宮崎との県境・湯前町の神社仏閣巡り 心洗われる悠久の時

宮崎との県境・湯前町の神社仏閣巡り 心洗われる悠久の時

日帰りバス・鉄旅

湯前町

温泉宿泊施設「湯楽里」から望む、山々に囲まれた熊本県湯前町=2020年2月18日

熊本市を起点に、路線バスや鉄道を使ってスローな「日帰り旅」を楽しむこの企画。

熊本県の人吉球磨地方は貴重な社寺建築の宝庫です。国宝の青井阿蘇神社(人吉市)を筆頭に多くの国指定重要文化財があります。今回は宮崎と県境を接する奥球磨の湯前町を訪ねて、歴史ある神社やお寺を巡りました。(熊本日日新聞社嘱託論説委員兼編集委員・津留三郎)

旅のしおり

地図

※2020年3月6日付熊日夕刊掲載。文中の情報は掲載日時点です。

高速バスから鉄路に変更 くま川鉄道で終点目指す

旅は想定外の事態から始まりました。湯前町を訪問した2月18日は、大雪の予報でしたが、そうした様子はなく、気にもせずに桜町バスターミナルへ。宮崎行きの高速バスのチケットを買おうとすると、まさかの運休。人吉で降りるので鹿児島行きでもよかったのですが、こちらも運休。雪で高速道路が通れないためでした。

いきなりのつまずきでしたが、途方に暮れたということはなく、スマホで時刻表を調べてJR熊本駅へ。特急「いさぶろう1号」に乗れば、その後のスケジュールは予定通り。

人吉駅で降り、くま川鉄道に乗り換えます。同じ構内にありますが、こちらは人吉温泉駅。終点の湯前駅まで、気持ちいいほどまっすぐ延びる線路を進みます。快晴で周囲の山々の雪景色がまぶしい。

くま川鉄道

雪をかぶった山に向かってまっすぐ進むくま川鉄道

何度か食べたことがある湯前駅前のレストランに入り、人気メニューのチャンポンとカツ丼のセットで腹ごしらえ。最初の目的地の八勝寺(はっしょうじ)までは歩けば1時間以上かかりそうだったので、その後の歩きも考えてタクシーにしました。

山里にひっそり 国重文の八勝寺阿弥陀堂

山里に静かにたたずむ八勝寺阿弥陀堂(右側の建物)

ひっそりとした山里に八勝寺阿弥陀堂はありました。15世紀後半に建てられたとされ、国の重要文化財に指定されています。いったん瓦ぶきになりましたが、数年前の修復工事でかやぶきに戻りました。屋根に残った雪が、静けさをいっそう際立たせていました。

八勝寺阿弥陀堂

屋根に雪をかぶった八勝寺阿弥陀堂

地域に根差した信仰心がずっと保たれ、各所にお堂などが点在している人吉球磨地方。それを象徴するのが春と秋に行われる相良三十三観音の一斉開帳です。参拝者を地元の人が手作りの料理やお茶でもてなします。その第27番札所宝陀寺(ほうだじ)観音に行くと、ウメでしょうか、お堂の前にかれんな花が咲いていました。

宝陀寺観音

相良三十三観音巡り第27番札所の宝陀寺観音

静粛さ包まれる県内最古の木造建築 城泉寺阿弥陀堂

お寺や神社を訪ねると心が洗われる思いがしますが、次の城泉寺(じょうせんじ)阿弥陀堂では特にそう感じました。これまでも何度か訪れていて、周囲を包み込む静寂さは、いつも悠久の時の流れを感じさせます。鎌倉時代に建立された熊本県内最古の木造建築で国指定重要文化財です。

城泉寺阿弥陀堂

城泉寺阿弥陀堂は熊本県内最古の木造建築

この3カ所は近接していますが、次の目的地潮(うしお)神社と塞(さい)神社までは山裾の道を歩いて約40分。周囲を山に囲まれた風景が、どことなく自分の生まれ故郷と似ていて、懐かしさを感じながら進みました。潮神社は「おっぱい神社」の名で知られる女の神様。男の神様の塞神社と合わせて参拝すると、夫婦円満や子孫繁栄に御利益があるといわれています。

お目当ての温泉入れず、残念

さて、冷えた体を温めようと、お待ちかねの「ゆのまえ温泉 湯楽里(ゆらり)」へ。しかし、待っていたのは、この日2度目の想定外の事態。改修工事中で休館でした(2020年3月15日に営業再開)。バスの運休より、こちらのショックが大きかったです。湯上がりで寒風に吹かれていると風邪でも引きかねない、「温泉に入らないでよかった」と負け惜しみを言いながら、湯前駅まで約40分の道のりを足取り重くたどりました。

湯前駅から、帰りの列車に乗車。くま川鉄道が運行する車両はすべて、音符などが車体にデザインされた「田園シンフォニー」だ

旅で立ち寄ったスポット

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