「スマホやめろ」注意だけでは× 「あなたと話をしたい」と声かけ続けよう 

「スマホやめろ」注意だけでは× 「あなたと話をしたい」と声かけ続けよう 

スマホの向こう側

子どもがずっとスマートフォンを離さず、動画やゲーム、SNS(会員制交流サイト)に長時間、没頭-。親としては、「スマホばかり見るのは、やめなさい!」と注意したくなりますよね。子どもが依存状態になり、勉強などほかのことに手がつかなくなるのが心配するのは当然です。

「強制的な禁止は一時的な効果がありますが、一人暮らしするようになって重度の依存に至るケースもあります」と指摘するのは、熊本日日新聞教育面に「スマホの向こう側」を連載している熊本市教育委員会総合支援課の指導主事、田中慎一朗さん(45)です。田中さんは「子どもに対して、単に『するな』と注意するだけでなく、『あなたと話しがしたい』と声をかけ続けてください」とアドバイスします。

熊本市教委総合支援課指導主事の田中慎一朗さん=熊本市中央区

※この記事は2018年2月22日付掲載の「スマホの向こう側」を一部加筆・修正したものです。

6歳児がユーチューブ「依存」

ロッカー

保護者からこんな相談を受けたことがあります。子どもがトイレに入ったきり出てこず、母親がドアを開けるとスマートフォン上の動画サイト「ユーチューブ」にくぎ付けになっていたそうです。就学前の6歳児の話です。

一口に依存といっても、さまざま。動画を見続けるコンテンツ依存や、SNS上のメッセージ送受信をやめられない、つながり依存。ゲーム依存もオンラインと、そうでないものがあります。

そうした中、世界保健機構はインターネットゲームなどのやり過ぎで生活に支障をきたす症状を「国際疾病分類」の一つと考えています。疾病なら治療が必要ですが、その前にどうにかできないものでしょうか。

目の前だけでなく、未来の「わが子の姿」にも責任を

「うちの子は本ばかり読んでいる」「部活ばかりしている」。これらに依存という言葉は使わないですよね。使うのは本人の将来にとってマイナスに作用する場合、日常生活に支障をきたす場合です。それらを防ぐポイントは、本人に自覚があるかどうか。1日の生活をグラフにし、視覚化して見せるのも効果的です。しかし、一度依存の状態に入った子どもはなかなか元に戻りません。

強制的な禁止も一時的な効果はあるでしょうが、一人暮らしなどで自由になり、重度の依存に至ったケースを私は知っています。親としては目の前だけでなく、未来のわが子の姿にも責任を持つことを考えてほしいです。

親の声かけ、心の中で「ちょっぴりうれしい」

中学生と話していて、こんな家庭の状況が浮かび上がりました。

家が面白くないからとイヤホンで耳をふさぎ、オンラインゲームをする生徒に保護者が「するな」と言います。そんな時、生徒は「だったら耳をふさがなくていい環境をつくってほしい」と思うそうです。

さらに生徒は「するな、ではなく学校で何があったかと聞かれれば、話すために手を止めるんです」と続けました。驚きました。思春期の彼らに声をかけても往々にして「別に」と返されるのですが…。生徒はこうも話しました。「先生、違うんです。僕らは別にと言うけれど、心の中ではちょっぴりうれしいんです。そのうち、ちゃんと話しますから、我慢して声をかけ続けてほしいのです」

大人が子どもに声かける力が低下

「最近の子どもはコミュニケーション能力が低い」と大人は言います。しかし、大人が子どもに声をかける力も低下しているのではないでしょうか。冒頭の6歳児のケースも同じです。隣にいて声をかけ続ければいいのです。「お母さんはあなたと話がしたいの」と。

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