歌手への夢、迷いなし ライブや音楽配信で活動する山本朋佳さん

歌手への夢、迷いなし ライブや音楽配信で活動する山本朋佳さん

【令和に咲く】新時代担う若者に同世代の記者がインタビュー

山本朋佳さん

ライブを開くこともある東京・渋谷で、歌手への夢を語る山本朋佳さん=東京都渋谷区

熊本日日新聞社の「平成生まれ」の記者たちが、IT業界やアート、音楽など、さまざまな分野で挑戦を続ける、熊本県出身や在住の同世代の若者を取り上げる連載「令和に咲く」。

今回は、ライブや音楽配信で活動する山本朋佳(ともか)さん(23)を取材しました。記事と写真は東京支社の嶋田昇平記者(28)が担当しました。

「とてもいい声」 小室哲哉さんが見いだした原石

ライブ

ライブで自作の曲を歌う山本朋佳さん=東京都世田谷区下北沢ERA

7月中旬、ブルーハーツなどが大きく羽ばたくきっかけをつかんだ“バンドマンの聖地”東京・下北沢。約100人が詰め掛けたライブハウスに、山本朋佳さん(23)=川崎市=の力強く透き通った声が響いた。

「誰にも壊せないもの、守り抜くから、守ってみせるから-」

嘉島町出身。歌が好きな両親の影響で、幼いころから歌手を志した。大きなチャンスが訪れたのは、広島大への進学直前だった。

安室奈美恵さんをプロデュースするなどJポップシーンを席巻した音楽家の小室哲哉さんが、新たな原石を探していることをSNSで知った。歌っている動画を自宅で撮影して送ると、思いがけず返信が届いた。「とてもいい声だ。一緒に音楽をつくろう」

小室さんの地方ライブに合わせて進学先の広島などでたびたび面会。互いに歌詞のアイデアをぶつけ合い、1年以上かけて曲を作った。歌詞を書き留めたノートは10冊以上。芸能活動に関する指導も受けた。

突然の小室さん引退 不安も「自分で切り開く」

練習する山本朋佳さん

ライブ前に練習する山本朋佳さん(左)

しかし、充実した時間は長く続かなかった。2018年、小室さんが不倫疑惑で芸能界から突然引退。大学卒業後は小室さんの下で音楽に打ち込むつもりだった山本さんは、ニュースを見てがくぜんとした。

夢への道しるべであり、後ろ盾になってくれると信じていた小室さん。不安に押しつぶされそうになる一方で、小室さんに頼りすぎていたことも痛感した。「自分で切り開かないと」。大学の同級生が堅実に就職していく中、腹をくくった。

最初は熊本市内での路上ライブで経験を積んだ。選考を勝ち抜いてテレビの音楽番組にも出演を果たし、少しだけ自信を得た。今年3月に上京。ライブや音楽配信などに力を入れている。

「あなたはそのままでいい。時代が後から追いつく、くらいの気持ちで焦らないで」。普段は無口だった小室さんがくれた言葉が今も心に残っている。「東京でもいろいろなことがあるだろうけど、自分の夢を追い掛ける」。その瞳に迷いはない。

(2019年7月26日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

山本朋佳(やまもと・ともか) 略歴

一緒に音楽ユニットを組む森山晋さん(左)と山本朋佳さん

1996(平成8)年生まれ。信愛女学院高-広島大教育学部。ソロのほか、音楽デュエット「しんともちゅ」としても活動している。オーディションネット番組「BATOLIVE」の初代優勝者。

〈取材を終えて〉 心に響く歌 勇気もらう

嶋田記者の取材を受ける山本朋佳さん

ライブ終了後、嶋田記者の取材を受ける山本朋佳さん(右)

「しんともちゅ」が配信する「東京」を聴いた。「夢を叶(かな)える」という決意に満ちた力強い歌詞が、軽やかなビートと不思議とマッチしている曲だ。「将来はグラミー賞を取りたい」。大きな夢でも、気恥ずかしさや迷いなく語ることができる山本さんが歌うからこそ、心に響くのかもしれない。勤務している東京支社へ向かう満員電車の中で聞きながら、勇気をもらっている。(嶋田昇平)

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