緑川流域の治水・利水遺構を巡る 「水との戦い」の歴史満喫

緑川流域の治水・利水遺構を巡る 「水との戦い」の歴史満喫

ゆるっとチャリ旅

自転車でゆっくりペースで熊本市近郊などを走り、立ち寄りスポットを紹介するシリーズ「ゆるっとチャリ旅」。

かつて舟運に利用され、今も多くの田畑を潤す緑川。400年以上前から改修が繰り返されている治水・利水遺構を眺めながら、緑川流域を走りました。(熊本日日新聞社読者・NIEセンター 鹿本成人)

地図

赤い線が今回の走行ルート。番号で表示しているのが、写真入りで紹介する立ち寄りスポット(各写真の説明文に番号)

※2019年10月11日付熊本日日新聞夕刊掲載。文中の情報は掲載日時点のものです。

昔ながらの交通の要衝 国史跡「船着場跡」からスタート

まずは緑川について知ろうと、熊本大工学部の大本照憲教授の研究室を訪ねました。

「緑川流域には、被害を軽くする『水との戦い』の跡が多く残されています。約400年前の遺構もあり、当時の土木技術が見られる歴史的な流域です」と大本教授。走るのが楽しみになってきました。

船着場跡

①石が積み上げられた「船着場跡」。上にはJR鹿児島線と九州新幹線の線路が走る=熊本市南区

スタート地点には、緑川支流の加勢川にある国史跡・熊本藩川尻米蔵跡の一つ「船着場跡」(熊本市南区川尻)を選びました。今では水運は途絶えていますが、近くをJR鹿児島線と九州新幹線、国道3号が通り、交通の要衝であることに変わりありません。石積みの船着場跡を眺めて、出発。

400年前の洪水対策「轡塘(くつわども)」

国道3号で加勢川と緑川を渡り、緑川支流の浜戸川に沿って上流へ。目指したのは同区城南町島田地区の「轡塘(くつわども)」です。大本教授によると、意図的に川幅を広げて堤防を低くしてあるということです。実際に走ると、堤防が急カーブして川幅が広がり、一部が低くなっていました。

浜戸川の「轡塘」

②浜戸川の「轡塘」。写真では分かりにくいが、画面中央付近が少し低くなっている=熊本市南区

大本教授の「洪水時の流れを緩やかにするとともに、周囲の水田に水をあふれさせて堤防が壊れるのを防ぐ仕組み」という解説を思い出しながら見学。400年ほど前に築かれた同じ形式の堤防は、浜戸川のほか緑川にも複数あります。

緑川と津留川の合流地点で「沈み塘」「鵜の瀬堰(うのせぜき)」を見学

水田地帯を突っ切って緑川へ向かい、堤防上を上流へ。途中、釣り道具を手にした松下勝十四さん(80)=熊本市南区=に声を掛けると、これからアユを取るといいます。「子どものころからアユを取っています。毎年、10月中ごろから釣れる子持ちアユが楽しみ」とニッコリ。アユを食べたくなってきました。

③沿道に咲いていたヒガンバナ。秋本番を感じさせてくれる=甲佐町

さらに上流へ。緑川と津留川の合流地点では、流れを安定させるために川の中に設けた「沈み塘」を見学。その少し上流には、緑川を斜めに横切る「鵜(う)の瀬堰(せぜき)」(甲佐町)があります。川幅は100メートルほどですが、堰の長さは約600メートル。川の流れを受け止めるために、斜めに築いたといいます。

鵜の瀬堰

緑川を斜めに横切る鵜の瀬堰。大半はコンクリートで固められていたが、左岸の一部に石積みが見える=甲佐町

川の恵み「アユ」をいただく 塩焼きなどでおなかいっぱいに

やな場

④甲佐町やな場。竹製のやなで、落ちてきたアユを捕まえる=甲佐町

鵜の瀬堰から引いた水を利用してアユを取るのが「甲佐町やな場」(同町)です。従業員の米村真里亜さん(45)によると、細川忠利公の命で約400年前に開かれたということです。アユづくしの料理をいただきます。塩焼きやアユご飯など、川の恵みでおなかがいっぱいに。

落ちアユの季節に再訪しようと思いながら帰途につきました。

走行ルートと立ち寄りスポット

【当日走行MEMO】
走行距離 38キロ
走行時間 2時間15分
平均時速  17キロ
高低差  50メートル
所要時間 2時間50分
(サイクルコンピューターなどによる)

※地図上の走行ルートは、GPS機器で位置情報を把握した主要ポイントをつなげたものです。あくまで目安であり、詳細でみると、実際の走行ルートと一致しない部分もあります。

【サイクリング楽しむためのプチ助言】 パンク防止へ、タイヤの空気圧は定期的にチェック!

空気圧計が付いている空気入れ

空気圧計が付いている空気入れ。複数のバルブに対応している製品もある

自転車のタイヤ、どれくらいの頻度で空気を入れていますか? 空気は自然と抜けていくもの。定期的に補充しないとタイヤがぺたんこになり、パンクのリスクが高まります。

多くの自転車は、タイヤの中に空気を入れたチューブがあります。空気が抜けると、ペダルを回す時に重く感じるようになります。空気がなくなってパンクすると、チューブだけでなくタイヤまで傷つき、修理代がかさんでしまいます。

そこで空気入れが必要になりますが、購入するなら空気圧計付きがお薦め。空気圧が適正かどうか、ひと目で分かります。自転車の種類によって適正な空気圧は異なるので、把握した上で空気を入れてください。

また、シティーサイクル(いわゆるママチャリ)とスポーツ自転車では、空気を入れるバルブの形が異なるため、いろんな種類のバルブに対応する空気入れが便利です。

走行中のパンクは嫌なもの。タイヤの空気は定期的にチェックしましょう。(熊本県サイクリング協会・平川智美)

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