「時代に合った仕事をしたい」 民泊施設運営の大学生・下田恭平さん 3年ごとにプラン作り実行

「時代に合った仕事をしたい」 民泊施設運営の大学生・下田恭平さん 3年ごとにプラン作り実行

【令和に咲く】新時代担う若者に同世代の記者がインタビュー

下田恭平さん

運営する民泊施設に立つ下田恭平さん=熊本市中央区

熊本日日新聞社の「平成生まれ」の記者たちが、IT業界やアート、音楽など、さまざまな分野で挑戦を続ける、熊本県出身や在住の同世代の若者を取り上げる連載「令和に咲く」。今回が最終回です。

今回は民泊施設とシェアハウスを運営する下田恭平さん(24)を取材しました。記事と写真は、宇土支局の西國祥太記者(29)が担当しました。

就職への意欲湧かず休学 「経験値を積もう」気持ち切り替え

下田さんが運営する熊本市中央区の民泊施設「obi house」(オビハウス)のロゴ

熊本学園大4年の下田さん=熊本市中央区=は学業の傍ら、同市内で民泊施設とシェアハウスを運営している。民泊施設は築50年以上の長屋を改装したもので、女子ハンドボール世界選手権の開催時にはオランダ代表の家族が宿泊した。新しい職業が次々と生まれる時代。「就職にこだわらず、3年ごとにプランを作り、時代に合った仕事をしたい」

21歳。大学3年の就職活動中に立ち止まった。広告ベンチャーでインターンをしたが、ピンと来ない。ふさぎがちになって休学。周囲が就職を決めていく中で、レールを外れることに不安もあったが、就職への意欲が湧かなかった。「経験値を積もう」と気持ちを切り換えた。

3カ年計画作り両親説得 「やりたいことやらせて」

「普通に就職して」と願う両親を説得する必要があった。海外を見ること、起業することなどの目標をまとめ「恭平の3カ年計画」と題してプレゼンした。「やりたいことをやらせてください」。父親は「好きにやってみろ」と言ってくれた。

兵庫県の城崎温泉にある旅館で住み込みで働くなどして活動資金を集めた。フィリピン・セブ島では働きながら学び、起業についても勉強した。オーストラリアの島の高級ホテルでは、清掃や通訳をして働いた。

海外で利用した民泊に活路 「インバウンド増える日本で」

海外で利用した民泊はまだ日本で浸透していなかった。「インバウンドが増える日本で開きたい。人が好きな自分に合うはず」。煩雑な手続きに苦労しながら今年8月、開業した。稼働率は約50%で4割が外国人客。新卒の初任給程度の収入にはなった。民泊サイトの口コミでは英語や中国語で上々の評価だ。今後は満足度を上げて、取扱物件を増やすことも考えている。

運営する民泊物件の掃除をする下田さん

25日夜、下田さんも暮らすシェアハウスでクリスマスパーティーがあり、住民や大学生ら9人が鍋を囲んだ。下田さんの役目は、留学希望の後輩に助言をすること。将来のことや海外生活のリアルを語り合った。

第1期「恭平の3カ年計画」はそろそろ終盤。「ほぼ予定通りにいった」と思う。次の3年間をどう生きていこう-。今、第2期計画を思案中だ。

(2019年12月27日付熊本日日新聞朝刊掲載)

下田恭平(しもだ・きょうへい) 略歴

1995(平成7)年生まれ。4人きょうだいの末っ子で長男。シンガー・ソングライターとしても活動する。

〈取材を終えて〉 熊本ゆかりの若者たちからもらった刺激、忘れない

シェアハウスで、後輩と話をする下田さん(右)

クリスマスの夜。下田さんや大学生たちと話していて「若いつもりが年を取った。十年一昔なんだな」。ひしひしと感じた。

3カ年計画を立てて、時代に合った仕事を見つけていくという下田さんの考え方は、同じ平成生まれの私にも斬新に映る。しかも、それをスライドにまとめ、家族にプレゼンしたからというから驚きだ。下田さんは、スマートフォンに「自分取扱説明書」「人生プラン」なども書き留め、随時更新している。

下田さんのスマートフォン

「自分取扱説明書」「人生プラン」などをメモした下田さんのスマートフォン

人口減少や終身雇用の崩壊、AIの台頭など、日本は大きな転換点にある。変動する社会に、ちょっと下の世代が必死に対応する姿を垣間見た気がしている。

「3年後にまた取材してください」。下田さんにそう言われた。2022年を心待ちにしておこう。

連載は今回が最終回。取材から編集まで、平成生まれの28人でつくりあげた。そして登場してもらった熊本ゆかりの平成生まれの人たちから、多くの刺激をもらった。今後も若いマインドを忘れることなく、令和時代の仕事に励んでいきたい。(西國祥太)

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