「歴史ある街、知ってほしい」 人力車で疾走! 58歳お好み焼き店主

「歴史ある街、知ってほしい」 人力車で疾走! 58歳お好み焼き店主

ぶらり新町・古町

熊本市の新町・古町をぶらぶらと歩く。町屋が並び、問屋街風情を残す唐人町通りに人力車を引く男がいる。早崎富三郎さん(58)。生まれも育ちも古町は紺屋町。「歴史のある街を誇りに思う。良さを知ってほしい」とお客さんを乗せて街を走る。

結婚式場とタイアップ 絵になるカップル

人力車

新郎新婦の写真撮影。明八橋は桜の見頃だった=熊本市中央区新町

取材した日は結婚するカップルを人力車に乗せる企画があった。結婚式の前撮りで、風流な街に和装の2人が寄り添う写真は、まさに絵になる。早崎さんは、明八橋の上で人力車を引くポーズをとった。

「こんな感じでいいですか」。かさを深くかぶり、やや前のめりの体勢でかじ棒を持つ。主役が引き立つよう、カメラマンの注文どおりの姿勢を保つ。

最近は結婚式場とタイアップしてこうした撮影が増えている。これも街が持つ底力だろう。

町屋、レトロな元銀行…高まる観光気分

人力車

人力車の後ろ側には、「鳳凰(ほうおう)」が描かれていた

もちろん、観光客を乗せて古町や新町を回ることもある。大正時代からの町屋や、レトロな元銀行の建物は、観光気分を高める。

「古町は道路が碁盤の目のようにしっかりと区画されています。新町は熊本城に近いため、外部者にすぐに攻められないようにクランクの道が多いんですよ」。熊本城を造った加藤清正の遺産を街自体が受け継いでいる。

本当は洗馬橋の電停で、童謡の「あんたがたどこさ」に出てくるたぬき像も紹介したいところだが、道路が複雑に交差しておりちょっと危険。安全を考えてあまり行かないのだという。惜しいことだ。

アルバイト6人雇用 「安全第一」を指導

人力車

法被姿でお客さんを待つ早崎富三郎さん

早崎さんは引き手として6人のアルバイトを雇う。アルバイトには、まず安全が第一であり、ゆっくりと人力車を引くことなどを指導している。

唐人通りには、大正時代に人力車の許可証を出すところがあったと伝えられている。料亭がたち並び、料亭通いの人々らにニーズがあったようだ。

高校時代はサッカー部で鍛えた。今でもダンベル運動を欠かさない。がっしりした体格で、安心感を与える。

元は履物問屋5代目 「街は変わっても、みんなの誇り」

あやすけ

経営する「あやすけ」の前で

元々は紺屋町の履物問屋の5代目。郊外の量販店などに押され気味だった家業は15年ほど前に廃業。今は紺屋町でお好み焼き店「あやすけ」を経営する。大阪の大学に通っていた時、お好み焼き店で長らくアルバイトをしていた経験を生かした。卒業後も大阪で、靴の卸売で働いただけに、語り口は関西人だ。

紺屋町で育った子供時代。白川の河原で遊び、東映の映画館で漫画映画をよく見た。街には大きな荷物を抱えた行商のおばさんが行き交っていた。

今は廃業となった商店跡や駐車場が目立つ。「街は随分変わりましたね。それでもみんな歴史のある街という誇りがあります。熊本地震があって壊れた民家も多い。どのようにして素晴らしさを伝えるか、人力車という商品をどのようにまちづくりに生かすのかを考えたい」。ふるさとへの思いを語ってくれた。お好み焼き店は地元の憩いの場となっている。

「あやすけ」 店舗情報

住所 熊本市中央区紺屋町3-36

アクセス 熊本市電「河原町」電停より徒歩3分
営業時間 18時半~22時
定休日 火曜
電話 096-221-4531

※情報は2020年7月13日時点です。

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