古い建物の部材を有効活用 「町屋の再建人」早川祐三さん

古い建物の部材を有効活用 「町屋の再建人」早川祐三さん

ぶらり新町・古町

ゲストルーム「426」=熊本市中央区細工町

熊本市の新町・古町をぶらぶらと歩く。取り壊される古い町屋から戸や窓、手すりなどの建具、部材を回収しては今も残る町屋の改修に充てる「町屋の再建人」がいる。熊本市中央区万町の早川祐三さん(41)だ。

ゲストハウスを運営 住所を旅館名に

細工町4丁目26番にあるので「426」

熊本市中央区細工町4丁目26番。細工町通りの白川に近い一角に古い町屋がある。ゲストハウスの「426」。住所をそのまま旅館名に使った。

「これは魚屋町3丁目の洋館からもらった扉です」。早川さんはゲストハウスの玄関でうれしそうに語った。大正時代の小児科の建物が壊されるという話を聞き、解体作業前に勝手口をもらったそうだ。

「天保」の棟札に驚き いにしえの人々のぬくもり

「426」の寝室

「426」は神奈川県にいる町屋の所有者が「家を壊さすようだと聞いて、説得した」。早川さんが自ら改修。作業中に屋根裏から「天保二年」と記された棟札が出てきた。「この辺りは西南戦争(1877年)で焼けていないとは聞いてはいたが、驚きました」と早川さん。

社会科で習う「天保の大ききん」前のことだ。この町屋は金箔(きんぱく)を扱う商人がその昔使っていたとされている。

改修前の「426」。壁がモルタルで、歴史的な建物にはみえなかった(提供写真)=2017年6月撮影

早川さんは海外の旅行サイトに「426」を登録し、ゲストハウスとして運営する。2階建てで、寝室が二つあり5人まで使える。海外のバックパッカーがよく使うという。

「426」の奥にも二つの町屋があり、早川さんがインパクトドライバーを手に改築中だ。城南町の農家からもらった古い格子戸、細工町のはりきゅう院から譲り受けた便所の扉。至る所に、いにしえの人々のぬくもりが残っているようだ。

老舗「早川倉庫」の跡継ぎ 改築の仕事見て育つ

早川倉庫

早川倉庫=熊本市中央区万町

早川さんの本業は万町の老舗倉庫、「早川倉庫」の跡継ぎだ。早川倉庫の母屋は明治10(1877)年のもの。早川さんは「子どもの頃から倉庫は改築の繰り返しで、大工の仕事を見て育った」と振り返る。

早川倉庫

昭和29年に早川倉庫が開業した当時の写真(提供写真)

今、母屋はイベントスペースで、ほかは倉庫の中にトランクルームを設置して法人や個人の物を預かっている。

倉庫は熊本城の改築の際に不要になった木材を活用しているという歴史のある建築物だ。はりが「X字」に組み合わさる「与次郎組み」という構造。明石(兵庫県)の職人が建てた。

早川倉庫

早川倉庫の中

生活の営み、職人の知恵「もったいない」

調理師の免許を持つ早川さんは、昔の雰囲気を出したレストランを出すことも考えているという。

「子どもの頃に倉庫でかくれんぼをして良く遊んだ。早川倉庫としては明治時代の建物を残したい。町に生まれ育ったものとしては、昔ながらの町屋を一つ一つ大切にしたい。生活の営みや職人の知恵でできたものが壊されるのは、もったいない」と語った。

「自分で改修すれば、費用は業者に頼む10分の1ですみます」と早川さん

ゲストハウス「426」

住所 熊本市中央区細工町4−26

アクセス 熊本市電「祇園橋」電停から徒歩2分
営業時間 チェックイン15時(最終21時)、チェックアウト11時
※予約受付は9時~17時
定休日 不定休
電話 090-9403-2476

※情報は2020年9月19日時点です。

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