくなりそう。(長濱星悟)

ヤマチク

住所 熊本県玉名郡南関町久重14

電話 0968-53-3004
公式HP https://www.hashi.co.jp/
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