お客に寄り添うバーテンダーに 銀杏中通り「ザ・バー アンバー」編 琥珀のように時間かけて店〝固め〟たい 

お客に寄り添うバーテンダーに 銀杏中通り「ザ・バー アンバー」編 琥珀のように時間かけて店〝固め〟たい 

熊本のバー探訪

熊本市のバーテンダーたちの「ちょっといい話、クスッとする話」を、それにまつわるお酒とともに紹介する「熊本のバー探訪」シリーズ。今回は「ザ・バー アンバー」(熊本市中央区花畑町・銀杏中通り)オーナーの隅田耕一郎さん(42)に登場してもらいます。

隅田耕一郎さん

「ザ・バー アンバー」のオーナー隅田耕一郎さん=2019年8月9日、熊本市中央区花畑町

このコンテンツは、熊本日日新聞夕刊で連載した「夜話(やわ)カクテル」(2015年3月~2017年6月)を再構成し、インタビューや店舗情報などを加えました。

(記事中の情報は掲載時点、後段の店舗情報は2019年8月16日時点です。変更されている場合がありますので来店前に電話でご確認ください)

【アンバー】 店名由来のオリジナルカクテル

アンバー

オリジナルカクテルの「アンバー」

最初は、店名の由来となったオリジナルカクテル「アンバー」について話したいと思います。

アンバーとは宝石・琥珀(こはく)の英語名。10年ほど前、コンテストに出品するため考えた琥珀色の樽(たる)熟成ラムをベースにしたカクテルです。

琥珀は樹脂が固まってできるので、小枝や虫などが混入することも。そこでシナモンスティックを小枝に、羊羹(ようかん)を虫に、それぞれ見立てグラスの中に入れてみました。香りを楽しんだり、酒と一緒に菓子を食べたりできます。

さらに、お客さまの力も借りました。全国のバーを巡っていらっしゃる常連客の男性に「酸味が足りない」と相談したら、少し飲んで「ライムジュースを入れたら」との助言をいただき、納得のいく味になったのを覚えています。

2013年11月に初めて持った自分の店。琥珀のようにさまざまなものを取り込みながら、長い時間かけて店を“固めて”いきたいと思っています。

(2015年8月4日掲載)

【サイドカー】 バーテンダーの父「まず、これを覚えろ」

サイドカー

サイドカー

私の父もバーテンダーをしていました。私が10代のころ、熊本市の繁華街にあった父の店で手伝いをしていた時に「まず、これを覚えろ」と言われたのが「サイドカー」というカクテルでした。

ブランデーにオレンジリキュールとレモンジュースを加えるこのカクテルは、短時間で飲み干すショート・ドリンクの基本といわれています。

その後、私もバーテンダーとなり、カクテルにはこだわりました。サイドカーも酒の銘柄や温度、シェイキング、グラスの形などを研究して自信作の一つとなっていました。

そんな時期、友人と久しぶりに父の店に行ってサイドカーを注文。父は一般的なブランデーを使い、無造作にシェイキングして出してきました。それが「衝撃的」においしかったんです。結局、カクテルは作る人次第なんだ、と実感し、「おやじにはかなわない」とあらためて思った出来事でした。そんな父も2014年、病気で他界してしまいました。

(2015年8月11日掲載)

【レブヒート】 青く澄んだ空に似合う酒

レブヒート

レブヒート

「ベネンシアドール」という資格をご存じでしょうか。

柄の長さが90センチほどあるひしゃく「ベネンシア」を使って、樽(たる)からシェリーをくみ出し、1メートルほど上から柄をしならせながらグラスに注ぐ技術を持った人のこと。本来はシェリーを試飲する際、サンプルを採る仕事だったのですが、現在はイベントなどで活躍するようになっています。

日本でも認定試験をしていて、私も仕事の役に立てばと思い取得。数年後、ベネンシアドールを対象としたシェリーの本場スペイン・アンダルシアへの研修旅行に参加しました。

その時、印象に残ったカクテルが「レブヒート」。シェリーに甘みのある炭酸飲料を加え、ライムにミントを入れます。ブドウを収穫する夏に、現地の人がのどを潤すためゴクゴク飲めるように、と生まれたらしいのですが、アンダルシアの青く澄んだ空に似合うカクテルでした。

(2015年8月18日掲載)

【カンパリソーダ】 表現したい味、喜んでもらえる味とは

カンパリソーダ

カンパリソーダ

ありがたいことに、ほぼ毎晩来店してくださる女性のお客さまがいらっしゃいます。その方が「赤いのちょうだい」と、最初に注文されるカクテルが「カンパリソーダ」なんです。

カンパリをソーダで割る定番カクテル。シンプルなだけにカンパリの甘味と苦味のバランスをとるのが非常に難しいんです。実際、その女性に気に入っていただくまで苦労しました。

店のスタッフと一緒にカンパリの温度やソーダとの比率、ステアの仕方など試行錯誤。結局はカンパリを通常量の1.5倍ほどにすることが“突破口”になって、その女性だけでなく多くのお客さまに「おいしい」と言ってもらえる味になりました。

私たちは、カクテルブックに載っている量などにとらわれがち。自分たちが表現したい味、お客さまに喜んでもらえる味は何か。「適量」を考えさせられる経験になりました。

(2015年8月25日掲載)

隅田さんにインタビュー

「ザ・バー アンバー」で、隅田耕一郎さんに、お店の特徴などを聞きました。(2019年8月9日)

店内

一枚板のカウンターと北欧の木製椅子が特徴の「ザ・バー アンバー」の店内

――「ザ・バー アンバー」の特徴を教えてください。

隅田さん 店内の特徴としては、一枚板のカウンターと、木のぬくもりが感じられる北欧製の椅子がポイントでしょうか。お客さまは、20代から70代、一人からグループまでとさまざま、女性も多いですよ。仕事帰りなど、「普段使い」していただけるバーでありたいと思っています。お酒は、シェリー、テキーラ、ラム、球磨焼酎などに関する資格を持っています。季節のフルーツを使ったカクテルもお薦めです。夏場はマンゴーやパッションフルーツに桃、秋になれば栗やシャインマスカット、冬から春にかけてはイチゴやキンカン、デコポンなどのカクテルを。できるだけ熊本産のフルーツを使っています。

フローズンカクテルを作る隅田耕一郎さん

熊本県産マンゴーを使ったフローズンカクテルを作る隅田耕一郎さん

――バーテンダーとして大切にしていることは。

隅田さん お客さまに寄り添う接客を心掛けています。楽しい時、悲しい時…来店時の気分はさまざまでも、帰り際、店の扉を閉める瞬間に満足していただけたらと思っています。お客さまの心の中までは分かりませんので、「十分な接客ができただろうか」と自問しながら仕事を続けています。また、熊本地震後は、地元や県外のバーテンダー仲間たちと復興支援のカクテルイベントを企画しています。熊本市の多くのバーは、地震の揺れで大切なお酒やグラスを失って途方に暮れていましたが、全国のバーテンダーの支援のおかげで店を再開することができました。イベントを通じてバーテンダー同士の交流を深め、全国で災害が発生した時などは、熊本のバーテンダーが結束して支援したいと考えています。

――バーに慣れていない人に楽しみ方のアドバイスを。

隅田さん カクテルなどお酒に詳しくなくても大丈夫です。とにかくリラックスして、バーテンダーとたくさん話をしてください。その会話を糸口に、私たちがお客さまにピッタリのお酒をご提供します。

入り口

「ザ・バー アンバー」の入り口

「ザ・バー アンバー」店舗情報

住所 熊本市中央区花畑町13-27、中通りビル2階(銀杏中通り)

アクセス 熊本市電「花畑町」電停から徒歩2分
営業時間 18時~26時
定休日 不定休
電話 096-356-8383
システム カクテル800円~、チャージ料金500円(いずれも税別)
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