秘境の山道、路線バスで満喫 鹿児島県姶良市でマニアックな旅

秘境の山道、路線バスで満喫 鹿児島県姶良市でマニアックな旅

日帰りバス・鉄旅

まず、今回は非常にマニアックな旅だったことをおわびします。興味のない方には参考にならないでしょうし、そもそも何が楽しいのか理解できないでしょう。どんな旅かというと、一つの路線バスに乗るのが目的の旅です。(熊本日日新聞社嘱託論説委員兼編集委員・津留三郎)

旅のしおり

地図

※2020年4月3日付熊日夕刊掲載。文中の情報は掲載日時点です。

桜町バスタから高速バスで鹿児島へ

目的地は鹿児島県姶良(あいら)市。桜町バスターミナルから鹿児島行き高速バス「きりしま号」で出発します。途中、鹿児島空港に停車しますが、人吉インターで乗った人はだいたいここで降りるようです。両者間の所要時間は1時間弱で熊本空港より近いためです。鹿児島空港の次の停留所、高速帖佐(ちょうさ)で降りました。

西郷隆盛も訪れた蔵元で焼酎試飲

白金酒造の「石蔵ミュージアム」

白金酒造の「石蔵ミュージアム」。明治時代に造られた建物だ=鹿児島県姶良市

バスに乗って帰るだけではあまりに芸がないので、市内を走る路線バスに乗り換え白金(しらかね)酒造に向かいました。明治2年創業の鹿児島県内で最も古い焼酎の蔵元です。西郷隆盛も訪れたことがあるといいます。

明治時代の建物を利用した、焼酎造りの工程を学ぶことができる「石蔵ミュージアム」を見学しました。名前はミュージアムですが、時期によっては中で実際の焼酎造りも行われています。試飲して、気に入った1本を買い求めました。

石蔵ミュージアム

石蔵ミュージアム内にある焼酎の仕込み樽

幕末の志士も駆け抜けた!? 国史跡「白銀坂」

すぐ近くには国指定史跡白銀坂(しらかねざか)があります。江戸時代に、鹿児島城下と熊本との県境の大口方面を結ぶ街道として整備された「大口筋」の一部で、石畳が残っています。きっと幕末の志士たちが駆け抜けたのでしょう。

白銀坂

国史跡に指定されている白銀坂

狭い道に連続急カーブ 「こんなところ通るか」

木立に囲まれた幅の狭い道をバスは進む

さて、目的の路線バスは南国交通の木場(こば)線。JR日豊線の帖佐駅前と、薩摩川内市との境界付近の山間部を結んでいます。なぜ、これに乗ろうと思ったかですが、『秘境路線バスをゆく』という本がシリーズで発行されていて、そこで紹介されていたからです。どれほどの「秘境」か自分の目で確かめたくなりました。

「凱旋(がいせん)門前」という意外な名前のバス停を通過したあたりから、いよいよ市街地では経験できないバス旅を味わえます。ちなみに「凱旋門」は国登録有形文化財で、日露戦争に従軍した地元の人たちの無事帰還を記念して建てられたといいます。

バス1台がやっと通るほどの狭さ、連続する急カーブ、うっそうと並ぶ木立…。こんなところを通るのかというような山道を、バスは黙々と走り続けます。たまに視界が開けると、かなり高度が上がっているのでしょう、遠くに山並みが見えました。バスに乗り車窓を楽しむ「乗りバス」派にはたまらないひとときです。

バスの車窓

バスの車窓から遠くの山並みが見えた

バスの中から撮った写真では全体像が分かりません。そこで終点の木場に着いたら、一つ手前の岩井田バス停まで歩き、折り返してくるバスを撮影することにしました。距離がある割には時間がなく、半ば走りながら戻りました。見掛けない人間が山道を走っている。目撃者がいたら、さぞ不気味だったことでしょう。

南国交通の路線バス

終点の木場から折り返してきた南国交通の路線バス

温泉にゆっくり入れず いずれは熊本の秘境路線も

九州自動車道上り線の高速「帖佐」バス停

帖佐駅に戻り、JRで重富駅へ。実は初めに訪れた白金酒造はすぐ近くで、効率が悪い回り方になったのですが交通機関の時間に合わせたためこうなりました。重富温泉に歩いて向かいました。時間があまりなく、ゆっくり入れなかったのがちょっと残念。

くだんの本には、熊本県内の路線もいくつか掲載されています。おいおい紹介したいと思っています。

旅で立ち寄ったスポット

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