純白に映える縁起物 細工物のかまぼこ作り続ける「益雪かまぼこ店」

純白に映える縁起物 細工物のかまぼこ作り続ける「益雪かまぼこ店」

ぶらり新町・古町

熊本市の新町・古町をさるく。町屋があり、歴史的な橋がある。履物店をのぞき、写真館を見てはいにしえの町並みを想像する。横浜からの単身赴任者には、物珍しいことばかり。きょうもぶらぶらと、そぞろ歩きを始めた。

細工物作り「注文がある限り」

益雪かまぼこ店

細工町にある「益雪かまぼこ店」=熊本市中央区

坪井川にかかる一駄橋の近くに、地域に根を張る「益雪かまぼこ店」(熊本市中央区細工町)がある。真っ白なかまぼこは保存料を使っていない。扇やえとなどの縁起物を模した細工物のかまぼこを作り続けている。

取材の日、ご主人の益雪薫さん(55)が細工物を用意して待っていてくれた。扇形のかまぼこに鮮やかな赤の「寿」が映える。紫の藤も縁起物として定番だ。「注文がある限り続けますよ」と益雪さん。先代である父の作業を参考に見よう見まねで作ってきた。食紅は黒、緑、青、赤、黄を混ぜる。寿は食紅を多めに使って目立つ色に、紫は赤と多めの青で彩る。

この日はハートの形をしたかまぼこもあった。益雪さんが行きつけのバーからの特注。「高齢のお客さんが多いらしいのですが、あんまりチョコレートとか食べないらしく、特別に注文があったのです」。意外なところにニーズがあるようだ。

細工物

細工物。寿や藤をあしらう。右は特注のハートの形

近年はかまぼこ店の需要も減少 学校や病院向けに生産

お店は1964(昭和39)年に父が創業した。坪井川がすぐ近くを流れており、父は以前貸船店を営んでいた。川での流通が減ることを見越して、近くのかまぼこ店に修業に出た。祖父の代は船宿も併設していた。その前は洗剤や歯磨き粉に使う白炭を商っていた。

東京五輪の年に生まれた益雪さんが少年のころは坪井川でカニを捕って遊んだ。高度成長期で川の水はあまりきれいではなかった。川で商品を運ぶ業者も少なくなっていたが、商店街にはまだ活気があった。

その後、食の洋風化、仕出店の減少などで、かまぼこ店の出る幕も減ってきた。

結婚披露宴用に細工物を毎日のようにあくせく作ったのは一昔前の話のように思える。

今は、学校や病院向けのかまぼこ生産が多い。定番の板付きかまぼこもつくる。板はカシの木を使う。幅は一寸六分(約5センチ)。かまぼこの表面がでこぼこにならないよう丁寧に形を整える。近くの人がちらほら買い求めてくれる。

ほこ型

ほこ型

お店のすぐ横は小沢町だ。竹の馬場(たけんばば)と呼ばれる地域。その昔憲兵が馬をつなぎとめた場所があったそうだ。

益雪さんによると、一駄橋はもともと市田橋と書かれていたようだ。市田という関につながる橋だった。橋の通行に駄賃を取ったため、一駄橋と記されるようになったそうだ。

酒のつまみに板わさやちぎり揚げをいただく

板わさ

板わさをつまみに

アレルギー体質の顧客が増えていることを気にして、つなぎに卵白を使用しない。純白を守るため、白身魚はかまぼこ向けとしては値の張るものを仕入れる。

いつもの老舗料理屋梅鉢(熊本市中央区船場町)で白かまぼこやちぎり揚げを酒のつまみにいただいた。

かまぼこは大将がきれいにわさびを乗せて、板わさにしてくれた。かまぼこの純白とわさび色のコラボは見栄えがして気分がいい。食感は予想よりやや柔らかい感じ。高齢者が集まるバーで要望があると書いたが、確かに歯が弱いご老人に合うのではないか。

きつね色のちぎり揚げは一口サイズで、食感がしっかり。自分には食べやすかった。お酒を飲むと、揚げ物の強みが出るようだ。

ちぎり揚げ

揚げ物も何種類か扱う。下がちぎり揚げ

その様子を見ていたカウンターの常連客から「おいしそうだね。食べさせてよ」。ちぎり揚げを乗せたお皿は引く手あまたとなり、箸と杯が進んだ。

益雪かまぼこ店

住所 熊本市中央区細工町3-48

アクセス 熊本市電「祇園橋」電停より徒歩5分
営業時間 9時~17時
定休日 日曜、祝日
電話 096-353-2435

※情報は2020年3月2日時点です。

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