広島カープファンと転勤族が集う店に バーテンダー「夜話」 船場町下「ゴーゴーバー」編

広島カープファンと転勤族が集う店に バーテンダー「夜話」 船場町下「ゴーゴーバー」編

熊本市のバーテンダーたちの「ちょっといい話、クスッとする話」を、それにまつわるお酒とともに紹介する「バーテンダー夜話(やわ)」シリーズ。今回は「ゴーゴーバー」(熊本市中央区船場町下、熊本中央郵便局そば)のオーナーの田淵大(だい)さんに登場してもらいます。

「ゴーゴーバー」のオーナーの田淵大(だい)さん

「ゴーゴーバー」のオーナーの田淵大(だい)さん

現在の「ゴーゴーバー」は、プロ野球・広島カープの選手のユニホームやサインなどを展示しているスポーツバー。100種類以上の本格的なカクテルや料理も楽しめます。

プロ野球・広島カープの選手のユニホームやサインなどを展示している

このコンテンツは、熊本日日新聞夕刊で連載した「夜話(やわ) カクテル」(2015年3月~2017年6月)を再構成し、インタビューや店舗情報などを加えました。

(記事中の情報は掲載時点、後段の店舗情報は2019年2月21日時点です。変更される場合がありますので来店前に電話でご確認ください)

【バランタイン12年】 老舗バーで薦められ 人生の契機となったスコッチ

「バランタイン12年」のロック

「バランタイン12年」のロック

私が20歳になりたてで、福岡に住んでいたのころの話です。当時働いていた人材派遣の会社の先輩から「大人の店も知っておいた方がいい」と、老舗のバーに連れて行ってもらいました。

60代の優しい雰囲気のマスターがいらして、最初に薦めてもらったのが「バランタイン12年」でした。このスコッチウイスキーは5種類が日本で流通しています。「12年」は手ごろな価格で、甘味がありクセもないのでストレート、ロック、ソーダ割りなど、どんなスタイルでも楽しめます。

その後、このお酒にはまってしまい、バーに行けばこればかり。マスターは成人式の日、そんな私にボトルをプレゼントしてくれました。

子どものころから社会人になるまで野球一筋だった私が、成人から6年後にはバーテンダーになっていました。いろいろあってのことですが、マスターやバランタインに出会ったことが大きく影響したのは確かです。人生って何が契機になるか分からないと、実感しています。

(2017年1月6日掲載)

【カミカゼ】 鋭い切れ味、視野が開けた助言

カミカゼ

カミカゼ

私は“師匠”に付いて修業した経験は1年余りしかありません。そんな状況で6年前、この店を引き継ぎました。

レパートリーを増やしたり、カクテルの味を磨いたりするのに苦労しました。お酒やカクテルの専門書を読んで勉強しました。県外のバーに客として寄り、それとなくレシピを聞き、後で作ってみたこともあります。

何年かたつと、それなりにおいしく作れるようになりましたが、プロとしての個性が足りないような気がして、悩んでいました。

そんな時、ある男性に勇気をいただきました。男性は40代の自営業。ウオッカにライムシロップなどを加えた切れ味鋭いカクテル「カミカゼ」が好みでした。それを飲みながら、私に「酒の味は、客との会話や店の雰囲気、流れている音楽でもおいしくなるもんだよ」。

グラスの中だけで四苦八苦していた私にとって、視野が開けた気に。その言葉はカミカゼ同様の切れ味でした。以来、カクテルはいろんな意味でおいしくなっているはずです。

(2017年1月13日掲載)

【ブルドッグ】 お客と一緒に開発 進化する「漬物カクテル」

ブルドッグ

ブルドッグ

お客さまとの出会いで“進化”したカクテルがあります。それは「ブルドッグ」。通常はウオッカにグレープフルーツジュースを加えます。うちではグレープフルーツを漬けたウオッカを、ブルドッグとしてお出ししています。するとフルーツの香りが引き立つんです。

私の店は繁華街から少し離れた住宅街にあるので、賃貸マンションなどに住む転勤族で、「帰宅一歩手前で一杯」という男性客が大半です。ただ、この方式は40代女性からの提案でした。

ウオッカの銘柄や分量、漬けておく時間などを、女性やほかの常連客の方たちと「ここが物足りない」「こっちがいい」などと、いろいろな試作品を飲み比べながら完成させたんです。お客さまと一緒にカクテルがつくれるなんて思ってもみませんでした。

その後、レモンとライムのスライスを漬けたジンに、トニックウオーターを加えた「ジントニック」も開発。こういった「漬物カクテル」が、今では店の人気となっています。

(2017年1月20日掲載)

【「竹鶴」のソーダ割り】 カープの黒田投手のような…「おとこ気」ある先輩

「竹鶴」のソーダ割り

「竹鶴」のソーダ割り

私は根っからの広島カープファン。2016年、25年ぶりにリーグ優勝した時は感涙にむせびました。

優勝の大功労者、黒田投手のようなおとこ気のある先輩バーテンダーが、街なかにいらっしゃいます。

先輩を知ったのは6年ほど前。丸刈りで見た目が怖く、話し掛けにくかったことを覚えています。しかし、理不尽なことがあると、年上の方にもちゃんと意見する姿を見て、ほれ込んでしまいました。

バーの開店1周年の日。午前3時ごろ、自分の店の仕事を終えてお祝いに来てくれました。手には「今年のは出来がいい」というウイスキー「竹鶴」のボトル。2人でソーダ割りなどにして飲み明かしました。

帰り際、「勉強しろ」とカクテルブックを置いていかれました。本を広げると、カクテル名に赤鉛筆で引いた線がページにびっしり。一度でレシピを覚えられなかったものに付けた印でした。黒田投手同様、「おとこ気は努力に裏打ちされてこそなんだ」と思った出来事でした。

(2017年1月27日掲載)

田淵さんにインタビュー

「ゴーゴーバー」で、田淵大さんに、熊日紙面に登場した反響などを聞きました(2019年1月23日)。

――熊日夕刊「夜話カクテル」に登場して、反響がありましたか?

田淵さん 新聞で紹介したブルドッグの注文が増えましたね。「お客さんと一緒に開発し、進化させたカクテル」という点に興味を持たれているようです。熊日さんに取り上げていただいた以上は、ほかのカクテルを含めて味に磨きをかけて、お客さまに提供していくつもりです。

最近こだわっているのが、新たな「漬物カクテル」のレモンソーダ。レモンベースの果実酒に、スライスしたレモンをたっぷり漬け込み、炭酸で割ったもの。とても爽やかでサッパリした味わいで、店で一番人気です。

カクテルに使う、フルーツを漬け込んだ果実酒。右がレモンスライスを漬け込んだレモンソーダ用

――現在は広島カープを前面に出した店構えですね。

田淵さん 2011年に店を前のオーナーから引き継いだ時はショットバーでしたが、熊本市内にバーがたくさんある中で、自分のカラーを出したいという思いが強くなりました。そこで2018年8月、大ファンである広島カープのリーグ3連覇が濃厚になったことを節目に思い切ってスポーツバーに改装しました。ケーブルテレビでカープの試合を観戦することもできます。「カープ女子」のお客さまも結構いますよ。

店内に掲げられた、広島市民球場のスコアボードをイメージしたパネル。電光掲示板に変わる前、最後の試合(1992年10月4日)の選手名や得点を、そのままデザインに使うこだわりよう

 

江夏豊、山本浩二、高橋慶彦ら、往年のカープのスター選手たちのサイン。常連客が提供してくれるケースがほとんどという

――広島ファン以外のお客も多いのでしょうか?

田淵さん 周辺に賃貸マンションが多いこともあり、転勤族の方も多いです。「夕食を食べながら、軽く一杯」という方には、豚キムチや鶏の唐揚げ、塩さばなど「家庭の味」の定食と飲み物のセットが人気です。「カープファンと転勤族が集い、楽しめるバー」にするのが夢です。

「ゴーゴーバー」店舗情報

住所 熊本市中央区船場町下1-12-1、ディンクス船場1階

アクセス 熊本市電「慶徳校前」「洗馬橋」電停から徒歩2~3分
サンロード新市街入り口(辛島公園側)から徒歩8分
営業時間 18時~27時
定休日 日曜(月曜が祝日の場合は営業、翌日が休み)
電話 096-200-4698
システム カクテル700円~、ビール600円~、焼酎500円~ チャージ料金なし
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