70代夫婦が切り盛り いきなり団子店「ふじや」 小ぶりでカライモほくほく

70代夫婦が切り盛り いきなり団子店「ふじや」 小ぶりでカライモほくほく

ぶらり新町・古町

高麗門の跡

高麗門跡。後ろに「ふじや」の看板が見える=熊本市中央区新町

熊本市の新町・古町をぶらぶらと歩く。加藤清正が花岡山方面からの敵を防ぐために造ったという高麗門跡から目と鼻の先に、熊本名物のいきなり団子を作る店があると聞いて、訪ねてみた。

元々は和菓子屋 手先の器用だった先代が創業

「ふじや」の外観。上の看板を見ないと菓子店と気づかない

「ふじや」(熊本市中央区新町)の看板には「いきなり団子」と小さく書かれている。人けのない玄関に、練り切り(あんこの和菓子)の型が飾られている。インターホンを押す。「どうぞ」と藤崎友次郎さん(70)、慶子さん(71)夫婦が招き入れてくれた。

友次郎さんが「元々は和菓子屋。今は団子屋。バブルではもうかったなあ。今は『いきなり団子』で生きてます」と店の歴史を語り始めた。

店は、かつて中職人町にあり、慶子さんの父の故・新さんが始めた。菓子職人の修業で京都や福岡を回り、砂糖を調達しやすかった熊本で開業したという。

先代が残したようかんの模様の「型」

練り物を主に扱い、職人が10人ほどいた。新さんは手先が器用だった。「寿」といった文字や鮎、竹などをようかんなどに描く模様の型がたくさん残っていた。事前にスケッチブックを描き、型に残したようだ。

かつては中心繁華街に出店 今は入退院時の贈答用にも

いきなりだんご

出来立てのいきなり団子と「芋まんじゅう」をいただいた。いきなり団子は、ほくほく感がいい。常温保存で賞味期限は2日。冷凍すれば1週間は大丈夫だという。電子レンジで温めるのもいい

友次郎さんが店を継いだのは昭和47年。和菓子の需要は減りつつあったが、熊本市中心部の旧熊本交通センターや鶴屋百貨店に出店。高度成長の波に乗って、「よう売れた」(友次郎さん)。従業員は20人を数えた。

その後、いきなり団子が全国的に有名になって取り扱うようになった。今は毎朝夫婦で団子を作って、病院の売店に卸す。「患者さんがご自分で食べたり、入退院の時の贈答品として重宝していただいております」と慶子さん。

ちまたにいきなり団子はたくさんあるが、ふじやのは小さめで、中は入っているカライモが益城産で、ほくほくしている。団子を両手で開いてみると、カライモと小豆がきれいに広がった。黄金色のカライモに小豆色が映える。ほんのり甘い小豆が絶妙のアクセントに。

新町の名所に設置されている看板は小豆色で彩られている。新町が「お菓子の町」だったことから配色を決めたという。

夫婦で手際よく共同作業 「生涯現役」が目標

藤崎友次郎さん(左)、慶子さん夫婦。朝5時から手際よく共同作業

「作り方は見せん」と、最初は友次郎さんにけんもほろろに断られたが、結局見せてもらった。

午前7時。店に着いたとき、この日の団子作りはもう終盤だった。前夜に切っておいたカライモに粒あんを合わせ、生地(メリケン粉や砂糖、塩などでできている)で巻く。せいろで25分ほど蒸す。扇風機の風で粗熱が収まったら包装する。

夫婦で手際よく、いきなり団子と芋まんじゅうを合わせて200用意した。

「これだけは言いたい、ということあったら教えてください」と聞くと、友次郎さんは「生涯現役!」と宣言。慶子さんはにこやかに、ほほ笑んだ。

店舗情報

住所 熊本市中央区新町4丁目6-18

アクセス 熊本市電「新町」電停より徒歩3分
電話 096-352-4516

※情報は2020年8月7日時点です。

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