フリーペーパーの「悩み相談」回答者 八代市の高校生・観際メルさん

フリーペーパーの「悩み相談」回答者 八代市の高校生・観際メルさん

【令和に咲く】新時代担う若者に同世代の記者がインタビュー

観際メルさん

読書で培った哲学をいかして、やつしろぷれすに連載コーナーを持つ観際メルさん=八代市

熊本日日新聞社の「平成生まれ」の記者たちが、IT業界やアート、音楽など、さまざまな分野で挑戦を続ける、熊本県出身や在住の同世代の若者を取り上げる連載「令和に咲く」。

今回は、八代市などで配布されるフリーペーパーの「悩み相談コーナー」で回答を担当する高校生の観際(みきわ)メルさん(15)=ハンドルネーム、同市=を取材しました。記事と写真は八代支社の中村悠記者(29)が担当しました。

許されぬ個性に違和感 哲学との出合い

「高校生の息子が、スマートフォンを片時も離しません」。そんな母親からの相談に、当時中学2年だったメルさんはこう返した。「あなたが息子さんに執着してませんか」

フリーペーパーの悩み相談コーナーで回答を担当するメルさん。不登校を経験し、哲学を愛する。連載は形を変えて続き、メルさんは高校生になった。

本を手にする観際メルさん

八代市のカフェで本を手にする観際メルさん

哲学との出合いは小学6年のとき。学校では、先生への反論や個性が許されないことに違和感を覚えた。「人間味あふれる」哲学の本を読み始めた。

2016年、中高一貫校に進学。「哲学のことを話せる友達ができるかも」と期待したが、中学でも環境の変化はなかった。熊本地震後に不登校となり、6月半ばから保健室や別教室へ登校した。

じっくり考え、真剣に向き合う

中学生メルのピリ辛アドバイス(メルアド)

やつしろぷれすに掲載された「中学生メルのピリ辛アドバイス(メルアド)」

ブログを始めたのは中学1年。読んだ本の面白さと読みやすさを5段階で評価し、感想をまとめた。学校や日常生活で思うことも書いたところ、八代市などで配布されるフリーペーパー「やつしろぷれす」が連載を依頼。17年、「中学生メルのピリ辛アドバイス(メルアド)」がスタートした。

「早起きが苦手」-「きちんと生活できているので、それでいいのでは」
「彼氏がデートの時、スマホばかり見ている」-「一緒にいすぎて話題がないのかも。デート回数を減らして、お互いが一緒にいる時間を大切に」

心掛けるのは「客観的に問題を見て、肯定も交ぜつつ、納得してもらえるような答えにすること」。1日以上じっくり考えて、悩みに真剣に向き合う。哲学書も参考にし、自分なりの答えを返す。

メルの懺悔室

やつしろぷれすに掲載された「メルの懺悔室」

今年4月の高校進学を機に連載は「メルの懺悔(ざんげ)室」となり、読者が打ち明ける過ちを考察し、助言するコーナーにモデルチェンジした。「理想は包容力のある大人の返しができること」とはにかむ。

将来の夢はまだ分からない。ただ、「大学で哲学を本格的に学びたい」と思う。「情報と人が多く集まる都会で生活して、哲学を語る友達をつくりたい」(文・写真、中村悠=29歳)

(2019年9月27日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

観際メル(みきわ・める) 略歴

観際メルさん

2003(平成15)年生まれ。県内の中高一貫校の中学校卒業後、通信制高校に進学。勉強や読書の傍ら、スーパーの鮮魚コーナーでアルバイトに励む。カメラや旅行に興味がある。最近は美術史も勉強中。

※観際メルさんのブログ「観際メルの哲学レンズ」はこちら
http://blog.livedoor.jp/meru2029/

〈取材を終えて〉 芯の強さ 大人顔負け

観際メルさんの行動基準は「『やりたいか』と『自分が求められているか』の2点のみ」だという。イギリスへのホームステイに挑戦するなど、「見聞を広めたい」と国内外への旅行にも積極的に出掛ける。

彼女を前にすると「果たして自分はいつも自分の頭で物事を考えているか」と不安になる。それほど、強い芯を感じる女子高生だ。その強さと哲学を糧に、どんどん自分の世界を広げてほしいと思う。(中村悠)

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