
馬刺しと並ぶ熊本名物、辛子れんこんの老舗 熊本市新町の「村上カラシレンコン店」
ぶらり新町・古町

創業68年の「村上カラシレンコン店」。お店は藤崎台球場に近い=熊本市中央区新町
熊本に赴任して1年以上がたった。実は、熊本名物の「辛子れんこん」があまり得意ではない。自分には辛すぎるようで、鼻にツンときて、食べられない。レンコンの穴から、箸でこっそりとからしを取り出している。熊本の方々からは「お子ちゃまだなぁ」とからかわれる始末。どうしたものかと、創業68年の老舗「村上カラシレンコン店」(熊本市中央区新町)を訪ねた。
まず、辛子れんこんについてのお勉強。村上範年社長によると、辛子れんこんは350年以上の歴史があるとされる、郷土の味。病弱な殿様が、滋養に良いレンコンを食べなかったため、食べやすいように工夫した食品らしい。熊本や熊本周辺のほかに、食べる習慣があるところは見当たらないそうだ。馬刺しと並ぶ熊本名物だ。
流通している辛子れんこんは、レンコンのほとんどが中国産で、からしの味はさまざま。村上さんの店は洋からしを使う。「洋からしは辛さがあまり残らない。父の代には、洋からしの価格が安かったのも使い始めた理由だと思います」と社長。

店頭の辛子れんこん
食べてみた。やっぱり、自分には辛すぎる。すると、妻の裕子さんがマヨネーズを持ってきてくれた。付けてみる。辛さが少し軽減された。うーん、いいかも。熊本に来客を迎えた際は、居酒屋で辛子れんこんを必ず注文することにしている。お約束だ。これからは、マヨネーズも注文することにしよう(邪道なのかもしれませんが)。
村上さんのお店では、辛子れんこんコロッケもある。これは、格段に食べやすい。ハンバーガーもある。なかなかのチャレンジャーだ。
お店には、辛子れんこん作りの観光客がよく訪れる。熊本の味を知ってほしいという思いから、旅行代理店の企画を受け入れたそうだ。
辛子れんこんは、お店での小売りのほか、スーパーや居酒屋にも卸している。多い日は何百という商品を出す。上通や下通の居酒屋で知らず知らずのうちに食べていたようだ。
ある日の早朝、辛子れんこんをつくる作業を見せていただいた。からしみその入ったレンコンに、小麦粉、ソラマメ、ウコンでできた「ころも」をつける。回転式のフライヤーで揚げること約5分。ほかほかの辛子れんこんに姿を変えた。日持ちをよくするため、扇風機の風にしばらくさらすと早々にパック詰め。程なく約800個の辛子れんこんが配送されていった。
店舗情報
住所 | 熊本市中央区新町3-5-1 |
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アクセス | 熊本市電「段山町」電停より徒歩2分 |
営業時間 | 8時半~17時 |
定休日 | 土曜 |
電話 | 096-353-6795 |
公式HP | https://murakami-karashirenkon.jp/ |
※情報は2019年9月30日時点です。