俵山トンネルのルート全線開通! 熊本地震から3年5カ月ぶり 阿蘇の復興、加速へ

俵山トンネルのルート全線開通! 熊本地震から3年5カ月ぶり 阿蘇の復興、加速へ

熊本地震で大きな被害を受けた県道熊本高森線・俵山トンネルルート(俵山ルート、西原村小森-南阿蘇村河陰、全長約10キロ)が2019年9月14日、復旧工事を終え3年5カ月ぶりに全線開通しました。

テープカット

俵山ルートの全線開通を祝って、最後の不通区間だった大切畑大橋の前でテープカットする関係者ら=2019年9月14日、西原村

俵山ルートは、熊本都市圏と南阿蘇をつなぐ〝大動脈〟で、南阿蘇村と熊本空港を約30分、熊本市中心部とは約1時間半で結んでいました。

それが2016年4月の熊本地震で、六つの橋梁と2カ所のトンネルが被災し、全面不通となっていました。

その後の復旧工事が順次進み、今回の全線開通によって、迂回(うかい)の必要もなくなり、南阿蘇地域の観光や経済の復興が期待されています。

熊本日日新聞は、熊本地震での俵山ルートの被害状況や全線開通までの道のりをつぶさに報道してきました。これまでの紙面や写真で振り返ります。

※情報は2019年9月19日時点、記事中の情報は掲載時点です

布田川断層と平行、被害も大きく

俵山ルートは、熊本地震の震源の一つ、布田川断層帯のすぐ近くを平行して通っているため、特に大きな被害が出ました。

被災した橋とトンネルは、熊本市方面(東側)から

  • 大切畑(おおぎりはた)大橋(265メートル)
  • 大切畑ダム橋(35メートル)
  • 桑鶴大橋(160メートル)
  • 扇の坂橋(128メートル)
  • すすきの原橋(43メートル)
  • 俵山大橋(140メートル=当時、復旧後は165メートル)
  • 俵山トンネル(2057メートル)
  • 南阿蘇トンネル(757メートル)

でした。

深刻な被害を報じた2016年5月4日付掲載の紙面がこちらです。当時、同ルートのうち橋やトンネルが集中する区間(約6キロ)は「俵山バイパス」と呼ばれていました。

2016年5月4日付

俵山トンネルは、内部の壁面が崩落、路面もせり上がり、大きくゆがみました。

崩落した俵山トンネル

内部の壁面が崩落した俵山トンネル=2016年5月21日

西原村側の俵山トンネル入り口付近では、土砂崩れで村道が崩落しました。

西原村側の俵山トンネル入り口

熊本地震で村道が崩落した、西原村側の俵山トンネル入り口(左上)付近=2016年5月4日

損傷したそれぞれの橋は橋桁が橋台から最大1メートルずれ、接合部分も大きく破損。大切畑大橋は、橋脚から外れ、約1.1メートルもずれました。

大切畑大橋を測量

約1.1メートルずれた大切畑大橋を測量する建設コンサルタント業者=2016年6月1日

グリーンロードが代替道路に 20分以上遠回り

俵山ルートが寸断されたことに伴い、熊本市方面と南阿蘇の道路アクセスは、益城町から阿蘇外輪山を大きく迂回する広域農道「グリーンロード南阿蘇」が唯一の代替ルートになりました。

グリーンロード南阿蘇 地図

俵山ルートが全面通行止めになった期間、代替ルートとなった「グリーンロード南阿蘇」

ただグリーンロードは道幅が狭く、急カーブ続きで、俵山ルートよりも20分以上遠回りになっていました。

国が工事代行 8カ月後にトンネルなど暫定開通

俵山ルートの復旧については、大規模災害復興法に基づき、管理者の熊本県に代わって国土交通省が代行して急ピッチで俵山トンネルなどの工事を進めました。そして熊本地震から8カ月後の2016年12月24日に暫定開通しました。六つの橋は復旧しておらず村道などに迂回しなければなりませんでしたが、南阿蘇と熊本都市圏を結ぶ主要幹線道路が機能を回復。標高の高いグリーンロードより積雪や路面凍結による通行止めの恐れも小さくなりました。不便に耐えてきた住民や観光関係者は、喜びの声を弾ませました。

俵山ルートの暫定開通を報じた2016年12月25日付の紙面がこちらです。

俵山ルート沿いにあり、農産物直売所として人気があった俵山交流館「萌の里」(西原村小森)も被災。一時休業を挟んで、別の県道沿いの仮設店舗で営業したり、部分営業したりと苦労続きでした。熊本地震から11カ月が経過した2017年3月15日、ようやく全館で営業を再開。館内には新鮮な野菜や加工品などが並び、にぎわいを取り戻しました。

萌の里

11カ月ぶりに全館で営業再開し、新鮮な野菜が並んだ俵山交流館「萌の里」の売り場=2017年3月15日

全線開通「待ちに待った」 観光の復興に期待

俵山ルートはその後、桑鶴大橋の開通(2017年7月20日)、俵山大橋の開通(2019年8月3日)と、開通する区間が延びていきます。

桑鶴大橋

復旧工事が完了した桑鶴大橋=2018年7月20日

そして同年9月14日、多くの人が待ち望んだ全線開通を迎えたのです。

この日は、最後の不通区間だった大切畑大橋近くで開通式があり、関係者ら約200人がテープカットや通り初めパレードで祝いました。蒲島郁夫知事は「工事関係者には、スピード感を持って復旧に取り組んでいただいたことに感謝したい」とあいさつ。西原村の日置和彦村長は「地震からの復興の象徴となる。これを弾みに、復旧・復興をさらに加速させたい」と話しました。

2019年9月15日付

俵山ルートの全線開通を報じた2019年9月15日付掲載の紙面

全線開通した俵山ルート

全線開通した俵山ルート。手前から南阿蘇方面に向かう。写真右下の池の上にあるのが、最後の不通区間だった大切畑大橋(撮影は2019年9月10日)

俵山ルートの地図

2019年9月14日に全線開通した俵山ルートの地図

大切畑大橋で一般車両の通行がスタートすると、南阿蘇の観光事業者らでつくる「みなみあそ観光局」のスタッフらが「祝俵山トンネルルート全線開通」と書いたのぼりを持ち、続々と通る車を笑顔で見送りました。スタッフは「多くの人がこの日を待ちに待っていました。地域がさらに一体となって、観光客をおもてなししたい」と感慨深げでした。

大切畑大橋

全線開通した俵山ルートで最後の不通区間だった大切畑大橋=2019年9月14日

「みなみあそ観光局」のスタッフら

俵山ルートの全線開通を祝うのぼりを掲げ、車に向かって手を振る「みなみあそ観光局」のスタッフら=2019年9月14日

あか牛のステーキ肉が当たる!    4施設でスタンプラリーも

「みなみあそ観光局」は、俵山ルートの全面復旧に合わせ、スタンプラリーを開催しています。2019年11月30日までです。

「萌の里」、南阿蘇ホリデーパーク(南阿蘇村)、道の駅「あそ望の郷くぎの」(同)、高森湧水トンネル公園(高森町)の4施設でスタンプをすべて集め、道の駅にあるツアープラザ南阿蘇に持参すると、抽選で、あか牛のステーキ肉、ブドウジャム(またはブドウのせっけん)、くまモンのTシャツ、カライモが当たります。

スタンプの台紙を兼ねたA3判の地図を1万部用意し、俵山ルート沿いにある3町村の飲食店など128施設の情報を掲載しています。同観光局は「沿線のお店や景色も楽しんでください」と話しています。問い合わせはツアープラザ南阿蘇 TEL 0967-67-2222にお願いします。

「みなみあそ観光局」のスタッフ

俵山ルートの全面復旧に合わせたスタンプラリーをPRする「みなみあそ観光局」のスタッフ

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