30歳からの挑戦「イラストを仕事にしたい」 2児育てる主婦 田中友里さん

30歳からの挑戦「イラストを仕事にしたい」 2児育てる主婦 田中友里さん

【令和に咲く】新時代担う若者に同世代の記者がインタビュー

田中友里さん

「ワンコインまつり」で、自作した段ボールの看板を手に笑顔の田中友里さん=熊本県宇城市

熊本日日新聞社の「平成生まれ」の記者たちが、IT業界やアート、音楽など、さまざまな分野で挑戦を続ける、熊本県出身や在住の同世代の若者を取り上げる連載「令和に咲く」。

今回は、2児を育てる主婦の田中友里さん(30)を取材しました。記事と写真は宇土支局の西國祥太記者(29)が担当しました。

子連れママのため「ワンコインまつり」開催 案内看板づくりで〝めざめ〟

案内看板

田中さんが段ボールで自作したワンコインまつりの案内看板。穴から顔を出して遊べるように工夫されている

子どもたちが綿あめを作って食べたり、ダンスを楽しんだり…。宇城市小川町のビジネスサポートセンターで9日にあった「ワンコインまつり」は、元気な声でにぎわった。開催は2度目。運営する約10人のママを仕切っていたのは、2児を育てる主婦の田中友里さん=同市=だ。

同市の食品製造会社で夫智康さん(35)と知り合い、社内結婚。長男洸成ちゃん(3)の育児休暇の後、「育児に集中せんばいかん」と退職した。その後、長女双葉ちゃん(1)にも恵まれた。

2016年の熊本地震をきっかけに実母との同居が始まると、少しだけ時間に余裕ができた。「何か社会と関わっとかんと」。同センターで、女性対象の在宅就労支援セミナーに参加した。同じように社会との関わりを望んでいるママ仲間と出会った。

準備

ママ友と協力し、ワンコインまつりの準備をする田中さん(左)

「このセンターを有効に使えんかな」と思い付いたのがワンコインまつりだった。仲間や市職員の後押しもあった。「子連れママが参加できるまつりを、自分たちでつくった感じ」。司会や接客、ダンスの盛り上げ役…。ママたちは得意分野でまつりに参加した。田中さんの担当は看板などのイラスト。子どもが寝た後、作業に没頭した。

高校時代のノート

田中さんの高校時代のノート。歴史上の人物の似顔絵に吹き出しをつけて暗記していた

イラストは「楽しい雰囲気を演出してる、かわいい」と好評だ。それが「仕事になるかもしれん」と思ったのは今年に入ってから。振り返ると学生時代、苦手な歴史を克服しようと人物をノートに描いて覚えていたほど、イラストはいつも身近な存在だった。

「グラフィックレコーディング」が評判に 仕事も舞い込み始める

3月にあったまちづくりセミナーでは、発言内容を絵で記録する「グラフィックレコーディング」をやってみた。似顔絵を駆使した会議録の評判は上々。それから、チラシ作成の仕事も舞い込んで来るようになった。

グラフィックレコーディング

イラストを使って記録する「グラフィックレコーディング」に取り組む(田中さん提供)

今、思い始めているのは本格的にイラストを仕事にしよう、ということ。イラストで自己紹介する冊子「別冊田中」、段ボールの名刺…、いろいろとPRも開始。ひょっこり参加した自治体のセミナーから、30歳ママの挑戦が始まった。「スキルば磨いて、バリバリ働くぞー」

別冊田中

田中さんが自己紹介用に作った冊子「別冊田中」。企画の協力依頼用に手書きした

(2019年11月22日付熊本日日新聞朝刊掲載)

田中友里(たなか・ゆり) 略歴

家族4人

家族4人で笑顔の田中友里さん(左)

1989(平成元年)年9月20日生まれ。インスタグラムアカウントは「@ta19ka」。11月24日、宇城市の小川町商店街一帯である「かるかや市」では段ボール工作のワークショップ講師を務める。

〈取材を終えて〉 次々と企画仕掛ける

将来設計図

田中さんがビジネスサポートセンターのセミナー時に描いた将来設計図

田中さんは、熊本弁を駆使しながらも淡々と話すタイプ。「家族や周囲の理解のあるけんが、イラストもやっていこうて思うたとです」と、自分の環境に感謝している。「勉強好かんかったけん、セミナーとかで下向く大人の気持ちも、よー分かるとです」。イラストで、そんな人の顔を上げることが目標だそうだ。

今、キャンプ用品店に持ち掛けて企画しているのが「父子キャンプ」。父親と海で釣りをした楽しい記憶があり、「子どもにそぎゃん体験ばしてほしかですね」。母のたくましさで、どんどん企画を立てていく田中さん。イラストのスキルも磨いて、活躍の場を広げてほしい。(西國祥太)

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