ネットいじめ「家に戻っても逃げられない」 件数は大幅増

ネットいじめ「家に戻っても逃げられない」 件数は大幅増

スマホの向こう側

いじめの中でも、特に周囲に見えにくく、深刻さが指摘されているのがインターネットを通じた「ネットいじめ」です。

「ネットは家に戻っても繋がりを切ることができず、寝ている時しかいじめからは逃げられない」。熊本日日新聞教育面に「スマホの向こう側」を連載している熊本市教育委員会総合支援課の指導主事、田中慎一朗さん(45)はこう指摘します。

熊本市教委総合支援課指導主事の田中慎一朗さん=熊本市中央区

※この記事は2018年11月22日付掲載の「スマホの向こう側」を一部加筆・修正したものです。

寝る直前まで、自分攻撃する文字見てしまう

その昔、子どもたちが公園に集まって遊んでいた頃、そこにはガキ大将が存在し、弱いものをいじめる光景がありました。現在、子どもたちは公園から姿を消し、インターネットの世界に集まるようになりました。国の調査によると、2017年度のネットいじめ件数は1万2632件。2006年度の4883件に比べて2.5倍超となりました。

ネットでのいじめには特徴があります。昔は家に帰って玄関のドアを閉めれば、いじめっ子はそれ以上追いかけて来られませんでした。しかし、ネットは家に戻っても繋がりを切ることができず、寝る直前まで自分を攻撃する文字を見てしまいます。

つまり、寝ている時しかいじめからは逃げられないのです。いじめによる自死や不登校になるまでの期間が前より短いのは、いじめられている期間が濃縮されているからでしょう。

集まるところにトラブル 端末取り上げても解決しない

私が心配するのは、いじめの増加をインターネットのせいにし、端末を子どもから取り上げれば、いじめがなくなると勘違いしてしまうことです。子どもが集まるところにはトラブルはつきもの。子どもへのインターネット普及に伴い、そこでのトラブルが増加したことは自然であるとも言えます。ネットでも教室の中でも公園でも、いじめはいじめです。

保健室

グループライン退会…静観したクラスメートたち

子どもたちの間で欠かせないツールとなった会員制交流サイト(SNS)「LINE(ライン)」。中学校のクラスのグループラインで、一人を退会させるという出来事が起こりました。「その子の会話は何となく空気が読めていない」というのが理由でした。その子の抜けたグループラインでトークが開始。その子に対してひどい誹謗[ひぼう]中傷が繰り広げられると想像したが、そうではなかったのです。その子への攻撃ではなく退会させた行為が話題となりました。1時間後、その子は再びグループの一人に招待されてグループトークに戻りました。

クラスのほとんどが参加しているグループライン。結局クラスが信じられなくなったその子の話では、自分を一番傷つけたのは退会させた子ではなく、その様子を見ていて何もアクションを起こさなかった周りのクラスメートだったそうです。

「『大丈夫?』 小さい声でも聞こえたよ あなたの一言にありがとう」。熊本市人権カレンダーに同市内の女子中学生の詩が掲載されました。彼女に学びたいですね。

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