削りたては風味が違う! かつお節届ける細工町の「松魚村平」 和食支える誇りのだしに

削りたては風味が違う! かつお節届ける細工町の「松魚村平」 和食支える誇りのだしに

ぶらり新町・古町

熊本市の新町・古町をさるく。町屋があり、歴史的な橋がある。履物店をのぞき、写真館を見てはいにしえの町並みを想像する。横浜からの単身赴任者には、物珍しいことばかり。きょうもぶらぶらと、そぞろ歩きを始めた。

ホテルや料理店へ「毎日届ける」

松魚村平

細工町にある「松魚村平」。お店は五福小学校近く。熟成加工バナナ専門店、松田青果の隣だ=熊本市中央区

削り立てのかつお節を毎日届ける。「松魚村平(しょうぎょむらへい)」(熊本市中央区細工町)の4代目、嶋村誠次朗さん(43)の信条だ。祇園橋から五福小学校に向かう途中のお店に入ると、全身がかつお節の心地よい香りに包まれた。

「花かつを削節機械」がぐるぐる回り、漆黒のカツオのくん製、荒本節が桜色の花に削られていく。その場でほおばる。しっとりとした食感だ。

かつお節は必ず配達する当日に削り、料理屋やホテルなどに届ける。かつお節は30分で酸化が始まると言われている。削り立ての風味のある商品を味わってほしいと願う。

鹿児島県枕崎産 乾燥効かせ、生臭さなくす

嶋村さん親子

店頭で笑顔の嶋村さん親子

取り扱うかつお節は、鹿児島県の枕崎産だ。現地の製造者には「一般的なものより乾燥を効かせているもの」を頼んである。水分をより飛ばすことで、生臭さをほどよくなくす。

最近は海の温暖化で、カツオの品質が安定しないという悩みがある。一方で、脂が乗っているカツオは刺し身には向いているが、かつお節にすると粉が多く出てしまう。

それでも嶋村さんは「和食を支えるだしを提供するのは大切なこと」と誇りを持つ。高血圧予防にも良いとされており、健康に貢献できる。取引先の料理店もこだわりのかつお節を待っている。雑味がない「血合い抜きかつお節」の注文が入る時もある。

最近は、一般向けの小売りにも積極的に取り組んでいる。冷ややっこに合う「糸削りかつお節」、お好み焼きやサラダに合う「かつお節粉」を店頭に置く。

離乳食や介護食にも生かせるような工夫をしたいと考えている。地元の小学校でかつお節の歴史やだしの作り方を講話したこともある。

明治33年創業の老舗 「松魚」はカツオの異名

お店は明治33年創業の老舗だ。父親が現在の細工町にお店を構えたのが昭和63年。嶋村さんは高校を出てから店を手伝っている。

松魚村平の「松魚」はカツオの異名。その切り口が松の木の年輪に似ているから付いた呼び名だ。

2.5キロほどのカツオから雌節(腹部分)2本、雄節(背部分)2本の4本が作られる。合わせて600グラムに凝縮される。

雌節は脂肪が多く、そばなどに適している。雄節は淡泊な味わいで、お吸い物に合う。

かつお節

左の2本が表面を仕上げる前の「荒本節」(左が雌節、右が雄節)、右の2本が表面を整えた「はだか本節」(同)。はだか本節の方が水分が少ない

お店には、母の美知子さんが嫁入り道具として持ってきた、かつお節削りがあった。削ってもらった。「昔はどこの家庭にもありました。懐かしい音です」。昭和の時代は台所で子どもたちもかつお節削りを手伝った。

湯豆腐、茶わん蒸し、おにぎり…うまさ格別

松魚村平のかつお節を行きつけの老舗料理店「梅鉢」(熊本市中央区船場町)で味わった。まずオニオンスライスと湯豆腐に付け合わせてもらった。風味があり、歯ごたえが柔らかい。

湯豆腐

行きつけの「梅鉢」で湯豆腐をいただく

次はだし取り。鍋の水が沸騰した後、少し冷ました後にかつお節を入れる。再び弱火で30秒温める。かつお節が鍋底に沈んだら、キッチンペーパーでこす。こうしてできただし汁を使った茶わん蒸しは格別。かつお節が入ったおにぎりは、ほっとする味だった。

だし汁のできあがり

茶わん蒸しとおにぎり

だし汁を使った茶わん蒸しとかつお節を入れたおにぎり

店舗情報

住所 熊本市中央区細工町3-39

アクセス 熊本市電「祇園橋」電停から徒歩4分
営業時間 8時~18時半
定休日 日曜、祝日(水曜不定休)
電話 096-322-4380
公式HP http://www.murahei.co.jp/

※情報は2020年4月9日時点です。

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