熊本の野球少女の変化に「いいね」18万 「SNSは自分の可能性広げた」 ヤフー社員・竹本萌瑛子さん

熊本の野球少女の変化に「いいね」18万 「SNSは自分の可能性広げた」 ヤフー社員・竹本萌瑛子さん

【令和に咲く】新時代担う若者に同世代の記者がインタビュー

竹本萌瑛子さん

大手IT企業のヤフーで働く、竹本萌瑛子さん=東京都千代田区のヤフー東京本社

元号が「令和」に変わりました。新たな時代の「主役」を担っていくのは、平成生まれの若者たちです。彼ら、彼女たちは、どんな夢をえがき、どのように人生を切り開こうとしているのでしょうか。

じっくり話を聞き、同じ世代として感じたことを、自分の葛藤と重ねながら、思いのままに記事にしたい―。

熊本日日新聞社の「平成生まれ」の記者たちが企画した新連載「令和に咲く」が、5月24日付の熊日朝刊で始まりました(毎週金曜日に掲載予定)。

IT業界やアート、音楽など、さまざまな分野で挑戦を続ける、熊本県出身や在住の市井の若者を取り上げます。

熊日のウェブサイト「クロスくまもと」では、未掲載写真、紙面では伝えきれなかった記者の思いなども紹介します。

初回は、東京でモデルをしながら、大手IT企業のヤフーで働く、竹本萌瑛子さん(22)=東京都、熊本市出身=を取材しました。記事は宇土支局の西國祥太記者(29)、写真は写真部の上杉勇太記者(29)が担当しました。

ツイッターで瞬く間に“バズった”

マウンドに立つ長身の少女-。マンガの主人公のような写真は、ツイッターで瞬く間に拡散した。リツイート(転載)数は約2万4千件。「いいね」約18万。見事に“バズった”。

ツイッターで“バズった”竹本萌瑛子さんの投稿(本人のツイッターより)

「熊本の芋野球少女から 表参道で撮影する女になっちゃったよ お母さん」。熊本市の錦ケ丘中野球部で男子に交じって汗を流していた頃の写真に、そんな文章が添えられている。昨年11月、投稿したのは当時大学生の竹本萌瑛子さん(22)=東京都。フリーのモデルを続けながら、この春、IT大手のヤフーに就職した。

「フォロワーは資産」

日本大2年の頃、学部のミスコンで優勝。その後、各大学のミスキャンパスらでつくる「キャンパスラボ」での活動をSNSで発信してきた。フォロワーも多かったが、男性中心だった。

竹本さんも活動していた「神奈川県×キャンパスラボ 風しん撲滅作戦特別企画」のページ

そんな時に出合ったのが「フォロワーは資産」という言葉。田端信太郎さんの著書「ブランド人になれ!会社の奴隷解放宣言」(幻冬舎)で見つけた。SNS隆盛の時代に説得力があった。

「人は変化に興味を持つ。中学時代と今の自分を並べれば反応あるはず」。マウンドの写真投稿で、フォロワー数は一気に10倍になった。野球関連の人気ユーチューバーの作品に出演するなど、仕事の幅も広がり、著者の田端さん本人からのツイートもあった。SNSの力を実感した。

私らしさに「いいね」されたい

「反響は狙い通りでしたが、予想以上」。現在、フォロワー数は5万人を数える。日常の何気ない感動に反響がある、それがSNSの面白さだ。「私らしさに『いいね』されたい。オフラインでは会えない人とつながることができる。SNSは自分の可能性を広げ、新しい世界を知るためのツールになった」

竹本萌瑛子さん

「自分のいろんな可能性を試してみたい」。その目は未来を見つめる

熊本学園大付属高を卒業し、上京して5年目。会社ではネット広告配信を統括する部署に配属され、研修に追われる日々が続く。5年後、10年後の自分は想像できない。でも今は、会社勤めも続けたいし、モデルも続けたい、と思っている。

「新しい環境に身を置くことが好き。SNSをやることは目的じゃなく手段。自分のいろんな可能性を試してみたい」。未来を見つめる目が、きらりと輝く。

(2019年5月24日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

竹本萌瑛子(たけもと・もえこ) 略歴

1996(平成8)年生まれ。3人きょうだいの末っ子。4月末に、デジタル写真集「熊本の芋野球少女から写真集出す女になっちゃったよお母さん」(小学館)を発売。

〈取材を終えて〉

竹本萌瑛子さんと西國記者

ヤフー東京本社のロゴの前で記念写真を撮る竹本萌瑛子さんと西國記者

東京タワーを望むヤフー本社が入る高層ビルの18階。コワーキングスペースの出入り口でもあるフロアに、仕事を終えた竹本さんが爽やかな空気をまとって現れた。実は同じ高校出身。共通の恩師もいて、会話は一気に盛り上がり、緊張も解けた。

小中学校の野球部ではたった一人の女の子、とは最も気になるエピソードの一つ。「他人の目を意識するようだったら、好きだった野球はできなかった」

大学のミスコンで優勝、風疹の予防接種受診率向上キャンペーンに参加、熊本地震の後には東京の同級生たちと募金活動…。「やりたいと思ったことはやってきた。新しい景色を見るのが好き」とあっけらかん。野球少女の精神は健在だ。

野球少女の精神は健在

引っ掛かったのは「SNSって、うそは分かると思います」との言葉。「バズらせようっていう『いやらしさ』みたいなのって、読み手に伝わる。オフラインあってこそのオンライン。うその発信は駄目」。モデルとしてSNSに発信を続け、しかも勤め先がヤフーという女性の矜持(きょうじ)みたいなものを感じた。

それにしても「いやらしさ、は読み手に伝わる」とは…。報道メディアに身を置くものとして、ドキリとさせられた。

「『5年後の自分』は想像つかない。高校生だった『5年前の自分』も、もちろん現在の姿を想像できてはいなかったけど」。最も強く共感した言葉だ。私自身も営業職から記者になった。仕事で取材している姿は5年前には想像だにしていない。

これからのことなんて何にも分からないからこそ、人生は面白いのかもしれない。帰りの飛行機。上空から竹本さんの通っていた中学校が見えた。「あのグラウンドで、野球少女は白球を追いかけていたのか」。なんて考えていた(西國祥太)。

CATEGORIES
TAGS