売れ筋は高菜漬け 大正2年創業の漬物店「村上食品工業」 昔からの食べ物しっかり届ける

売れ筋は高菜漬け 大正2年創業の漬物店「村上食品工業」 昔からの食べ物しっかり届ける

ぶらり新町・古町

熊本市の新町・古町をぶらぶらと歩く。新町交差点から新鳥町商店街に入り、玩具問屋を左折すると、大正時代に創業の漬物店「村上食品工業」(熊本市中央区新町)がある。

容器の上に、たくさんの漬物石

村上食品工業

「村上食品工業」本社、裏側に工場がある=熊本市中央区新町

最初に訪れたのは、春を待つ冬の日だった。工場内は漬物のにおいで満たされ、大きく呼吸すると、昔ながらの日本人の感覚が呼び戻された。

縦横2メートル四方、深さ2.5メートルのタンクに、大ぶりの三池高菜がぎっしり漬けられていた。高菜は45層にもなる。塩、ウコン、唐辛子、クエン酸で1年ほど漬ける。高菜漬けの生産現場を初めて見学した。

味が染みこんだ高菜漬けは、いったん水洗いした後、再び自家製の調味液で漬ける。容器の上にはいわゆる漬物石が置かれていた。

漬物石

工場には漬物石がたくさんあった

15キロほどの石を持ってみた。うーん、なかなかの重さ。ダンベル運動のおかげで腹に力を入れる習慣があり、どうにか腰を痛めないで済んだ。そう言えばこのような重い石は子どもの頃、祖父母の家でぬか漬け用のものを見たような気がする。

「長年使っている重しです」と3代目で現会長の村上義幸さん(71)。使っている間に石がだんだん丸くなっていくという。

作業を見学 大量の高菜をタンクに漬ける

高菜漬けの作業

高菜漬けの作業。すごい量。ウコンのにおいが漂う

村上さんは「箸休めや食事の最後に漬物を食べると、ほっとしますよね。最近は食の洋風化、多様化で漬物の消費は落ち込んでいますが、ぜひ食卓に漬物を置いていただきたい。乳酸菌が腸の活性化に良いとされています」と話す。

健康志向で塩分を控える傾向にあるが、「昔より塩分は少なくなっています」と付け加えた。

「地元の高菜が来るけん。取材よかよ」。村上さんから2回目の取材の了解をいただき、再訪したのは3月6日。工場に着くと、甲佐産と飽田(熊本市)産の高菜が所狭しと置かれていた。タンクに次々と高菜が放り込まれる。タンクの中にも作業員がいて高菜をきれいに並べる。茎の部分を15センチほど出して一面が高菜となる。ウコンを振りかける。さらに高菜を積み上げる。「今年は暖冬で漬ける時季が例年より早い。新鮮で、とうが立っていない(みずみずしさが失われていない)。葉っぱがしっかりしていて作柄はいいね」と村上さん。

この日は7人がかりで、5トンの高菜を漬けた。

4代目は東芝の元エンジニア 「歴史ある漬物店守る」

昔の写真。昭和初期のもの

創業は1913(大正2)年。初代が近くの漬物店で修業した後に開業した。一時はラムネやサイダー、水あめ、佃煮なども生産したが、今は漬物の扱いが多い。バブル経済崩壊を乗り越え、2013年には創業100年を迎えた。業界紙の食料新聞には「創業100周年祝賀会開く 村上食品工業、愛される会社で200年へ」という記事が出た。

売れ筋は高菜漬け、キムチ、ごぶ漬けなど。高菜の油炒めは素朴な味わい。キムチは甘みがあり最後にピリッとくる。ごぶ漬けは、大根の心地よい歯ごたえがある。

2018年には社長を3男の義典さん(40)に譲った。義典さんは東芝で冷蔵庫の設計をしていた元エンジニア。義典さんは「昔からある食べ物をしっかりお届けしたい」と話す。歴史ある漬物店を守るため、事業のIT化を進めると同時に、販路拡大に飛び回っている。

店舗情報

住所 熊本市中央区新町4丁目4-7

アクセス 熊本市電「新町」電停より徒歩2分
営業時間 8時~17時(土曜は12時まで)
定休日 日曜、祝日
電話 096-355-0311
公式HP http://murakamisyokuhin.mond.jp/

※情報は2020年6月29日時点です。

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