線路跡たどり菊池市へ 電車に自転車載せて、ちょっと遠くに

線路跡たどり菊池市へ 電車に自転車載せて、ちょっと遠くに

ゆるっとチャリ旅

自転車でゆっくりペースで熊本市近郊などを走り、立ち寄りスポットを紹介するシリーズ「ゆるっとチャリ旅」。

サイクリングの楽しみの一つは遠くへ行くことですが、全行程を自力で走ると、時間や体力の面で制約もあります。自転車をそのまま持ち込める熊本電鉄を利用して、熊本市から菊池市へ、楽をしながら週末旅行を楽しみました。(熊本日日新聞社読者・NIEセンター 鹿本成人)

ちず

赤い線が今回の走行ルート。番号で表示しているのが、写真入りで紹介する立ち寄りスポット(各写真の説明文に番号)

※2020年1月10日付熊本日日新聞夕刊掲載。文中の情報は掲載日時点のものです。

藤崎宮前駅を出発 自転車で改札通過、新鮮な感覚

御代志駅

①御代志駅のホームで。ホームに自転車がある風景が珍しく、駅名板を入れて記念撮影=合志市

今回のスタートは、熊本市中央区の藤崎宮前駅です。左手で自転車を押し、右手で交通系ICカードをタッチして改札を通過。新鮮な感覚です。ただ、いつもは十分な広さのあるホームは、自転車を押しながらでは少し狭く感じます。利用可能な曜日、時間帯であっても乗客が多い時は、自転車は遠慮した方がよさそうです。

電車に乗り込むと、観光客やジャージー姿の高校生に交じり、買い物客や家族連れも。沿線の暮らしぶりが見えるようで楽しくなります。

同鉄道運輸課長の中野育生さん(54)によると、乗客が少ない昼間の利用増などを目的に、1986年から追加運賃なしで自転車を受け入れているそうです。全国でも先駆的な取り組みだったといいます。

御代志駅に到着 国道沿いを菊池市へ

塩浸川を渡る江良側道橋

②塩浸川を渡る江良側道橋。鉄道橋を歩道の橋として転用しているという=合志市

藤崎宮前駅から約30分で、御代志駅(合志市)に到着。電車のおかげで、車が多く自転車が走りにくい熊本市内の道をパスできて便利です。

自転車にまたがり国道387号を北上。古い地図によると、御代志-菊池間の線路は、ほぼ国道沿いに延びていました。1986年の廃止から30年以上たち痕跡は乏しいのですが、ところどころに線路跡と思われる盛り土が見られます。

合志市の塩浸川を渡る江良橋の側道橋は、鉄道橋を転用したもの。歩行者・自転車用の側道橋にしては頑丈すぎる構造です。ぶ厚い鉄板やボルトなど武骨な構造が、鉄道橋だった時代をしのばせます。

ゴールはかつての菊池駅 いまも交通の要衝

道の駅泗水・養生市場で飲んだ地元産の牛乳

③道の駅泗水・養生市場で飲んだ地元産の牛乳。こくがあっておいしい

菊池市泗水町の住宅街で合志川沿いを散歩していた塚本喜和子さん(83)=同町=に声を掛けると、「近くの旧高江駅から、電車で菊池の街へ買い物に行っていましたよ」。内田ミヨ子さん(84)=同町=は、電車で熊本市内の高校へ通っていたといいます。「60年以上前、車内は高校生でぎゅうぎゅう詰めでしたね」と懐かしそうです。

道の駅泗水・養生市場(同町)で小休止した後、花房台地の坂を一気に下り、熊本電鉄菊池プラザ(菊池市隈府)のバスターミナルに到着。かつての菊池駅はバスターミナルへ姿を変えましたが、交通の要衝であることに変わりはないようです。

熊本電鉄菊池プラザ

④かつて菊池駅だった、熊本電鉄菊池プラザ。現在はバスターミナルとなっている=菊池市

メモ

熊本電鉄の自転車持ち込みが可能な時間帯は、平日・土曜の午前9時~午後3時半と、日祝日の終日。なるべく列車後方の利用を。雨天時や混雑時は持ち込み不可。

【お気に入りの1枚】 花房坂展望所から農村地帯を一望

花房坂展望所からの眺め

国道387号の急坂の途中に設けられた花房坂展望所(菊池市木柑子)からは、農村地帯が一望できます。ただし、坂が苦手な電車にとっては、難所だったはず。古い地図を見ると、鉄路は展望所付近で大きく蛇行しながら、少しずつ坂を上っていた様子がうかがえます。

【当日走行MEMO】
走行距離   17キロ
走行時間 1時間10分
平均時速   14キロ
高低差  60メートル
所要時間   2時間
(サイクルコンピューターなどによる)

【サイクリング楽しむためのプチ助言】 便利な「サイクルトレイン」 行動範囲広がる

熊本電鉄の列車

自転車を分解せず載せられる熊本電鉄の列車=熊本市

ヨーロッパでは、当たり前のように「サイクルトレイン」が運行されています。サイクルトレインとは、自転車を分解せず、そのままの状態で載せられる列車のことです。

国内ではまだ少ないのですが、熊本電鉄では1986年から時間帯や曜日を限定して持ち込みが可能で、先駆けのひとつになっています。昨秋からは人吉球磨地域を走る、くま川鉄道でも予約制で運行。今春から、八代市や鹿児島県を走る肥薩おれんじ鉄道でも計画されています。

サイクルトレインは便利です。車の利用では、駐車場のことを考えた上、サイクリングの後に戻ってくる必要があります。ところが列車での移動なら、駐車場へ戻る必要はなく、帰りは居眠りもできます。うまく利用すれば行動範囲が広がり、好きなコースを走ることができるのです。

サイクリングの後、ビールを飲みながら列車で帰宅できるようになったら、楽しそうですね。もちろん自転車も「飲んだら乗るな」。歩いて帰りましょう。(熊本県サイクリング協会・岩永茂利)

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