「パルコ、ありがとう!」 33年の歴史に幕、最終営業日まとめ 今後の動きも

「パルコ、ありがとう!」 33年の歴史に幕、最終営業日まとめ 今後の動きも

熊本パルコ

最終営業日の熊本パルコ=2020年2月29日、熊本市中央区

熊本市中央区のファッションビル「熊本パルコ」が2020年2月29日、閉店しました。営業終了後に予定されていた閉館セレモニーは新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止になりましたが、若者らが最後まで買い物を楽しみ、閉店を惜しみました。

熊本パルコの最終営業日の様子と、今後の動きをまとめました。(取材=山本文子、丸山伸太郎記者 撮影=小野宏明、後藤仁孝記者)

※2020年2月29日~3月2日付掲載の熊日朝刊の記事を再構成しました。

開店前から行列 最後まで惜しむ声

熊本パルコ閉店

熊本パルコ閉店の限定手拭いを受け取ろうと行列をつくる人たち

最終日の2月29日は午前10時の開店前から約250人の行列ができました。熊本パルコの社員2人が店頭で「33年間、ありがとう」の文字などがプリントされた手拭いを500人に手渡しました。

営業を終えた午後8時過ぎ、同店の社員9人全員が店頭で「ありがとうございました」と頭を下げながら声を張り上げると、下通アーケードに集まった若者らから「パルコ、ありがとう!」との声が飛び、拍手が起きました。

熊本パルコ

熊本パルコの店頭で、最後のあいさつをする同店の社員

1986年の開店以来、若者のファッションや文化の発信地としての機能、役割を果たしてきた熊本パルコ。2019年2月に営業終了が発表されて以降、閉店を惜しむ声が相次ぎました。

閉店セールに足を運んだ熊本市の大学生は「パルコは高校生の時に初めて化粧品を買った思い出の場」と残念そうな表情。服や化粧品を買うため、度々来店していたという女子高生(16)は「閉店したらどこで遊んだらいいのか。高校生でも気軽に入れる店だったのに」とぼやいていました。

八代市から訪れた会社員の女性(40)は「思い出の場所」という店が閉じることに寂しそうな表情を浮かべながらも、「新しくできる店も若者が気軽に買い物を楽しめる場所であってほしい」と話しました。

既存ビルは建て替え 2023年春に完成予定

熊本パルコ

最後の営業が終わり、屋上などのネオンサインが消えた熊本パルコ

これから熊本パルコはどうなるのでしょうか。

このまま撤退というわけではないようです。パルコ(東京)はビルを所有する三陽(熊本市)と建て替え後のビルについて商業施設の展開を検討するとした合意文書を交わしており、既存店の建て替えが実現すればパルコでは初のケースとなります。

閉店に伴い、同店の社員9人は配置転換。テナントの従業員約400人についてはテナントごとに他店舗への異動などの対応を取るということです。

閉店後の2020年4月からは、解体工事が始まる予定です。新しいビルの完成目標は2023年春。それまでの3年程度、熊本市中心部の一等地に“空白地”が生じます。

建て替え中は、「若年層の来街者が一時的に減る可能性がある」と懸念する経済関係者もいます。下通など周辺の商店街は、若年層向けの魅力を維持する取り組みが重要になりそうです。

新ビルの低層階にパルコ、上層階はホテルに

熊本パルコの元従業員

最終営業日、「パル子、卒業します!」と書かれた看板の前で記念撮影する熊本パルコの元従業員

熊本パルコが入居しているビルの建て替え計画について、ビルオーナーの三陽の木下修社長は、パルコの新業態店とホテルで構成する複合ビルとすることを明らかにしています。

高さなどの詳細は明らかになっていませんが、低層階にパルコの新業態店、上層階にホテルが入る計画です。どんな形態や価格帯のホテルを入居させるかについては「検討中」としています。

関係者によると、これまで三陽側は上層階を分譲マンションとする計画を軸に検討を進めてきました。しかし、中心市街地のにぎわいを創出する観点から最終的にホテルを入れることにしたということです。

建て替えるビルは容積率の緩和措置などを熊本市から受けられる「まちなか再生プロジェクト」の活用を検討。その対象となることを見据えて、備蓄倉庫も設ける方針です。

「期待以上の店に」 新たなパルコに注目

33年間、ありがとうPARCO

熊本パルコに隣接するお好み焼き店の看板に掲げられた「33年間、ありがとうPARCO」のメッセージ

閉店前日の2月28日には、木下社長とパルコ(東京)の牧山浩三社長らが熊本市役所で大西一史市長と面会。面会後、牧山社長はどんな業態の店舗にするかについて「マーケットの状況を見ながら検討する」とした上で、「パルコがやると面白いものができるという期待以上の店にしたい」と意欲を示していました。

現在のビルは1971年に「新世界・長崎屋サンショッピングセンター」として開業。86年に「熊本パルコ」に衣替えしました。

熊本パルコの前身「新世界・長崎屋サンショッピングセンター」=1971年10月撮影

長崎屋時代から数えると、やがて50年。「老朽化が否めず、建て替えを決めた」と三陽の木下社長は話しています。

熊本市ではJR九州が熊本駅ビルを2021年春に開業予定です。その後に開業する新しいパルコが、熊本市中心部のにぎわいづくりにどのように寄与していくか注目されます。「クロスくまもと」では、「新たなパルコ」に関する情報を随時更新していきます。

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