あん入り落雁が人気 明治43年創業の「松陽軒」 季節感ある和菓子豊富

あん入り落雁が人気 明治43年創業の「松陽軒」 季節感ある和菓子豊富

ぶらり新町・古町

松陽軒

呉服町電停の目の前にある「松陽軒」の4代目・大竹保晴さん。近くには、市電用に電気を運ぶ鉄塔がある=熊本市中央区魚屋町

熊本市の新町・古町をぶらぶらと歩く。市電の呉服町電停を下りてすぐ、あん入り落雁(らくがん)で知られる「松陽軒」(中央区魚屋町)を訪ねた。

看板商品の「肥後しおがま」 甘さと塩加減、バランス絶妙

松陽軒の「肥後しおがま」

出来たての「肥後しおがま」

甘さと塩加減のバランスが絶妙だ。もち米でできた落雁粉に、シソの香りとしょっぱさが混じる。北海道産小豆のあんこは甘過ぎず、しっとりしている。4代目の大竹保晴さん(50)は「一番の人気です」と「肥後しおがま」を出してくれた。

カステラで有名な長崎の菓子店で修業した松尾佐平氏が明治43年創業した。大竹さんの曽祖父にあたる。

店には昭和6年に撮ったという昔の写真が掲げられている。「昭和天皇が熊本の陸軍を視察された際に、お菓子を差し出した」と伝えられている。写真には、店の前に「御賜御紋菓謹製店」と幕が下がっている。従業員は誇らしそうだ。

季節や天気と「会話」…作り方を調整

ある早朝、「肥後のしおがま」作りを見学した。大竹さんが季節と会話するように丁寧に菓子を作っていた。

砂糖に水を混ぜてこねる。水の量は寒いと多め、暑いと少なめ。砂糖に触って決める。落雁粉を入れる。ふるいで、「だま」をとる。シソを混ぜる。シソの量も天気で違う。湿気が多い日は少なめにする。

桜の木で出来た器に、出来上がった生地とあんこを丁寧に入れる。出来たては崩れやすいため、30分ほど置いてから包装する。日によって多いときは1千個作る。

「継がなければ、なくなる」 4代目は元システムエンジニア

松陽軒

松陽軒の店内。どら焼きなど、たくさんの種類をそろえている

大竹さんはもともと群馬県で三洋電機のシステムエンジニアをしていた。CD-ROM(CD利用の読み出し専用メモリー)の設計などを手掛けた。

20代の頃。ある日、3代目の叔父や、店の職人だった父から「松陽軒ば継いでみるかい。どぎゃんかい」と声を掛けられ、「(自分が)せんかったら、なくなるからね」と考えて、決断した。

1997年に熊本に戻り、合志市の和洋菓子店で3年間修業した。「菓子作りは楽しかった。修業時代は朝から晩まで働き、サラリーマンと違って休みが少ないことが一番の驚きだった」と振り返る。

店を継いだ頃、バブル経済は崩壊していたが、女性のお菓子人気の真っただ中。洋菓子作りの勉強をした経験を生かしてケーキの注文も受けた。「あめ細工、チョコレート菓子、パイ以外は何でも作れます」と大竹さん。

羊羹、もなか、どら焼き…お薦めいろいろ

練り切りの「出世鯉」

その後、菓子市場が縮小傾向となり、コンビニが菓子を本格的に扱うようになって、経営環境は変わった。箱詰めで買う客は減り、一つ、二つという小口買いが増えた。大竹さんは「ニーズが多様化していますね。お買い上げの個数が少なくても、一つ一つ満足いただけるよう努力を重ねています」と話す。

主力の「肥後しおがま」だけではなく、溶かすとお茶の風味の甘い飲み物になる「宇治の里」、もなか、どら焼き、団子と品をそろえる。

お薦めの一品でもある「羊羹(ようかん)郡の浦」は、昔々、現在の宇城市三角町近くの大庄屋が黒砂糖の製造を始めたという偉業をたたえて命名した。

端午の節句には練り切り、夏には水羊羹があり、季節を味わうことができる。

店舗情報

住所 熊本市中央区魚屋町2丁目13

アクセス 熊本市電「呉服町」電停そば
営業時間 8時半~18時半
定休日 日曜
電話 096-353-2022
公式インスタグラム https://www.instagram.com/siodora_siogama/

※情報は2020年8月14日時点です。

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