終戦直後から続く和菓子店「ばんざい饅頭本舗」 ユニークな店名、由来は近くの橋

終戦直後から続く和菓子店「ばんざい饅頭本舗」 ユニークな店名、由来は近くの橋

ぶらり新町・古町

万歳橋からすぐ近くの「ばんざい饅頭本舗」=熊本市中央区新町

熊本市の新町・古町をぶらぶらと歩く。熊本市電の洗馬橋電停から南に歩いて3分、坪井川にかかる万歳橋のたもとに、終戦直後から続く老舗和菓子屋がある。「ばんざい饅頭本舗」(熊本市中央区新町)だ。

黒糖まんじゅう、羽二重餅… 色とりどり

色とりどりの和菓子

甘酒まんじゅう

甘酒まんじゅう

「いまでは扱っている和菓子はこれくらいですよ」。お店を切り盛りする山口三津恵さん(72)が、色とりどりの和菓子を用意してくれた。

黒糖まんじゅう、おはぎ、黒あんと白あんのやぶれまんじゅう、白あんの羽二重(はぶたえ)餅、編み笠団子。羽二重餅には桜がきれいに細工されている。どれもこれもお茶に合う。

さらにミョウガ団子を出してくれた。ミョウガの葉は熊本県合志市の知り合いに分けてもらっている。冷蔵庫で冷やすと、とても食べやすかった。夏場にうってつけの和菓子だ。甘酒まんじゅうも人気がある。

お店を切り盛りする山口三津恵さん。ミョウガ団子を用意してくれた

熊本地震で被災 看板商品「せんば若鮎」も作れず

せんば若鮎

看板商品の「せんば若鮎」=2006年3月撮影

餅をカステラで包んだ看板商品の「せんば若鮎」や「イチゴ大福」は、熊本地震(2016年)で店のかなりの部分が壊れてしまったこともあり、作っていない。「今でも毎日のように問い合わせがあって申し訳ないです」と三津恵さん。

高度成長期は「若鮎」が新聞で紹介されたのを機に爆発的に売れた。冠婚葬祭用として重宝された。

「万歳橋」 由来に二つの説

昭和50年代の写真(提供)

もともとは、義父の故・安喜さんが中国の南京から引き揚げ後に独学で和菓子店を始めた。継いだのが夫の故・浩司さん。三津恵さんとは昭和49年に結婚した。三津恵さんは「大好きな和菓子が毎日食べられると思って来ました」と笑う。浩司さんの母や妹も含め家族ぐるみで働いた。

長年働くお店の前で

店名は近くの万歳橋からとっている。船場橋と明十橋の間にある万歳橋の由来は、三津恵さんによると、二つの説があるそうだ。

一つ目の説は、その昔近くに橋がなく、対岸には船で渡っていた。橋が出来上がって行き来が楽になったことから、住民たちが「万歳」と叫んだという話。二つ目は、戦争が終わっても橋が壊れずに残ったことで「万歳」と喜んだという話。どちらにせよ、おめでたいお話。店名にするには、もってこいだったのではないか。

地域に根差した商売人の誇り

万歳橋から熊本城方面を見る

川や橋は地域の人々の生活と結びついている。万歳橋から、練兵町方面(東側)を見るとやや下りになっている。何度か川の水があふれ、熊本放送の方に水が流れ出したことがあったという。昭和57年に新しい橋を付け替えた際は、作業員がよくお店に来てくれた。

長年に渡って店を支えた浩司さんは地域に根差した商売人としての誇りがあった。子どもたちにこう言い残した。「どこにいても、ばんざい饅頭の看板を背負っていることを忘れるな。世間に出ても普通のサラリーマンの子どもたちとは違うはずだ」

近くには、総菜店、洋菓子店があり、舌の肥えたお客さんが多い。「厳しい世間で生きる中でも、お客さんや人の気持ちが分かる人に育ってほしいという願いがあったのだと思います」と三津恵さんは振り返った。

店舗情報

住所 熊本市中央区新町2-8-7

アクセス 熊本市電「洗馬橋」電停より徒歩3分
営業時間 9時~19時
定休日 日曜
電話 096-352-7929

※情報は2020年10月6日時点です。

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