お酒の素晴らしさ伝える店 熊本市中央区の川上酒店 人と人つなぐ力で人生を豊かに

お酒の素晴らしさ伝える店 熊本市中央区の川上酒店 人と人つなぐ力で人生を豊かに

ぶらり新町・古町

熊本市の新町・古町をさるく。町屋があり、歴史的な橋がある。履物店をのぞき、写真館を見てはいにしえの町並みを想像する。横浜からの単身赴任者には、物珍しいことばかり。きょうもぶらぶらと、そぞろ歩きを始めた。

店内には2000種類以上のお酒

川上酒店

地元の方々が通う川上酒店。お店は地域になじむつくりだ=熊本市中央区万町

お酒をもっと楽しく学んでみませんか―。日本酒やワイン、ウイスキーのセミナーを頻繁に開き、お酒の素晴らしさを伝える店がある。

唐人町から米屋町を抜けて、泰平橋の手前の小道を曲がると、地元の方々が通う川上酒店(熊本市中央区万町)に着いた。明治時代にげたを商っていた木造商店を改装。店内には熊本の日本酒や焼酎、ワイン、ウイスキーが2000種類以上並ぶ。特に熊本産のお酒はほぼ網羅している。

なじみ客が新しいお酒が入っていないかと寄る。店主の川上靖さん(56)は利き酒師、妻の千恵さん(55)はソムリエ。自分で飲むのかプレゼント用か、舌触りから温度管理までお客さんに的確にアドバイスしてくれる。

全国的に珍しい熊本の酒文化 「地元のお酒知ってほしい」

靖さんは「お酒には人と人をつなぐ力がある。たしなみ方を身につければ、人生が楽しくなる。熊本県人は〝わさもん〟で県外の商品を重宝がるが、地元に立派なお酒があることを知ってほしい」と語る。

川上靖さん

所狭しとお酒が並ぶ。お酒を楽しく飲んでほしいと川上靖さん

熊本県には熊本地方で日本酒、人吉・球磨地方で焼酎と、二つのお酒文化圏がある。こうした県は全国的に珍しいそうで、多様なお酒、文化を味わえる。

そんな思いからセミナーを始めたのは6年ほど前。今では日本酒とウイスキーは月にそれぞれ1回、ワインは月に4回開く。酒蔵やバーから講師を呼んで、お酒のいろんな味わい方を楽しんでもらう。

ワイン講座に潜入 香り、うまみ、飲み合わせ…お酒は深い

金曜日の夜。ワイン講座をのぞいてみた。「きょうはピノ・ノワールというブドウ品種からワインを見てみましょう」。千恵さんが講師役となって講座が始まった。

ピノ・ノワールはフランスのブルゴーニュ地方が原産で、最近人気が出ている品種という。ルビー色で、香りは産地や気候などで違いが大きいことなどを学んだ。

座学が終わり、お待ちかねのテイスティングに。この日は6種類のワインを味わえた。

千恵さんは、上品な語り口で受講者を和ませる

まずイタリア産の「ヴァッレ・ダオスタ」から。「香りをかいでください」と千恵さん。「プラムかなあ」「梅干しみたい」と笑顔の受講者たち。千恵さんは手慣れた手つきでスワリング(グラスを揺らして香りを出すこと)してからテイスティング。「タンニンが強くなくて、細やかですね」。受講者は、うん、うんとうなずいた。

次は日本の広島産「トモエ」だ。「赤いフルーツを思い浮かべてください」と千恵さんは受講者に話しかける。「ストロベリー」「ラズベリー」「チェリー」と受講者。千恵さんは首を傾けて「ザクロでしょうかね」と正解を出した。確かに! イタリア産より酸味があって、しっかりした味わいだった。

「広島の三次(みよし)が産地で、現地にはジビエの文化があります。このワインにはイノシシよりもシカの赤身が合います。しょうゆはあまり甘くないもので」と合わせる料理まで指導してもらった。

酒店はかつて靖さんの曽祖父が新屋敷で営んでいた。戦争で一時途絶えていたが、靖さんの父と靖さんが23年前に万町で復活させた。靖さんは東京や広島でサラリーマンをしていたが、「自分のルーツがある熊本で居を構えたかった」と振り返る。

それからは勉強の日々。香り、うまみ、器、温度、飲み合わせ…。お酒は深い。靖さんは「人類が太古から作り続けているからには、われわれに必要なもの」と語る。お酒で人生を深く、楽しく生きることを川上酒店は提案し続ける。

店舗情報

住所 熊本市中央区万町2丁目3

アクセス 熊本市電「呉服町」電停より徒歩3分
営業時間 9時~19時
定休日 日曜、祝日
電話 096-326-1568
公式HP https://k-sake.com/

※情報は2019年12月23日時点です。

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