「SF世界の実現に最前線で携わりたい」 宮崎大大学院でIC研究 坂本啓維さん

「SF世界の実現に最前線で携わりたい」 宮崎大大学院でIC研究 坂本啓維さん

【令和に咲く】新時代担う若者に同世代の記者がインタビュー

坂本啓維さん

研究室でデータを整理する坂本啓維さん=宮崎市の宮崎大

熊本日日新聞社の「平成生まれ」の記者たちが、IT業界やアート、音楽など、さまざまな分野で挑戦を続ける、熊本県出身や在住の同世代の若者を取り上げる連載「令和に咲く」。

今回は、宮崎大大学院で集積回路(IC)を研究する坂本啓維(ひろゆき)さん(24)を取材しました。記事と写真は社会部の緒方李咲記者(23)が担当しました。

打ち合わせ

研究室の淡野公一教授と打ち合わせをする坂本さん

「SF映画の世界を現実のものにしたい。未来の技術の実現に、最前線で携わりたい」

宮崎大大学院で集積回路(IC)を研究する坂本啓維さん=宮崎市=は、最先端の科学技術の現場で、ものづくりを目指す。

大学院での専門は、スマートフォンや体温計など電子機器に使われているADコンバーター。目に見えない体温や振動などのアナログ信号を数値化して表示するため、デジタル信号に変える回路だ。数値の誤差をいかに小さくするか、日々シミュレーションする。

「試行錯誤して研究結果が出たときの達成感はひとしお。予想と違う結果だと、原因を探るのが大変だけど」

来春からは東京の大手電気機器メーカーに就職し、スマホの部品の設計をする予定だ。

「今のSiri(音声アシスト機能)のようなものを高度化させ、スマホの中の人工知能(AI)が、持ち主に合わせてアドバイスをするパートナーのような存在を作って、生活を豊かにしたい」

ものづくりの先に、使う人の喜ぶ顔が見えたら

波形を測定

電子回路の波形を測定する坂本さん

熊本市出身。小さいころから数学や理科が好きだった。物理の道へと導いたのは高校1年時の物理の先生。音叉(さ)や振り子など道具を使って解説する授業が分かりやすく、その面白さに引き込まれた。音の周波数について研究し、県大会で最優秀賞を受賞。大学では、数学の自主ゼミにも参加し、学部卒業時には成績優秀者に与えられる賞を受賞した。

「5G(高速大容量の次世代移動通信システム)やAIで、多くの技術が想像もできないほど急速に発展する」と熱を込める。「ポケモンGO」のように実際にはないものがあるように見えるAR(拡張現実)・VR(仮想現実)技術を進化させ、SF映画の世界のように、だれもが手軽に仮想空間でアバター(分身)になって自由に動けるような製品の実現も夢ではない-。

「物理や数学の知識を使って、ものづくりをしたい。その先に、使う人の喜ぶ顔が見えたらうれしい」。その瞳は未来を見つめていた。

(2019年11月15日付熊本日日新聞朝刊掲載)

坂本啓維(さかもと・ひろゆき) 略歴

坂本啓維さん

1995(平成7)年生まれ。学園大付高から宮崎大に進み、同大学院工学研究科修士課程2年。中学時代にキーボードのタイピングにはまり、パソコンの構造を調べるなど電子機器に興味を持った。

〈取材を終えて〉 根っからの理系脳

研究の合間に仲間と談笑する坂本啓維さん(右)=宮崎市の宮崎大

取材中、質問に理路整然と即答してくれた坂本さん。小学生時代、理詰めで議論しかけては、相手を言い負かしていたことから、検事を目指していたというのもうなずける。研究に疲れたときの息抜きは、数学検定の勉強をすること。数学は解が一つで、定義に基づいて答えまでたどり着けるところが好きだという。根っからの理系脳だ。学内の「映えスポット」を紹介してくれたり、お茶目な一面も見せてくれた。(緒方李咲)

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