草枕の道たどり、峠の茶屋から小天温泉へ 金峰山一帯でちょっぴり味わう漱石気分

草枕の道たどり、峠の茶屋から小天温泉へ 金峰山一帯でちょっぴり味わう漱石気分

日帰りバス・鉄旅

熊本市を起点に、路線バスや鉄道を使ってスローな「日帰り旅」を楽しむこの企画。

今回の目的地は、毎日仰ぎ見ている金峰山一帯。夏目漱石が歩き、後に小説で描いた「草枕の道」をたどったり、観光農園でミカン狩りを楽しんだりしました。(編集委員室 津留三郎)

旅のしおり

地図

※2019年12月3日付熊本日日新聞夕刊掲載。文中の情報は掲載日時点です。

「草枕」冒頭の場所とされる鎌研坂を上る

いつもは一人旅ですが、今回は自分の休みを使って会社の同僚が付き合ってくれました。桜町バスターミナルで待ち合わせ、金峰山方面に向かう荒尾橋行きに乗り込みます。

市街地からわずかの距離ですが、山が迫るにつれ道はバス1台がやっと通れるほど狭くなりました。漱石が二つの峠を越え、玉名市の小天温泉まで歩いたコースが「草枕の道」。起点は荒尾橋より手前の岳林寺ですが、荒尾橋まで乗車します。抜けるような青空が心地よいです。

小説「草枕」の冒頭の一節「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた」の場所とされるのが鎌研坂(かまとぎざか)。漱石が歩いた頃と変わらないような雰囲気を味わいつつ、木漏れ日を浴びながら上っていきます。不法投棄でしょうか、ところどころに古タイヤが転がっていたのは興ざめでした。

鎌研坂

夏目漱石の小説「草枕」の舞台の一つとされる「鎌研坂」

歩いて「峠の茶屋公園」を目指す 昼食は名物のだご汁

峠の茶屋公園の看板

峠の茶屋公園の看板

幹線道路に出て「峠の茶屋公園」を目指します。路線バスが通っている道路ですが、本数が少なくしばらくは歩きが続きます。「『おい』と声を掛けたが返事がない」。小説には一軒の峠の茶屋が出てきますが、「草枕の道」には鳥越と野出の二つの茶屋跡があります。

訪れた公園内にあるのは鳥越の茶屋跡。井戸が残っていて、漱石も使ったかもしれません。

井戸

「峠の茶屋公園」内にある茶屋の跡地。奥には井戸がある

峠の茶屋跡の標柱がある場所から少し離れたところに、当時の茶屋を再建したという資料館があります。現在は改装工事中のため入れません。「峠の茶屋だご汁や」は営業中で昼食は名物のだご汁。幅広で太い麺状になっただごや、たっぷり入った野菜の味がしみました。

「峠の茶屋公園」名物のだご汁

「峠の茶屋公園」名物のだご汁。だごは麺状になっている(写真は2人前)

「優峰園フルーツランド」でミカン狩り もぎたては格別

ミカン狩り

金峰山一帯ではミカン栽培が盛ん。観光農園ではミカン狩りが楽しめる

「草枕の道」とは離れバス通りを歩いて河内方面に下っていきます。道沿いにある「優峰園フルーツランド」には、ミカン狩りの体験学習でたくさんの小学生が訪れていました。

斜面には数え切れないほどのミカンの木があり、それぞれに実が鈴なりになっていました。久しぶりにミカン狩りをしたが、もぎたての味は格別でした。ミカン狩りは最終盤でイチゴ狩りのシーズンに移ります。

「金峰森の駅みちくさ館」に立ち寄り、すぐ前のバス停から河内温泉行きのバスに乗り込みます。河内亀石で乗り換え小天温泉へ。バス停近くの前田家別邸が全長約15キロに及ぶ「草枕の道」の終点です。浴場跡などを見学します。

露天風呂からの眺め素晴らしい 「草枕温泉てんすい」

ミカン園に囲まれた道を上り、「草枕温泉てんすい」を目指します。途中、「草枕交流館」で「草枕」と前田家との関わりを紹介する映像などを見ました。連れは初めてだそうですが、ここの温泉は何回か来たことがあり、有明海や干拓地などを見下ろす露天風呂からの眺めが相変わらず素晴らしい。

海に沈む夕日の写真を撮りたかったのですが、バスの時間は迫るのになかなか沈んでくれず、思っていたような写真は撮れなかったのが残念。

夕日

有明海に沈んでいく太陽。夕日というにはまだ間があった

蛇足ですが、桜町バスターミナルに戻ると、「サクラマチ クマモト」内の行きたかったレストランで念願の食事をして旅を締めくくりました。

旅で立ち寄ったスポット

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