全国の神様に願い届ける神様 巨大クスノキが見下ろす「総社神社」

全国の神様に願い届ける神様 巨大クスノキが見下ろす「総社神社」

ぶらり新町・古町

総社神社

民家にはってあった「総社神社入口(安楽寺修路)」の標識を頼りに進む=熊本市中央区万町

熊本市の新町・古町をぶらぶらと歩く。熊本市中央区の米屋町から万町に入り、「安楽寺修路」という標識に導かれて小道に入った。クスノキの巨木が迎えてくれて、その下に地元に親しまれる総社神社があった。

子孫繁栄祈る奇習「すり鉢舞い」 町おこしのイベントでも

総社神社

大きなクスノキが迎えてくれた

この地に神社を構えたのは明治初期。神仏習合だった時代に、安楽寺(当時、現存せず)と一緒だったが、場所を移したそうだ。神社は明治10年の西南戦争で焼失し、建て直して今日に至る。

近所の人々が商売繁盛や家内安全を祈った。子孫の繁栄もしかり。子どもに恵まれますようにと、祭りでは「すり鉢舞い」を踊った。

♪みいさいな みいさいな
すり鉢舞ば みいさいな
すり鉢舞は どこが元

もともと神主がいない小さな神社で、祭りの際は臨時の神主を雇った。神主は大店を回り、酒を飲んだ。無礼講では済まされぬ出来事が起き、明治30年ころいったん中止になった。

「地元の習慣を残したほうがいい」という声が上がり、30年ほど前、地元の長老に祭りの文句を思い出してもらった。すると-。

♪米屋町ば きりっと巡れば
萬町(万町)安楽寺が 元わいな

すらすらと言葉が出てきて、それを記録した。

すり鉢とすりこ木を手に腰をひねらせて踊る。奇祭とも言えるが、今では町おこしのイベントに子どもたちが踊る。

この先の歌の文句は、ちょっと書くのがはばかられる。次の世代、その次の世代も栄えますように、という思いが伝わる内容だ。

熊本地震で崩れた鳥居 有志が再建

クスノキはマンションの4階ほどまで伸びている。神社に上がる石畳や階段はぐねぐねと隆起している。クスノキの根の力だ。

クスノキの根の力で隆起した地面

隣にあった鳥居は熊本地震(2016年)で崩れた。有志によって石鳥居が再建されたのは2年前のことだ。真ん中にかけられた神額は以前のものが使われた。

鳥居は熊本地震の後に再建

境内に入って本殿の裏を見ると、小屋がくっついていた。この中に人形師の松本喜三郎が作った、えんま座像が長らくあったそうだ。

どうやら頭の部分が松本喜三郎作のようで、今は五福公民館のロビーに展示されている。赤ら顔に口ひげ。目を見開き、口を開けた顔には迫力がある。「しっかり生きないといけないよ」と言われた気がした。

近くにある五福公民館で、総社神社にあったえんま様にお目にかかった

町の風景変わっても… 「次世代に引き継ぎたい」

総社神社

神社の説明を書いたものは、ほとんど読めない状態に

ぶらぶら歩きに同行してくれた、不動産業「ジェーンズ商会」の平野俊晴代表取締役は「神社は次の世代に引き継ぎたい」と話す。

平野さんは不動産業として町を見てきたが、マンションや駐車場が増える一方だという。「マンションが一つできると町屋が20なくなる。そのたび町の風景が大きく変わる。マンションの住人と昔からの住民をつなげるのは一苦労です」と語る。

総社神社はもともと「このお宮に詣でれば、自分が行きたいと思う全国の神様に願いを届けてくれる神様」と伝えられてきた。

最近では万町だけでは管理しきれず、米屋町、細工町など五福小校区の人々が一緒になって文化を残そうとしている。

総社神社の地図

※情報は2020年9月3日時点です。

CATEGORIES
TAGS