「eスポーツの楽しさ伝えたい」 全国大会で敢闘賞も 中学3年の選手・東春太朗さん

「eスポーツの楽しさ伝えたい」 全国大会で敢闘賞も 中学3年の選手・東春太朗さん

【令和に咲く】新時代担う若者に同世代の記者がインタビュー

東春太朗さん

ゲームのコントローラーを握り、素早い指さばきをみせる東春太朗さん=熊本市中央区

熊本日日新聞社の「平成生まれ」の記者たちが、IT業界やアート、音楽など、さまざまな分野で挑戦を続ける、熊本県出身や在住の同世代の若者を取り上げる連載「令和に咲く」。

今回は、eスポーツ選手の東春太朗さん(14)を取材しました。記事は人吉総局の小山智史(26)、写真は上杉勇太(29)が担当しました。

チームワークも必要 ネットでつながり上を目指せるところがいい

敢闘賞の盾

5月にあったeスポーツ全国大会の敢闘賞の盾を手に笑顔をみせる東春太朗さん

熊本市中央区の中学3年生、東春太朗さん(14)は放課後、マンションの自宅に帰ると一人部屋に一直線。任天堂のゲーム機スイッチに向かう。物心ついたころから始めたゲーム。今では、ゲーミングチェアに腰かけ、大画面のテレビ画像で技を磨く。インターネット上の名前は「Norishio」。eスポーツ界では、ちょっと知られた存在だ。

中1から熱心に取り組むのはシューティングゲーム「スプラトゥーン2」。ネット上でつながった4人でチームを組んで、互いのエリアに“インク”を塗っていく陣取りゲーム。今年5月に東京であった日本野球機構(NPB)主催の全国大会では敢闘賞を取った。「チームワークが必要なところが面白い。ネット通信ゲームは技術が高い人とつながることで、どんどん上を目指せるところがいい」と魅力を話す。

「練習をしたくない日も、一度はコントローラーを握らないと勘が鈍るようです」という母親の友加さん(47)の言葉は、スポーツ選手や音楽家の練習をほうふつとさせる。

家族の理解も支え 将来はゲームで稼げる“何か”に

スプラトゥーン2

東春太朗さんが大会で優勝した「スプラトゥーン2」のプレイ画面

東さんがゲームに夢中になり始めたころ、eスポーツという言葉はまだ浸透していなかった。夜中まで長時間続く練習。友加さんはゲームをやめない息子の姿に嫌気がさし、機器を捨てたこともある。

だが、他のどんなことよりも真剣に取り組む表情を見ているうちに考え方が変わった。大会で仲間たちと喜ぶ春太朗さんの姿に感動した。友加さんは、今では一緒にスプラトゥーンを楽しむプレーヤーだ。東さんは「家族が理解してくれたことで、ゲームをすることに後ろめたさがなくなった」と話す。

中学卒業まで半年余り。人生で初めて進路を決める時期に差し掛かっている。将来はゲームで稼ぐことができる“何か”になりたいと考えているが、青写真はない。ただ、「ゲームのない人生なんて考えられない」ということだけは分かっている。「家族が理解してくれたように、eスポーツの楽しさを伝えたい。そのためには運営側もいいのかな」とも考えている。

(2019年8月30日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

東春太朗(ひがし・しゅんたろう) 略歴

ゲームしている部屋

東春太朗さんが普段ゲームしている部屋。プレイ動画をインターネット配信するためのパソコンも備える

2005(平成17)年生まれ。熊本大付属中3年生。SNSなどで実況動画の配信もしている。練習に疲れると、対戦ゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ」やパズルゲーム「テトリス」などで息抜き。

〈取材を終えて〉 eスポーツの今後の発展に注目

小山智史記者

東春太朗さんと一緒にゲームを体験する小山智史記者

取材で、数年ぶりにゲームのコントローラーを握った。東さんに教わっても、キャラクターの素早い動きに手がついていかない。短い時間では上達しなかったが、下手なりに楽しんだ。ある研究によると、「スポーツ」の本質は「遊び」にあるという。ゲームに向き合う東さんからは、遊びに真剣に取り組む“選手”としての姿を見ることができた。eスポーツは今後、どのように発展していくのだろうか。東さんの活躍とともに注目したい。(小山智史)

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