創業420年 朝鮮飴で知られる熊本市の園田屋 115年ぶり新商品「れもん飴」登場

創業420年 朝鮮飴で知られる熊本市の園田屋 115年ぶり新商品「れもん飴」登場

並木坂の「老舗 園田屋」(中央区南坪井町)は郷土銘菓・朝鮮飴(あめ)の製造販売で知られ、創業420年以上と県内で最も長い歴史がある老舗です。

園田屋

県内で最も長い420年以上の歴史がある老舗「園田屋」。現在の店舗は1877年の西南戦争の後に建てられた=熊本市中央区南坪井

店舗兼工場は明治時代の木造建築。古めかしい売り場から奥へ奥へと入っていくと、工場で4人の従業員が和気あいあいと作業していました。

朝鮮飴は天正年間(1573~92年)の発売当初は長生飴といい、加藤清正が文禄・慶長の役(朝鮮出兵)に保存食として携行したことから朝鮮飴と呼ばれるようにりました。江戸時代は藩が全量を買い上げ、幕府への献上品や参勤交代の土産にしていました。

その製法は今も受け継がれています。大きな釜で80~90度に熱した飴を工場長の渡邊学さん(51)が素手ですくって木枠に流し込みます。冷まして熟成させ、製品になるまで数日かかるそうです。

朝鮮飴工場

園田屋の工場で、大きな釜で熱した朝鮮飴を素手で扱う工場長の渡邊学さん。80度以上あるが「やけどしたことはない」という

19代目は漫画「ブレット・ザ・ウィザード」の作者

現在の19代目店主、園田健一さん(56)は漫画家・イラストレーターとしても有名です。漫画作品に「ブレット・ザ・ウィザード」などがあり、アニメ、ゲームのキャラクターやメカニックのデザインも多数手掛けています。

園田さん

「伝統を大事にしつつ、新しいこともやっていきたい」と話す、園田屋19代目店主の園田健一さん=中央区南坪井の同店

園田屋に生まれた祖父が仕事で大阪に移り住んだことから、園田さん自身は大阪に生まれ育ち、20歳代から東京を拠点に活動していました。その後、園田屋を継いでいた親戚の跡を受け、父・耕一さんが19代目に就任。その耕一さんが2016年に亡くなったことから、転機が訪れました。

もともと継ぐつもりはありませんでしたが、耕一さんが亡くなる間際の病床で、園田さんは「お店はつぶさないから。僕が継ぐから、安心してくれ」と告げました。

「父に意識があったのかなかったのか分からないんですけど、安心させたくて。本人を目の前にして言った以上はやらなきゃということで、店を継ぎました」

その後は東京在住を続けながら、月に数日、店に出て指示を出したり必要な手続きをこなしたり。卸先だけで行っていたインターネット通販を、就任後は直接取り扱うようになり、売り上げを伸ばしました。

美少女朝鮮飴

朝鮮飴のイメージキャラクター「白ちゃん」が描かれた園田屋の紙バッグ

園田さんの発案で開発に取り組み、2018年8月に正式発売したのが「れもん飴」。1903(明治36)年に15代目の園田郭六が創製した「柿球肥[かきぎゅうひ]」以来、115年ぶりの新商品として全国的な話題になりました。

美少女キャラ自ら制作

商品などをイメージした美少女キャラも自ら制作しました。キャラを描いた店の紙バッグが人気で、「得意分野の能力で店の宣伝ができて、好評をいただいているのはとてもうれしい」と園田さん。「兼業で相乗効果が出れば一番いいと思っています」

2018年8月に正式発売した園田屋115年ぶりの新商品「れもん飴[あめ]」。口に含んだ時は朝鮮飴との違いをあまり感じませんでしたが、かむと爽やかなレモンの風味が広がりました。

れもん飴

店主の園田健一さんが主導する商品開発は試行錯誤の繰り返しでした。初めは夏ミカンの果肉などを入れてみたましが、かんきつ系の果肉は風味が飛びやすいことが分かりました。

「その点、皮だと細胞の中に成分が閉じこめられていますから」(園田さん)と、砂糖漬けのレモン皮を練り込む製法に落ち着きました。試作段階から店頭で販売し、お客さんの声を聞きながらさらに改良を重ねました。

園田さんは次なる新商品も企画中です。朝鮮飴が藩の買い上げになる以前は、高級品の白砂糖を使えなかったのかもしれない。黒砂糖を使うことで原形の「長生飴」の味わいを復元できるのではないかと考えています。

「歴史を重圧に感じるばかりでは自由なことができない。伝統を大事にしつつ、新しいこともやっていきたい」と園田さんは話しました。

園田屋のあゆみ

天正年間(1573~92年) 園田武衛門が長生飴を考案し、園田屋を創業
1588年 加藤清正が肥後北半国の領主となる
1592~93年 文禄の役
1597~98年 慶長の役
1603年 江戸幕府が成立
1632年 加藤家改易。細川忠利が熊本藩主となる
1868年 明治政府が成立
1877年 2月、西南戦争で熊本市街の大半が焼失。園田屋も被災、のちに近くに移転して現在の店舗を建てる。8~11月の内国勧業博覧会に朝鮮飴を出品し、内務卿大久保利通より「透明ニシテ風味甘美ナリ 製方老熟ノ妙アリ」との褒状を贈られる
1903年 15代目の園田郭六が、朝鮮飴に干し柿を練り合わせた「柿球肥[かきぎゅうひ]」を考案
2018年 「れもん飴」正式発売

店舗情報

住所 熊本県熊本市中央区南坪井町6-1

アクセス 熊本電鉄 「藤崎宮前」駅から徒歩3分
営業時間 10時~18時
定休日 日曜
電話 096-352-0030

※情報は2019年3月28日時点のものです。最新の情報は店舗へご確認ください。

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