あいのりタクシーで巡る山鹿市歴史ロマン 鞠智城、隈部氏館跡…まさに「夢の跡」

あいのりタクシーで巡る山鹿市歴史ロマン 鞠智城、隈部氏館跡…まさに「夢の跡」

日帰りバス・鉄旅

どこに行こうかとプランを練るのも旅の楽しみです。毎回、自分の好みで目的地を決めていますが、それでは視野が狭くなりかねません。自分では思いつかない場所に行こうと会社の先輩に「どこかないですか」と尋ねたところ、熊本県山鹿市菊鹿町の「隈部氏館跡」を紹介されました。(熊本日日新聞社嘱託論説委員兼編集委員・津留三郎)

※2020年7月3日付熊日夕刊掲載。文中の情報は掲載日時点です。

スタートは「鞠智城」 スケジュール考慮し菊池プラザから歩く

鞠智城のシンボル「八角形鼓楼」。左奥は食糧庫「米倉」

鞠智城のシンボル「八角形鼓楼」。左奥は食糧庫「米倉」=山鹿市菊鹿町

隈部氏館跡に行く前に、同じく国史跡で菊鹿町にある「鞠智(きくち)城」も訪ねることにしました。鞠智城へは、山鹿バスセンターから「山鹿市あいのりタクシー菊鹿あんず号」で行くことができますが、菊池市の菊池プラザからだと車で約5分といいます。歩いても1時間はかからないと思い、その後のスケジュールも考えてこのルートを選択しました。

雨の晴れ間の快晴に恵まれた中、50分ほど歩いて到着。鞠智城は7世紀後半から約300年続いた古代の山城。国内の古代山城で唯一見つかった八角形の建物跡を基に復元された三層式の「八角形鼓楼」がシンボルです。最上階に置いた太鼓で時間を知らせたり、見張り台の役目を果たしていたとされています。

菊鹿温泉「延命館」で汗流す 浴室は鞠智城モチーフの建物

あいのりタクシーの「菊鹿あんず号」

鞠智城にある停留所であいのりタクシーに乗車。山鹿市民でなくても路線バス代わりに利用できます。どこの停留所は何時何分というきっちりしたダイヤではないのですが(『旅のしおり』に記したのはおおよその時刻)、運行時間はだいたい決まっているのでスケジュール作りにあまり支障はありません。予約は必要です。

同乗者はなく、菊鹿温泉「延命館」最寄りの「清楽園」停留所で下車。降りる直前、黄色いお城のような建物が目に飛び込んでましたが、延命館の浴室部分でした。鞠智城をモチーフにした三層八角形の堂々とした建物です。温泉で汗を流した後は、ここの名物という地鶏の唐揚げにかぶりつきながらビールで喉を潤しました。

延命館

鞠智城をモチーフにした「延命館」の浴室

16世紀に一帯を治めた「隈部氏館跡」 山腹にさまざまな遺構

隈部氏館跡の入り口

予定時間より早めに停留所に戻ると、ほどなくあいのりタクシーが。今度は買い物帰りらしい地元の女性が先客で乗っていました。これから向かう隈部氏館跡に停留所はありません。どういうシステムなのかよく分からなかったのですが、隈部氏館跡で乗り降りできるといいます。歩く覚悟をしていたので助かりました。

16世紀ごろ一帯を治めていた隈部氏は、中世肥後の有力国衆。館跡は標高345メートルほどの山腹にあり、さまざまな遺構が発見されました。馬屋跡や空堀などを通り過ぎると、正面に石垣があり道は直角に曲がっています。敵の侵入を防ぐための「枡形虎口(ますがたこぐち)」と呼ばれる場所です。その先に平たんな部分が広がり多くの建物の礎石があります。

隈部氏館跡の「枡形虎口

隈部氏館跡の「枡形虎口」。敵の侵入を防ぐために設けられた

隈部氏館跡

隈部氏館跡に広がる礎石

山鹿市中心部の「さくら湯」で2度目の温泉満喫

眼下には気持ちいい眺めが広がります。何百年も前の人たちは、何を思ってこの景色を眺めていたのでしょう。松尾芭蕉の「夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡」が思い浮かびました。

隈部氏館跡からの眺め

神社もありました。途中の車内で運転手さんと隈部氏館跡の話をしていたら、先客の女性が「しっかり拝んできなっせ」と言っていたのですが、ここのことでしょう。迎えに来たあいのりタクシーの運転手さんは「ここは初めてですが、眺めのよかですね」と話していました。

山鹿市中心部まで来て「さくら湯」前で下車し、この日2度目の温泉を満喫しました。あいのりタクシーは観光にも便利と分かった旅でした。

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