北海道から熊本に移住 「もっと根を張りたい」 町と酪農の魅力発信へ挑戦続ける 髙木真美さん

北海道から熊本に移住 「もっと根を張りたい」 町と酪農の魅力発信へ挑戦続ける 髙木真美さん

【令和に咲く】新時代担う若者に同世代の記者がインタビュー

高木真美さん

大好きな動物たちに囲まれて笑顔を見せる髙木真美さん。右は長女のさくらちゃん=和水町

熊本日日新聞社の「平成生まれ」の記者たちが、IT業界やアート、音楽など、さまざまな分野で挑戦を続ける、熊本県出身や在住の同世代の若者を取り上げる連載「令和に咲く」。

今回は、北海道出身で、移住した熊本県和水町で酪農をしながら町のイベントなどで活躍している髙木真美さん(29)を取材しました。記事は南関支局の長濱星悟記者(30)、写真は長濱記者と宇土支局の西國祥太記者(29)が担当しました。

夢を実現、動物に囲まれた生活に

笑顔の高木真美さん

愛犬と戯れて笑顔の髙木真美さん=和水町

昨年8月5日夜、和水町の江田船山古墳公園。恒例の古墳祭で、地元の女性が担う火巫女(ひみこ)役の髙木真美さん(29)は美しい舞を披露し終えると、「これで地元の一員に近づけたかな」と思った。酪農家に嫁ぐことで和水町に“移住”して3年がたっていた。

札幌出身。夢は動物に囲まれた暮らしだった。北海道で酪農家の従業員になったが「仕事でしか牛と触れ合えない」と退職。動物と暮らすイメージを抱いて沖縄のペンションで働いたこともある。

牧場関係者との結婚をうたった婚活イベントで、夫となる大輔さん(33)と出会った。北海道で世話になった酪農家の実家で実習をした、と聞いて運命を感じた。縁談はとんとん拍子で進み、2015年4月に結婚。牛、馬、ヤギ…、晴れて動物に囲まれた生活が始まった。夫と義理の両親との酪農の仕事も充実。翌年には長女さくらちゃん(2)が誕生した。

県外出身者で初めて、古墳祭の「火巫女」役に

「火巫女」の舞

昨年8月の古墳祭で、「火巫女」の舞を披露する髙木真美さん=和水町の江田船山古墳公園

絵に書いたような理想の生活だったが、ふと、心のどこかで「髙木牧場のお嫁さん」という立ち位置に寂しさを感じていた。「もう一つ、軸になるアイデンティティーがほしい。もっと和水町に根を張りたい」

思い立ったら即行動の性格。地元の米作り体験や餅つき大会などに積極的に参加。おやつコンテストでは、小麦粉の皮にマーボー豆腐を包む古墳型の「和水焼き」が最優秀賞に選ばれた。

古墳祭をPRする第34代火巫女役に推薦したのは義理の父。「PR活動は向いてるよ」とママ友たちも背中を押してくれたが、県外出身者や既婚者の火巫女は初めてのことだった。「うれしい半面、町の顔になると思うと身が引き締まった」

古墳祭からもうすぐ1年。5月末にあった今年の火巫女のお披露目式では、35代目の後輩に「元気いっぱい笑顔で頑張って」とエールを送った。

もっと牧場での暮らしや酪農、そして和水町の魅力を多くの人に伝えたい-。今の目標は、一般社団法人の「酪農教育ファーム」認証を取得すること。“火巫女ママ”の挑戦はまだまだ続く。

(2019年6月21日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

髙木真美(たかき・まさみ) 略歴

かぞくしゃしん

既婚者初の「火巫女」役に選ばれた髙木真美さん。夫の大輔さん、長女のさくらちゃん=和水町

1989(平成元)年、札幌生まれ。立正大卒。イタリアンのシェフや社会科の高校教員なども経験。2015年から和水町在住。牛80頭のほか、犬やウサギなど7種類の動物を飼育している。

〈取材を終えて〉 女性輝かせる家族像、手本にしたいが…

取材

犬やヤギなどの動物と戯れて笑顔の髙木真美さん(左)に話を聞く長濱星悟記者=和水町

取材で牧場を訪ねたときに、まず驚いたのは自分の3倍はありそうなヤギを引きながら、笑顔で登場した娘のさくらちゃんだ。現在、髙木牧場には8頭のヤギがいる。結婚祝いで親戚からもらった2頭から4年で増えたという。赤ちゃんヤギに優しくミルクを与えながら「ヤギが一番すき」と、さくらちゃん。動物と触れ合うことで、いろいろなことを学んでいるんだろう。

そのさくらちゃんだが、実は「チビ火巫女(ひみこ)」として、髙木さんと一緒に町内の保育園や高齢者施設で古墳祭をPRしていた。印象的だったのは、夫の大輔さんも世話役で一緒だったことだ。髙木さんは「私と同じくらい夫も育児をしてくれる。さまざまなことに挑戦できるのは家族のおかげ」と屈託なく話す。髙木さんを火巫女に推薦したのは大輔さんのお父さんだった。

髙木牧場に、女性を輝かせるための家族像を見た気がしている。同じ幼子を持つ父として手本にさせてもらいたいが…。お風呂の手伝いだけで精いっぱいの私には、ちょっとハードル高いかな。(長濱星悟)

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