宇土市沖のモンゴウイカ漁が最盛期 記者が「へた籠漁」を体験してみた

宇土市沖のモンゴウイカ漁が最盛期 記者が「へた籠漁」を体験してみた

手前の船で「へた籠漁」に出た

手前の船で「へた籠漁」へ

熊本県宇土市沖の有明海で、モンゴウイカを狙うイカ漁の一種「へた籠(かご)漁」が最盛期を迎えています。産卵期のイカの習性を利用した漁法で、6月ごろまで続きます。

近くでノリ生産も営む漁師の嶋本幸貴さん(36)のご好意で、漁を体験させてもらいました。

(取材は熊日宇土支局・西國祥太。文中の年齢、情報は2019年4月24日時点です)

「へた籠漁」とは?

「へた」と呼ばれる海岸から遠くない所に籠を仕掛けるのが名前の由来です。沖合での籠漁は、「沖籠漁」と呼ぶそうです。

宇土市網田地区で行われる「へた籠漁」には2種類の籠があります。

1つは、直径1メートルほどの「ドーム型の籠」。中にメスを結び付け、オスを誘い込みます。

ドーム型の籠を仕掛ける嶋本さん

ドーム型の籠を仕掛ける嶋本さん

もう1つが、上部が開いた直径1.5メートルほどの面型の籠の中に、葉が取れにくい木の枝を置いて、イカが産卵しにやってくるのを待つ通称「面籠」です。

「面籠」

面籠

出港、漁場へ 仕掛けを引き揚げ

4月19日午前7時、宇土市赤瀬町の赤瀬港。嶋本さんの船に乗り込みます。快晴にも恵まれ、堤防は釣り人でにぎわっています。

5分ほどで沖合500メートルの漁場に到着しました。ピンクの旗を取り付けた浮きが目印です。

目印のピンク色の旗

仕掛けの目印であるピンク色の旗を取り付けた浮き

この漁場には600メートルのロープに80個ほどの2つのタイプの籠や、近くにイカがいるかを確かめる通称「シバ」と呼ばれる木の枝をしかけているそうです。

早速、嶋本さんが前日から仕掛けていたドーム型の籠を引き揚げます。

イカが墨や海水を吐く「ブシュ、ブシュ」という音が響き、甲板は真っ黒に。中には、体長30センチほどのモンゴウイカが6杯入っています。

モンゴウイカ

モンゴウイカのオス(右)とメス。オスの表面には「眼状紋(目玉模様)」の模様があり、名前の由来にもなっている

嶋本さんは「人間の男と一緒で、女がいるとたくさん寄ってくるんですよ」と笑います。

次に8メートルほどの間隔に設置した木の枝「シバ」を次々に確認し、まだ新しい卵がついている場所に「面籠」を仕掛けます。シバは、イカ漁師それぞれが山中に刈りに行くそうです。

「これが新しい卵です」と親指大の白い卵を見せてもらいました。

「シバ」に産み付けられたモンゴウイカの卵。表面がつややかなものは産み付けられてたばかりだという

2時間で15匹 ジャケットには墨が…

嶋本さんによると、「面籠漁」は籠を海に入れてから、「タバコを一服するくらいの時間で籠を引き揚げる」のが一般的ということです。

しかし、嶋本さんは効率を考え、籠の上部に小型カメラを設置。箱の中に設置したモニターを食い入るように見つめ、イカの姿を見ると急いで引き揚げます。

「面籠」でも数杯のモンゴウイカがとれました。そこでお気に入りのアウトドアジャケットを見ると飛び散った墨が…。

「墨の汚れは洗えば取れますか?」と聞くと、嶋本さんは「取れませんね」とにやり。

慰めに水揚げされたモンゴウイカ1杯をもらいました。

モンゴウイカをシメる嶋本さん

モンゴウイカをシメる嶋本さん。絶命すると身が白くなるという

2時間ほどの漁で、この日は15匹ほどのモンゴウイカが水揚げされました。

嶋本さんは「肉厚で歯応えのある旬のモンゴウイカは格別ですよ」と話していました。

モンゴウイカは宇土マリーナ「おこしき館」で販売

モンゴウイカは近くの宇土マリーナ「おこしき館」で1キロあたり1000円~1400円で販売されます。

宇土マリーナでは嶋本さんの妻、千尋さん(36)が作る地元産のイカとノリを使った「おこしきバーガー」(400円)と「おこしき弁当」(480円)も土・日・祝日限定で販売。ネーミングは地元の景勝地「御輿来海岸(おこしきかいがん)」にちなんだものです。

「漁師しか知らないノリとイカのおいしい食べ方を多くの人に知ってほしい」と話す嶋本幸貴さん、千尋さん夫妻

「おこしきバーガー」(右)と「おこしき弁当」

「おこしきバーガー」(右)と「おこしき弁当」

道の駅・海の駅 宇土マリーナ おこしき館

住所 熊本県宇土市下網田町3084-1

アクセス 松原交差点より国道57号線を三角・天草方面へ約20分
JR三角線赤瀬駅より徒歩22分(1.7km)
九州産交バス 三角~宇土駅線の「平岩」駅から徒歩6分(410m)
営業時間 3月~10月 9時~18時
11月~2月 9時~17時
定休日 第2・4水曜(祝祭日の場合は翌日)、年始
電話 0964-27-1788
公式HP http://okoshikikan.net/
2019年4月28日(日)は「網田マリンフェスタ」が開かれます。
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