熊本市電やバスが終日無料 桜町再開発・商業施設開業の9月14日 県内全域が対象 

熊本市電やバスが終日無料 桜町再開発・商業施設開業の9月14日 県内全域が対象 

SAKURAMACHI Kumamoto

商業施設「SAKURAMACHI Kumamoto」(右の建物)の開業が近づいてきた桜町再開発ビル。写真手前は再開発ビル1階に移転する仮バスターミナル=8月13日、熊本市中央区

熊本市中心市街地の新たな核と期待される桜町再開発ビルの商業施設「SAKURAMACHI Kumamoto(サクラマチ クマモト)」が2019年9月14日に開業します。この日は多くの賑わいが予想されることもあって、桜町再開発を手掛ける九州産業交通ホールディングス(HD)は、熊本県内全域の路線バスと電車の運賃を終日無料とします。熊本日日新聞掲載の記事を基に詳しく紹介します。桜町再開発ビルの設計責任者に、まちづくりに込めた思いなどを聴いたインタビュー記事もご覧ください。

※情報は2019年8月31日時点です。

桜町発着以外も対象 バス・電車の無料「全国初」

九州産業交通HDが発表した9月14日の路線バス・電車の終日無料は、施設周辺の渋滞緩和につなげるとともに、公共交通機関に対する関心を高めてもらう狙いです。

同社によると、県内全域を対象とするような公共交通機関の無料化は全国初の試みだそうです。

無料化の対象は

  • 九州産交バスなど県内5社の路線バス
  • 熊本市電、熊本電鉄の電車
  • 自治体などが運行するコミュニティバス

―です。桜町に乗り入れしない便も含み、無料となる便は5千近くに上ります。

一方、無料化の対象とならないのが

  • 熊本空港リムジンバス
  • 県外からや県外へ乗り入れる高速バス
  • JRや肥薩おれんじ鉄道、南阿蘇鉄道、くま川鉄道

―です。

九州産交HDは、商業施設オープン初日の来場者を約10万人と予想しています。一帯の渋滞を避けようと、県内のバス事業者や市交通局などに無料化を提案し、協議を進めてきました。関係費用は明らかにしていませんが、全額を同社が負担するそうです。

同社は「地方都市の活性化のポイントは公共交通の発展と雇用創出。無料化の試みを通じて結果を分析し、運行ダイヤの見直しなどサービス改善につなげたい」としています。

バスターミナルは9月11日に運用開始 「交通センター」の名称消える

なお、現在仮設で対応しているバスターミナルは、再開発ビルの1階に移り、9月11日に運用を始めます。1日5700台の発着が可能です。乗降場は29で、国内最大規模。乗り場と車道を仕切る「ホームドア方式」を熊本県内で初めて導入します。

バスターミナルの完成イメージ

9月11日に運用開始するバスターミナルの完成イメージ

再開発ビルに設けるバスターミナルの名称は「熊本交通センター」から「熊本桜町バスターミナル」に変更されます。熊本市が「市外から訪れた人や外国人旅行客にも分かりやすい」として、新名称は地名を冠することを提案しました。約半世紀にわたって親しまれた「交通センター」の名前は消えます。

熊本交通センターは1969年、県庁跡地だった現在地に整備され、開業しました。施設の老朽化や、一帯の再開発によってターミナルの新設が決定。取り壊され、2015年10月から仮設ターミナルで営業しています。

「熊本城との調和目指した」 再開発ビル設計責任者

桜町再開発ビルの設計責任者である日建設計(東京)の杉山俊一さん(53)=神奈川県=に建物の設計コンセプトや一帯のまちづくりに込めた思いを聞きました。(インタビューは熊本日日新聞社政経部の中原功一朗記者、8月14日付朝刊掲載)

杉山俊一さん

桜町再開発ビルの設計責任者の杉山俊一さん。熊本城の城下町のイメージを広げることを設計の課題にしたという=8月7日

――設計に当たって念頭に置かれたことは何ですか。

杉山さん 一帯は熊本城の城下町。かつては武家屋敷群がありました。ビルを核にどんなまちにするか考えた末、城下町のイメージを広げることを設計の課題としました。一般的な再開発ビルは大きなハコモノが連なる印象が強いと思いますが、緑の丘のように見た目を段々にし、奥行きが感じられるようにうねりをつけ、植栽もふんだんに設けました。外壁の色合いは白や濃いグレーなど、熊本城のしっくいや瓦などと調和できるように目指しました。

――特別に工夫された点はありますか。

杉山さん 屋上庭園の高さをお城がある茶臼山の高さに合わせました。屋上から熊本城を眺めると、施設の植栽と茶臼山のクスノキがつながって見えるように設計しました。熊本城を間近に感じてもらえると思います。

地図

桜町再開発ビルと周辺の地図

――再開発ビルにはホテルやマンション、熊本市が整備する「熊本城ホール」も配置されます。

杉山さん 普通はお城がより良く見える場所にこうした施設を置きますが、施設東側の花畑広場や辛島公園と一体になった空間にするため、南側にこれらの施設が入る建物を集めました。マンションなどができる建物が曲線を帯びているのも、空間を遮らないよう考慮した設計。庭を意識した、全国的にも珍しい再開発ビルだと思います。

――ビル内の設計では熊本地震後見直された点もあるそうですね。

杉山さん 商業施設の入り口からエスカレーターで2階に上がると、案内所などがあるコンコースが広がります。このうち通路が交差する場所はもともと吹き抜け構造ではありませんでしたが、これを見直しました。さらに天窓を設け、自然光が入るようにしました。人が集まりやすく、気持ちを落ち着かせてくれるのではないかと思います。

コンコースのイメージ

桜町再開発ビルの2階コンコースのイメージ。通りの両側には、商業施設が並び、1階のバスターミナル入り口ともつながっている

中央吹き抜けのイメージ

桜町再開発ビルの中央吹き抜けのイメージ。熊本地震後に設計を見直し、天窓を設け、自然光が入るようにしたという

――完成後、再開発ビルがどんな存在になってほしいですか。

杉山さん まちづくりにとってイメージが大切です。訪れた人に熊本城や歴史を生かした熊本のまちという印象を抱いてもらえたらいいと思っています。そのことが熊本で暮らす人の誇りにもなるのではないでしょうか。

すぎやま・しゅんいち 一級建築士。東京工業大大学院修了。1992年、日建設計入社。18年から設計部門のグループマネージャー。設計責任者を務めた東京スクエアガーデンは日本建設業連合会が優れた建築物を表彰するBCS賞などを受賞。埼玉県生まれ。両親は八代市在住。

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