
熊本市新町の「フレンチ・イタリア料理たかはし」 高級店を経験したシェフが作り出す“熊本らしさ”
ぶらり新町・古町

「フレンチ・イタリア料理たかはし」の外観。商店街の風景になじんだ感じがいい
かつて高麗門があった旧新鳥町(熊本市中央区新町)をぶらぶらする。
加藤清正が1598(慶長3)年に熊本城の西方の守りを強くするため築いた関所門・高麗門。常に門番が厳重に警戒する一方で、門前で開かれてきたさまざまな市が新鳥町を発展させてきた。
高麗門跡近くの「フレンチ・イタリア料理たかはし」に入った。「地蔵市の時は、今でもたくさんのお客さんでにぎわいますよ」。店の高橋佳代子さんはこう語る。地元出身で昭和、平成と商店街の歴史を見てきた。最近では商店街に往時ほどの人の流れはないだけに、令和の時代に街を活性化させたいという思いは強い。
店は、夫の紀四郎さんと二人三脚で切り盛りしている。熊本地震(2016年4月)では、店内にある皿はほとんど割れてしまったが、2週間ほどで開店にこぎ着けた。

厨房で笑顔の高橋紀四郎さん
紀四郎さんは新潟県の米農家出身。高校卒業後、東京駅近くの老舗ホテル「丸の内ホテル」で働いた。本当は最初から厨房に立ちたかったが、レストランのホール係、ベルボーイといった下積みを長く経験した。
その後、ホテルが近くの商業ビルに出している高級フレンチで長らく調理場を担当した。「ランチが5千円ほどでした」というバブル経済も肌や舌で体験。高級イタリア料理店に引き抜かれ、料理長も任された。
ホテル勤務時代に結ばれた佳代子さんと、佳代子さんの実家がある熊本に来たのは2003年。店を出したのは翌年のことだ。「水と食材がいい」。恵まれた環境が料理人を奮い立たせた。
フレンチ、イタリアン両方の経験を生かした店をということで、店名は「フレンチ・イタリア料理たかはし」に。長く手掛けてきたフレンチだけでは庶民的な雰囲気が出しづらいと感じたからだ。
さて、注文したのはランチコース。前菜はキッシュ、生ハム、タイのカルパッチョ。素材を生かした感じで口にしやすい。続いてタマネギを下味に使ったコーンスープ。
主菜はその名も「新町ピッツァ」。鶏のひき肉の上に白髪ネギがたっぷりのっている。地元の橋本醤油のもろみしょうゆで味付けしてあり、“熊本らしさ”を感じさせた。これを楽しみに来る人が多いという。

主菜の「新町ピッツァ」
デザートは驚きの「玉手箱ドルチェ」。ご膳のふたを開けると、ふわーっとドライアイスの白い煙がテーブルに広がる。のぞいてみると、シフォンケーキ、手作りヨーグルト、イチゴのシャーベット、フルーツ(イチゴとメロン)が姿を現した。

デザートの「玉手箱ドルチェ」。ドライアイスの白い煙がテーブルに広がる
フレンチとイタリアンを大満喫して1400円。東京なら軽く2千円はしそうだ。
人気の新町ピッツァは単品で980円。ホテル仕込みのビーフシチューは2300円。その日の仕入れによってほほ肉かすね肉を使っている。テイクアウトもある。
JR熊本駅までは歩いて15分ほど。高麗門跡には今、周りを威圧するような高架の上を九州新幹線が疾走する。
店舗情報
住所 | 熊本市中央区新町4-6-7 |
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アクセス | 熊本市電「新町」電停より徒歩5分 |
営業時間 | ランチ 11時半~14時半(オーダーストップ14時) ディナー 17時半~22時(オーダーストップ21時半) |
定休日 | 日曜(毎月最終日曜は営業、翌日休み) |
電話 | 096-325-2377 |
公式HP | https://itariantakashi.weebly.com/ |
※店舗情報は2019年6月10日時点です。