東京五輪の有力候補・設楽悠太ら出場 熊日30キロロード 高速レースに期待 2月16日に号砲

東京五輪の有力候補・設楽悠太ら出場 熊日30キロロード 高速レースに期待 2月16日に号砲

熊本城マラソン2020(熊本市、熊本陸上競技協会、熊本日日新聞社でつくる実行委員会主催)の金栗記念第64回熊日30キロロードレースが2月16日、開かれます。

男女とも午前9時に熊本市中央区の通町筋電停前をスタート、びぷれす熊日会館前をフィニッシュする日本陸連公認コースで国内トップランナーが高速レースを繰り広げます。

第63回熊日30キロロードレースで、レース序盤、集団で走る選手たち=2019年2月17日、熊本市中央区

今回、実行委員会が発表した招待選手は、マラソン男子の前日本記録保持者の設楽悠太(ホンダ)ら20人(男子15人、女子5人)。設楽は、熊日30キロは初めての出場です。残念ながら、東京五輪マラソン女子代表の鈴木亜由子(日本郵政グループ)は右脚太もも裏の肉離れのため、欠場となりました。

招待選手の一覧

こちらが今回の招待選手です。※印は欠場

【男子】

名前 大会当日
の年齢
所属チーム
設楽悠太 28 ホンダ
松村優樹 27 ホンダ
坂本佳太 24 小森コーポレーション
照井明人 25 NDソフト
村本一樹※ 27 住友電工
永井秀篤※ 26 横浜DeNA
大山憲明 24 コニカミノルタ
渡邊悠真 23 トヨタ自動車九州
荻野皓平 30 富士通
吉田圭太 21 青学大
神林勇太 21 青学大
岩見秀哉 20 青学大
米満 怜※ 21 創価大
山下一貴※ 22 駒大
西田壮志 21 東海大

【女子】

名前 大会当日
の年齢
所属チーム
鈴木亜由子※ 28 日本郵政グループ
猪原千佳 24 肥後銀行
後藤みのり 27 キヤノンAC九州
池内彩乃 25 デンソー
永岡真衣 26 シスメックス

今大会には、招待選手に準じる実績を持つ出場要請選手と一般出場を含め総計147人がエントリー。登録者数は、2012年に熊本城マラソンの1レースとなって以降、昨年の137人を上回り過去最多になりました。

※情報は2020年2月11日時点。エントリーが変更になる場合があります。

マラソンで2時間6分台 設楽

男子注目の設楽は、2018年東京マラソンで2時間6分11秒をマークし、16年ぶりに日本記録を更新しました。ただ、昨年9月の東京五輪代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で14位。上位2人に与えられる代表権を得られず、残る1枠を狙い3月1日の東京マラソンに出場します。ホンダ陸上競技部によると、コースに起伏が少なく、2週間後のフルマラソンに向けダメージが残りにくい熊日30キロを、仕上がりを確認する場として選んだそうです。

設楽悠太

マラソングランドチャンピオンシップで力走する設楽悠太=2019年9月15日、東京・銀座

照準は東京マラソン 記録の大幅短縮へ意欲

「2時間4分台を出さないと世界で戦えない」。設楽は、初出場となる熊日30キロを足掛かりに、東京マラソンで日本記録を大幅に短縮するつもりです。日本記録2時間5分50秒を上回れば東京五輪代表が内定しますが、目指すところは五輪出場にとどまりません。東京マラソンには「日本記録を更新しても、5分台の記録なら代表は辞退すると思う」と不退転の決意で臨みます。その大一番を見据え、30キロの高速レースで実戦感覚を磨きます。

設楽は埼玉県出身で、地元の武蔵越生高から東洋大に進みました。箱根駅伝では2年時に7区の区間記録を更新するなど活躍しました。2016年の熊日30キロで、双子の兄の設楽啓太(当時コニカミノルタ、現日立物流)が優勝しています。

宮崎の合宿で走り込む設楽悠太(右)。隣は双子の兄の啓太=2020年1月23日、宮崎市

設楽以外の実業団勢は、MGC出場の荻野皓平(富士通)やハーフマラソンで1時間1分45秒の自己記録を持つ照井明人(NDソフト)のほか、1月の全日本実業団駅伝で活躍した若手が参戦します。

箱根駅伝で活躍した学生たち

大学生は今年の箱根駅伝で2年ぶりの総合優勝を飾った青学大の神林勇太(九州学院高出)、2位東海大の西田壮志(同)、1区区間賞だった創価大の米満怜ら有望株が名を連ねました。

「学生1位が目標」 王座奪還に貢献した神林

神林は、3年生で初出場を果たした箱根駅伝で9区を走って区間賞に輝き、2年ぶりの王座奪還に貢献。神奈川県出身で九州学院高卒業以来、初めて熊本でのレースに臨みます。

今年の箱根駅伝9区で力走し、鶴見中継所前でたすきを掲げる神林勇太。区間賞の好走で、2年ぶりの総合優勝に貢献した=1月3日、横浜市

神林は、入学後2年間で駅伝メンバー入りしたのは1年時の出雲駅伝のみ。伸び悩み、「どうしたらいいか分からない時期があった」そうです。昨年、チームメートの吉田圭太とニュージーランドに約5カ月間留学したのが転機に。陸上と正面からじっくり向き合い、覚醒しました。チームの新主将に就任した“青学の顔”は学生1位が目標です。「ずっと応援してくださる熊本のファンの方々へ、感謝の走りをしたい」と話しています。

「積極的な走りで優勝を」 粘りが持ち味の西田

西田は、「ずっと出たかった大会。最初に突っ込んで、後半まで粘りきる強みを見せたい」と地元での大会を心待ちにしています。3年生で、箱根駅伝では山登り5区を2年連続で任されました。

都道府県対抗男子駅伝で、熊本県代表チームの一員として力走する西田=2020年1月19日、広島県廿日市市

30キロは初挑戦です。卒業後はマラソンに転向する予定。東京五輪マラソン代表に内定している服部勇馬(トヨタ自動車)とはよく連絡を取り合うそうです。大学2年時に熊日30キロを制した服部に、「勇馬さんはこのレースがマラソンの足掛かりになったと聞いた。まずは30キロの感覚を確認したい」。

1キロ3分ペースで90分を切るのが目標。「強い選手がたくさんいるが、積極的な走りで優勝を狙いたい」と力を込めました。

猪原、後藤ら、女子初優勝狙う

一方、女子は、前回女子3位の猪原千佳(肥後銀行)、同6位の後藤みのり(キヤノンAC九州)らが初優勝を目指します。

猪原は、多良木中から宮崎・小林高を経て6年目。「世界で戦えるマラソンランナー」が目標です。マラソンは昨年の大阪国際で2時間31分32秒の自己新をマーク。27分台を狙う3月の名古屋ウィメンズを前に、1キロ3分30秒ペースで走る練習に励みます。4度目の熊日30キロは「このペースでどこまで行けるかを試し、順位にもこだわりたい」。地元での初優勝へ意欲満々です。

前回の第63回大会で女子3位でフィニッシュする猪原千佳=2019年2月17日、熊本市中央区のびぷれす熊日会館前

後藤は、昨年に続き3度目の出場で、過去最高は4位です。昨年末から短距離走や筋力トレーニングを始め「今まで使っていない部分を強化している」。今季は1万メートルでの日本選手権出場を目指し、「熊日30キロではスタミナを鍛えたい」と目標は明確です。

後藤みのり

後藤みのり

名ランナー 好記録生む 熊日30キロ「快走の歴史」

ここで熊日30キロロードレースの歴史を振り返ってみましょう。

この大会は、日本で初めて五輪(1912年・ストックホルム)に出場し、「日本マラソンの父」と称された熊本県出身の金栗四三(1891~1983)が創設しました。出場ランナーからは、メキシコ五輪男子マラソンで銀メダルを獲得した君原健二ら数多くの五輪選手が出ています。

第1回は1957年3月24日。当時、熊本市上通町にあった熊日本社前をスタートし、菊陽町原水を折り返すコースに50人が挑みました。結果は、兼行奠(三井三池)が2位に44秒の大差をつける1時間40分20秒で優勝。当時の日本2番目の好記録でした。

その後、80年の第24回に伊藤国光(鐘紡)が1時間30分を切る1時間29分12秒をマークするなど日本記録が8度更新されました。

そして85年の第29回で熊本県勢の西本一也(九州産交)が国内最高を26秒塗り替える1時間28分46秒をたたき出しました。

第29回大会で、沿道の声援を受け、日本最高記録でゴールインする西本一也=1985年2月24日、熊本市の熊日本社前(当時)

西本の快記録はその後長く続きましたが、18年後の2003年の第47回でついに破られます。松宮隆行(コニカミノルタ)が10秒更新し、世界新を樹立。松宮は2年後の第49回に1時間28分0秒まで世界最高を伸ばしました。

第49回大会で、先頭集団を引っ張る松宮隆行(右)。世界新記録のタイムで優勝した=2005年2月27日、熊本市龍田陳内

好記録を生んだレースは、「熊本城マラソン」の1部門になった12年の第56回大会から熊本市西部を巡るコースに変わりました。以降の最高記録は、14年の第58回の服部勇馬(東洋大、現トヨタ自動車)がマークした1時間28分52秒です。服部勇馬は、昨年のMGCで2位に入り、東京五輪の日本代表に決まりました。

第58回大会で優勝のテープを切る服部勇馬=2014年2月16日、熊本市中央区のびぷれす熊日会館前

前回の第63回大会、男子は駒沢大の片西景が学生歴代2位の1時間29分34秒で優勝。女子は大阪学院大の岡本奈々依(ななよ)が1時間45分48秒で、いずれも初の栄冠を手にしました。

前回の第63回大会で男子1位でフィニッシュする片西景=2019年2月17日

前回の第63回大会で女子1位でフィニッシュする岡本奈々依=2019年2月17日

豪華な顔ぶれとなった今回のレースは、どんなドラマが繰り広げられ、どんな好記録が生まれるでしょうか。楽しみですね。

熊日30キロ 歴代優勝者

氏名 所属 タイム
兼行奠 福岡・三井三池 1時間40分20秒
藤木健治 福岡・三井山野 1時間42分25秒
高口徹 福岡・九州電工 1時間38分40秒
山本善則 福岡・八幡製鉄 1時間44分2秒
重松森雄 福岡・九州電工 1時間36分29秒
前田力男 熊本・熊本市交通局 1時間40分9秒
籾井輝久 福岡・八幡製鉄 1時間35分5秒4
渡邊和己 福岡・九州電工 1時間33分52秒8
寺沢徹 大阪・クラレ 1時間31分51秒6
10 青木豊 山口・協和発酵 1時間36分8秒0
11 岡部宏和 福岡・西鉄 1時間32分51秒6
12 重松森雄 福岡・クラレ 1時間32分49秒2
13 君原健二 福岡・八幡製鉄 1時間33分2秒6
14 米重操 東京・リッカー 1時間34分36秒0
15 宇佐美彰朗 東京・桜門陸友会 1時間31分26秒8
16 米重操 東京・リッカー 1時間33分55秒
17 大槻憲一 広島・東洋工業 1時間33分18秒8
18 服部誠 神奈川・東京農大 1時間32分48秒8
19 伊藤国光 山口・鐘紡 1時間31分22秒0
20 鎌田俊明 山口・鐘紡 1時間30分20秒8
21 伊藤国光 山口・鐘紡 1時間31分11秒2
22 弓削裕 宮崎・旭化成 1時間31分45秒9
23 弓削裕 宮崎・旭化成 1時間32分45秒8
24 伊藤国光 山口・鐘紡 1時間29分12秒
25 工藤一良 東京・リッカー 1時間31分0秒
26 浦川哲夫 福岡・九州電工 1時間31分52秒
27 三村光明 熊本・九州産交 1時間32分51秒
28 渋谷俊浩 茨城・筑波大 1時間33分9秒
29 西本一也 熊本・九州産交 1時間28分46秒
30 春松千秋 鹿児島・池田製菓 1時間31分20秒
31 米重修一 宮崎・旭化成 1時間29分51秒
32 森田修一 神奈川・日産自動車 1時間31分45秒
33 工藤一良 神奈川・日産自動車 1時間29分46秒
34 森下広一 宮崎・旭化成 1時間30分47秒
35 池田克美 東京・リクルート 1時間30分17秒
36 大沢陽祐 埼玉・本田技研狭山 1時間30分25秒
37 秋吉慎一 宮崎・旭化成 1時間30分37秒
38 犬伏孝行 徳島・大塚製薬 1時間30分29秒
39 大崎栄 宮崎・旭化成 1時間30分1秒
40 高橋健一 福岡・ダイエー 1時間29分46秒
41 小島忠幸 宮崎・旭化成 1時間30分26秒
42 渡辺康幸 東京・エスビー食品 1時間29分47秒
43 野口憲司 香川・四国電力 1時間29分46秒
44 高橋健一 千葉・富士通 1時間29分55秒
45 高岡寿成 山口・カネボウ 1時間29分23秒
46 松下龍治 東京・駒大 1時間30分4秒
47 松宮隆行 東京・コニカ 1時間28分36秒
48 瀬戸智弘 山口・カネボウ 1時間29分50秒
49 松宮隆行 東京・コニカミノルタ 1時間28分0秒
50 男子 清水智也
女子 野田頭美穂
京都・佐川急便
京都・ワコール
1時間31分9秒
1時間44分13秒
51 男子 ウィリー・カンゴゴ
女子 奥永美香
福岡・安川電機
福岡・九電工
1時間29分59秒
1時間45分46秒
52 男子 下重正樹
女子 野田頭美穂
東京・コニカミノルタ
京都・ワコール
1時間30分33秒
1時間44分0秒
53 男子 三津谷祐
女子 松尾千春
福岡・トヨタ自動車九州
福岡・九電工
1時間29分55秒
1時間48分22秒
54 男子 藤田敦史
女子 松尾千春
千葉・富士通
福岡・九電工
1時間29分46秒
1時間50分18秒
55 男子 森田知行 東京・カネボウ 1時間32分14秒
56 男子 宇賀地強
女子 箱山侑香
東京・コニカミノルタ
京都・ワコール
1時間30分1秒
1時間43分26秒
57 男子 川内優輝
女子 水口侑子
埼玉・埼玉県庁
三重・デンソー
1時間29分31秒
1時間43分46秒
58 男子 服部勇馬
女子 高島由香
埼玉・東洋大
三重・デンソー
1時間28分52秒
1時間44分19秒
59 男子 木村慎
女子 野田沙織
東京・明大
熊本・大阪学院大
1時間31分27秒
1時間45分00秒
60 男子 設楽啓太
女子 松見早希子
東京・コニカミノルタ
東京・第一生命
1時間30分45秒
1時間45分59秒
61 男子 上野裕一郎
女子 新井沙紀枝
神奈川・DeNA
山口・大阪学院大
1時間30分17秒
1時間46分29秒
62 男子 林奎介
女子 渡邊裕子
千葉・青学大
広島・エディオン
1時間29分47秒
1時間47分17秒
63 男子 片西景
女子 岡本奈々依
駒沢大
大阪学院大
1時間29分34秒
1時間45分48秒
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