熊本市と美里町を結んでいた熊延鉄道 線路跡を自転車でゆったり走る 国道やトンネルに名残も

熊本市と美里町を結んでいた熊延鉄道 線路跡を自転車でゆったり走る 国道やトンネルに名残も

ゆるっとチャリ旅

熊本県内でサイクリングコースの整備が相次ぐなど、自転車が注目されています。ゆっくりペースで熊本市近郊などを走り、立ち寄りスポットを紹介します。

今回のコースは、熊本と延岡(宮崎県)を結ぼうと計画され、1964年まで、熊本市の南熊本駅と熊本県美里町の砥用(ともち)駅を結んでいた「熊延(ゆうえん)鉄道」。蒸気機関車(SL)やディーゼルカーがのんびり走ったという線路の跡を自転車に乗ってたどってみました。(読者・NIEセンター、鹿本成人)

地図

赤い線が今回の走行ルート。番号で表示しているのが、写真入りで紹介する立ち寄りスポット

※2019年5月10日付熊本日日新聞夕刊掲載。文中の情報は掲載日時点のものです。

JR南熊本駅から住宅地を通り御船町へ 恐竜博物館は休館…

熊延鉄道の起点は、現在のJR南熊本駅の南側。駅の痕跡がないかと見回すと、「熊延観光」の会社名が目に入りました。

熊延鉄道

①熊延鉄道の南熊本駅跡に立つ熊延観光の社屋=熊本市中央区

社長の徳丸洋海さん(67)によると、熊延鉄道の弁当・仕出し部門がルーツだそうです。鉄道廃止後に部門が独立、現在は弁当を製造して、主に熊本市内のスポーツ施設で販売しています。「70年代に入社したころには、会社の敷地に線路が残り、枕木が積んでありましたよ」と徳丸さん。

古い地図から読み取った線路は、今ではJR南熊本駅南側の住宅地を抜ける道になっています。ゆっくりペダルを回して細い道を進むと、買い物袋を下げた女性や高校生の自転車とすれ違いました。熊本市東区画図町で国道445号に。御船町まで、線路跡と国道がほぼ重なります。

線路跡

②生活道路に転用された熊延鉄道の線路跡=熊本市南区

せっかく“恐竜の郷(さと)”に来たのだからと御船町恐竜博物館に行くと、なんと休館日。事前に調べるべきだったと後悔しつつ、今度は線路跡の国道443号を甲佐町へ。途中、妙見坂トンネルをくぐります。鉄道廃止後、拡幅して道路転用したトンネルです。鉄道トンネルを自転車で走るのかと思うと、なんだか楽しいです。

道の駅で舌鼓 廃線から50年たっても沿線の人々の記憶に

甲佐町役場を過ぎると次第に山が迫ってきました。線路跡も山中に入り、自転車では走れない場所も多いです。自転車を降りて歩き、鉄道ファンに人気がある遺構「八角トンネル」(美里町小筵)を見学。

その後、「道の駅美里 佐俣の湯」に寄り、あか牛と町内産野菜のカレーでエネルギーを補給しました。

あか牛と美里産野菜のカレー

③道の駅美里佐俣の湯の「あか牛と美里産野菜のカレー」=熊本県美里町

道の駅近くの民家の庭先にいた吉澤国雄さん(71)に声を掛けると「うちの裏が佐俣駅でしたよ」。往時は熊本市への通勤客でにぎわい、貨車にはたくさんの物資が積み込まれていたそうです。「鉄道が廃止され、少し寂しくなりました」

この辺りの線路は、緑川支流の津留川に沿って延びていました。渓谷の清流を見下ろしながら坂を上り、終点の砥用駅(美里町永富)付近に。

駅の跡を探していると城野敬司さん(81)、絹代さん(72)夫婦が「うちの家の敷地は昔、駅構内でしたよ」。敬司さんは若いころ、熊延鉄道に乗って熊本市の大洋デパートへ出かけるのが楽しみだったそうです。

砥用駅の元構内

④城野敬司さん(左)と知人の山村清さん。背後の城野さん宅は、砥用駅の元構内に立っている=熊本県美里町

廃止から50年以上たつ熊延鉄道。線路の痕跡はほとんど失われていましたが、沿線の人々の記憶には、いまだ鮮明に残っているようでした。

【お気に入りの1枚】 超現実感漂う「八角トンネル」

八角トンネル

自転車を降りて美里町の山中を歩くと「八角トンネル」があります。両側の岩の崩落を防ぐ巨大なコンクリート塊は、風雨にさらされて貫録を増し、超現実感すら漂います。鉄道が残っていれば人気スポットになっただろうと思うと、少し惜しい気がしました。

走行ルートと立ち寄りスポット


【MEMO】 走行距離:40キロ、走行時間:2時間50分、平均時速:14キロ、高低差 127メートル、 所要時間:4時間55分 (サイクルコンピューターなどによる)

※地図上の走行ルートは、GPS機器で位置情報を把握した主要ポイントをつなげたものです。あくまで目安であり、詳細でみると、実際の走行ルートと一致しない部分もあります。

【サイクリング楽しむためのプチ助言】 ライトは自動点灯でつけ忘れ防止を

ライト

ライトと尾灯を点灯した自転車。暗いところでも周囲の歩行者や車から気付いてもらいやすくなる

辺りが暗くなってくる時に、ライトを点灯するタイミングは難しいものです。もちろん「早めの点灯」が大切ですが、気づけば辺りが暗くなっていたという経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

そんな時に役立つのが、周囲の明るさを感知して自動で点灯する自転車用ライトです。うっかりライトをつけ忘れることがなくなる優れものです。

安全と事故防止のためには、ライトだけでなく、尾灯や後方反射板(リフレクター)も欠かせません。忘れずに装着して、周囲の自動車や歩行者に自分の存在をアピールしながら走りましょう。(熊本県サイクリング協会・平川智美)

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